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偽りのアムネシア~王子様とOL~  作者: 幸村 侑樹
【第2章】
34/115

王族と庶民

ミハイルの従兄弟登場です。


※ルビが一部表示されないので()内に日本語訳を入れています。

——またスーツ


 彩那は顔を引きつらせた。


 おそらく真ん中に立つグレースーツの人物以外は、全員ボディガードだろう。


 黒いスーツにサングラスのスタイルは、だれがだれだか見わけがつかない。


 泥棒男に始まり、嫌みなハインリヒと、その装いには悪い印象しかない。ミハイルが彩那をおろすと、グレースーツの人物は目をうるませ彼に抱きついてきた。


「……Who(どなた) are(です) you()?」


「…… Don't(まさか、) tell() me() you(わから) don't(ない) recognize() me(かい)?」


 彩那とハインリヒのことは、まったく目に入っていないらしい。情熱的なあいさつにあっけにとられていると、ハインリヒがそっと耳打ちしてきた。


「ミハイル様のご従兄弟、ダミアン様です。現在おふたりは英語で会話されています」


 ということは、このひとにも王位継承権があるのだろう。


 顔を真っ赤にしながら涙声で叫ぶダミアンに対し、ミハイルは眉毛がどんどん八の字になっていく。


——なんか、大げさすぎない?


 ふだんこんなにストレートに感情を表す光景に出くわさないせいなのか。


Who() is() this() woman(は?)?」


 彩那があぜんとしていれば、たった今気がついたかのように、ダミアンがこちらを見やる。


——なんか嫌な感じ


 値踏みする眼差しに心底居心地が悪い。無意識に顔がさらに引きつってしまう。


My(僕の) fiancée(婚約者です).」


 そう言ってミハイルは彩那の肩を抱く。


——フィ、フィアンセって、言ったー⁉


 ミハイルの迷いのない言葉に頭が沸騰する。


 いくら”仮”でも、はっきり言われるとすさまじい破壊力だ。全身の熱が顔に集まって火が出るかと思った。鼓動もどきどきと激しくなるばっかりで、彩那はいっぱいいっぱいになっていた。


Fiancee(婚約者?)?」


 ダミアンはわざとらしく片眉を上げ、小首を傾げる。


「I don't remember anything, but I feel more comfortable having her around.(何も覚えていませんが、彼女にそばにいてもらったほうが気もちが安らぐので)」


 会話内容はわからないが、なんとなくミハイルの声が緊張しているように思えた。


 肩に置かれた手も強ばっている。ここまでずっと笑っていろいろ助けてくれていたけれど、やはり不安なのだろう。


「あ、ナイストゥミーチュー!」


 寒空に、めいいっぱいのカタカナ発音が響きわたった。「Oh(ああ、), it's() an() honour(いでき) to() meet(光栄) you(です).」と、苦笑しながらダミアンが手を差し出す。  


——これどうやってもマナー違反じゃん


 彼と握手しながら、彩那は激しい後悔に襲われた。いくらミハイルが困っている様子だったからって、こんなことやっても無意味だろう。かえって彼に恥をかかせてしまった。とにかくやりすごそうと、愛想笑いを浮かべる。


Mr(ダミ) Damien(アン様。). I() beg(れ入り) your(ますが、) pardon(ミハイル様), but() Master(機内でも) Mikhail(あまり) is() tired(休み) and() would(なられ) like(なかった) to(ので) take(私室に) you() to() his() private(したいと) chambers(思います).」


 気まずい空気を破ったのはハインリヒだった。


Yes(ああ、), I(そう) do(だね). Heinrich(ハインリヒ。), look(ミーシャ) after() Misha(よろしく) for(たの) me(むよ). Welcome(そちらの) to() you(嬢さん) too(), young(はるばる) lady(ようこそ。). Take(ゆっくり) your(していって) time(くれたまえ).」


 するとダミアンは納得した様子で、ふたたび大げさな身ぶり手ぶりで何かを言うと体を退ける。


 彼に一礼し、ハインリヒと先達のボディガードは彩那たちを王宮内へと誘導した。


——助かった!


 彩那は初めてハインリヒに感謝する。安堵しながら彼らのあとをついていった。




It() is() appalling(者ね……。) that(どう) the() prince's(ても) fiancee(ただの) is() a() commoner(じゃないか).」


 ハンカチーフで手をぬぐいながら、ダミアンはつぶやいた。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

次回更新も読んでいただけるとうれしいです(⋈◍>◡<◍)。✧♡


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