書斎会議 1 ~従兄弟~②
続・男3人の座談会w
現地時間午前十時。
ローゼンシュタイン公国内で、五人の閣僚が武装集団に襲われた。護衛官によって実行犯たちは取りおさえられたが、数名が未だ逃走中である。
「Die männlichen Minister befanden sich zum Zeitpunkt des Vorfalls an verschiedenen Orten. Wahrscheinlich handelte es sich um einen gleichzeitigen Anschlag mit dem Ziel, den Staat zu stürzen. In Anbetracht des Zeitpunkts war es das Werk der gleichen Organisation.(当時、閣僚のオッサンどもはバラバラの場所にいた。国家転覆を狙った同時多発テロだろう。タイミング的に見ても、そっちも同一組織だ)」
「Ich bin ein besseres Ziel als meine Mutter.」
政府構成員ではないものの、元首である国王は政治に強い権限をもつ。第一王子を人質に女王を引きずり出す算段だったのだろう。
「Und wie diejenigen, die Seine Hoheit angegriffen haben, trugen sie diese Schals.」(で、そっちのやつらと同じく、こいつをひらひらさせてた)」
ゴットフリートはおもむろに、内ポケットから証拠品を取りだした。
それはダイヤモンド柄のスカーフだった。
「Das ist eine tolle Tarnung.」
ミハイルは冷めた目で証拠品を見つめる。
ダイヤモンド柄はダミアン支持者のシンボルで、彼の誕生石に由来する。
これは公式紋章ではなく、国王選挙に際して、国民が自分の支持している王族を顕示するものだった。「Das verursacht viel zusätzliche Arbeit.(そのカムフラージュのせいで、よけいな仕事が増えてんだよ)」ゴットフリートがうんざりと端末のLIVE映像を見せる。
『Eine große Menschenmenge hat sich auf dem Platz versammelt. Es handelt sich um einen Protest gegen den Vorfall und gegen die Anhänger von Prinz Damien.(広場には大勢の人々が集まっています。今回の事件への、ダミアン王子支持者への抗議です)』
リポーターの背後では、老若男女がわらわらと群がっている。マイクを向けられたその中のひとりは、興奮した様子でまくしたてててきた。
『わたしは彼を支持している! これは彼を陥れようとする陰謀だ!』
『だれもダミアン王子が悪いとは言っていない。一部の過激派だ』横から口をはさんできた相手と口論になる。
『危険思想の人間が支持しているんだから、ダミアン王子も善良とは言えない。次期元首はミハイル王子がふさわしい』
『芸能活動なんてちゃらちゃらした若者に国の代表はまかせられない!』
さらに加わった二十代女性と年配の男性の声をきっかけに乱闘と化した。女性の胸元では太陽のような形のペンダントが揺れる。
現在王位継承権利者は十五名いるが、国民はミハイル派とダミアン派に大きく二分される。その片方に結びつく目印を見せつければ、当然こうなるだろう。
映像には女性と同じくペンダントをつけた若者の姿も多い。太陽に、青いリボンと白い羽根がデザインされている。(殿下の支持者が対抗馬をつぶすって線もなくはないわな)煙草に火をつけゴットフリートがつぶやく。
(ディルクとこっちで逮捕したやつらはだんまりだが。殿下を襲ったやつらいわく、最初の事故も仕込みだったそうだ。ディルクに金で雇われたと言っている)
時期的に渋滞が発生しやすい状況でも、確実に足止めをするには不十分だ。
ディルクはスマホのGPSでワゴン車の位置情報を知らせ、事故を起こすタイミングを計らせていたようだ。彼の身柄は現在輸送中で、リモートでの取り調べが行われた。「敬愛する方」と言ってスカーフを取りだしたが、本心かは、さだかではない。
彼の起こした凶行に、ミハイルに同行していた護衛官全員が取り調べを受けている。
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