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悪役令嬢はハーレムを作りたい!  作者: 大天使ミコエル


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67 そして試験の結果は(2)

 先頭は、マーリーだった。

 やはり、この試験に一番気合が入っているのだろう。

 けれどこんな時でさえ、マーリーは品行方正としか言えない歩き方が崩れる事はなかった。


 クラスのみんなでざわつきながら、高等科の校舎へ入って行く。

 廊下を歩くと、白い張り紙が貼られているのが見えた。

 あれこそが、今回の試験の順位表だ。


 みんなが張り紙を見上げる前に、


「な……っ」


 マーリーの驚愕の声と、その顔に、みんなは気を取られてしまった。


「僕が……また負けた…………?」


 マーリーが、膝をつき絶望する。

 高等科から入った生徒達は、その絶望加減に戸惑いながらも、どうフォローしようか悩んでいるようだった。

 けれど、中等科からの仲間達はすでに見慣れた光景で、みんな温かく見守っていた。


 マーリーが、何か仕切りに呟く。

「やっぱり魔術のテーマはあっちの方が……」だとか、「語学のあの問題はやはりあっちの論法の方が……」なんて。

 前向きなマーリーは既に反省点を踏まえ、次にどうすべきかを考えるに至っていた。


 アリアナは、そんなマーリーの背中を見る。


 ……ちょっと可哀想だけれど、これでよかったのよね。

 ハーレムにこの人を引き入れるなら、私は勝っていたほうがいい。

 私がマーリーより上に居る限り、マーリーの視界には私が居るはずだから。


 そんなマーリーを取り囲み、クラスの面々は順位表を確認した。

 自分の順位を確認して、上位を確認する。

 上位を見て、「あ〜」とか「なるほどねぇ」とか、色々な思いが込められた声を上げ、それでもマーリーが思いきり落ち込んでいる手前、「おめでとう」だとか「誰が何位だ」だとかは言えずに、静かにその場を去って行った。


 アリアナがどうしようかとマーリーの背中を眺める。


 ここで見捨てて去ってしまうのは、ちょっと可哀想かしら。


 けれど間もなく、マーリーはやおら立ち上がり、

「次は負けないからな!」

 と、捨て台詞を吐いて走り去って行った。


「…………」


 マーリーの、泣きそうになっている背中を、アリアナは見送る。


 静かになった廊下。


 既に、その廊下に残っているのは、アリアナとレイノルドだけだ。


 アリアナは、順位表を見上げた。


 1 レイノルド・ルーファウス

 2 アリアナ・サウスフィールド

 3 マーリー・リンドベル


「…………」


 午後の少し熱くなった陽光が廊下に広がる。

 左側に突っ立っているレイノルドの気配を感じる。


 その距離、30センチ程。


 やっぱりレイには勝てないじゃない。


「おめでとう」

 誰も居なくなった廊下で、アリアナは小さく呟く。


 少しの沈黙の後で、

「そっちも。おめでとう」

 と返事が返ってきた。


 あなたには、負けちゃったけどね。


 さて、ここからどうしよう。

 幼馴染と二人きりなのだから、何も言わずに帰ってしまうのもおかしいだろうか。

 けど、レイノルドとわざわざ二人で歩くというのもなんだかおかしな気がした。


「…………」


 二人して、なんだか手持ち無沙汰な、おかしな沈黙を感じた。


「ふっ」

 その沈黙に、耐えきれなくなったのはアリアナの方だった。

「ふふふふふっ」

 次第にクスクス笑いが止まらなくなる。


「なんだよ……」

 レイノルドが呆れたようにアリアナの方を見た。

「だって、せっかく1位だったのに、“おめでとう”が、私の一つきりだなんて」

「別に、称賛が欲しくて試験受けてるわけじゃないからさ」

「夏休みが終われば、きっとみんな今日の順位なんて忘れちゃうわ」

「別にいいよ」

 レイノルドが廊下を歩き出す。


「ほら、僕達も帰ろう」


 言われて、アリアナはレイノルドの顔をこっそりと見上げた。

「そうね」

 二人で、既に誰も居なくなった廊下を歩き出す。


 レイは、私のダンス、見てたかな?

 まあ、見ていても見ていなくても、どっちでもいいか。

 上手いって言われても下手だって言われても、なんだか……喜べない気がするもの。

久しぶりのレイノルドくんのターン!

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