王子様とティータイム 1
「二度も母とまちがえて申し訳ないです」
「気もちよさそうに眠っていましたね」
翌朝午前九時。窓の外はどんよりと曇っていて今にも雨が降ってきそうである。彩那はミハイルに起こされ、また「お母さん?」と聞き返してしまったのだった。
ソファのとなりに座った彼は、手慣れた様子でお茶を入れる。王子様にそんなことをしてもらうなんて恐れ多いが正式な作法も知らない。この国の文化にも疎いので、黙って見ていることにした。
——きれいだなぁ
こういうことも王族は習うのだろうか。絵になるし、つい見とれてしまう。ティーセットもアンティークとかなのだろうか。薄紫から黄緑色に移ろったバラの絵付けが目を引くデザインだ。・・・・・・そういえば大使館でも似たようなものを見た気がする。やわらかな色彩がミハイルによく似合っている。紅茶がカップにそそがれ、甘い湯気がただよった。チョコレートみたいな濃厚さと、爽やかなフルーツの香りにうっとりしてしまう。
「本当にスミマセン。ボクのために」
不意に、ミハイルが遠慮がちに声をもらした。
「あ、いえ。えぇと、わたしこそ、二度も助けていただいてありがとうございました」
彩那は、ぴしっと姿勢を正す。納得いかない部分もたくさんあるが、何度も彼に助けてもらったのも事実だ。「たいしたことないですよ」とミハイルは笑い紅茶をすすめる。
——ふつうに飲んでいいのかな?
紅茶なんてほとんどティーバッグでしか飲んだことがない。王宮という格式高い空間にいるせいか、お茶一杯飲むのにも緊張する。
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