嵐の前の静けさ 1
「Oh, Misha.」
部屋へ戻る道すがら、感嘆したような声と遭遇した。
「I'm relieved to see you're looking much better.」
進行方向から、にこやかな笑みをたたえた人物が歩み寄ってくる。
――この人、ダミアンって人だったよね?
玄関前で初めて対面したときのことが思い出され彩那は身がまえた。仕立てのいいスーツに、黒光りした革靴を履いた装いは上流階級の匂いがした。
彩那はちらっとミハイルを見る。出迎え時よりも、いくぶんか落ちついた様子で内心ほっとした。
「Hi」
「は、ハイッ」
いきなり話しかけられ彩那は、ぎくりとなった。どうしたらいいかわからず、とにかく口角を上げて笑顔を取り繕う。
「ファーストコンタクト、ハ、ソーリー」
「の……のーぷろぶれむ‼」
申し訳なさそうに眉を下げるダミアンに、あわてて返事をした。
「ファーストコンタクト」つまりは玄関前で初めて会ったときのことを言っているのだろう。
「I couldn't stop worrying about Misha. He's my beloved cousin.」
英語だから意味はわからなかったけれど、ダミアンがミハイルを案じているのは伝わってきた。
「あ、あぃ、のう。おーけー」
「Thank you」
彩那の返事に、ダミアンは胸のつかえが取れたかのように表情を緩めた。その顔はどことなくミハイルと似ている気がする。
——やっぱり緊張していたせいかな
第一印象で判断したことに彩那は後ろめたくなった。
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