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悪役令嬢はハーレムを作りたい!  作者: 大天使ミコエル


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55/240

55 アイツ、なんなわけ?(1)

 一人、廊下を歩く。


 と、後ろから声が掛けられた。


「アイツ、なんなわけ?」


「……っ!」


 振り向くと、レイノルドが、アリアナに話しかけていた。


 そっと周りを見渡すけれど、他に話すような人はいないみたい。

 人がまばらな明るい廊下。

 間違いなく、レイノルドはアリアナに話しかけていた。


 声がうわずらないようにしなきゃ……。


「あの人、中等科からああなの」

「あんなに喧嘩腰?」

「そう。リンドベル学園長の息子さんなんだけど、どうやっても試験で私に勝てないから、ちょっとライバル視されちゃってるみたいで」

 ふはっ、とレイノルドが声を上げる。

「変なのに目を付けられたね」


「笑い事じゃないわ」

 口を尖らせる。


 そんな事を言いつつ、心の中でこっそりと、レイノルドと笑い合っている事に驚く。

 ……こうやって、二人で隣を歩くのも初めてだ。


 人がまばらな廊下を歩く。

 すぐ横に、レイノルドが居る。


 何でこんなにソワソワするの。

 ただ、ちょっと二人で話をしているだけなのに。


 緊張が、伝わらないようにしなきゃ。


「公爵家っていう立場上、悪意の目を向けられる覚悟はあるけど、まさかこんな事だとはね」


 レイノルドが真面目な顔になる。

 公爵家以上の家の人間は数が少ない。

 こういう事に関しては、レイノルドは数少ない、同じ意識を持てる人だ。


「アリアナ以外のアイツより上の奴は?」

「いないわ」

「なるほど、ね」


 そう、中等科に居た3年間。

 うちの学年は、常に1位はアリアナ・サウスフィールド、2位がマーリー・リンドベルだった。


「じゃあ、僕もアリアナに負けないように頑張らないとね」


「ふふっ」

 とアリアナが笑う。

「公爵家の人間として、精一杯やっていただけよ。エリックやレイがアカデミーに来た以上、お役御免だわ」


 高等科の大きな扉を二人でくぐると、少し傾いた太陽の光が、二人を照らした。

 眩しくて、目を細める。


 ふと、アリアナはレイノルドの方を見た。

 レイノルドのプラチナブロンドが、この光の中でどんな風に輝くのか気になった。


 チラリと見ただけだったのに、その視線に気付いたのか、レイノルドと目が合った。


「…………」


 まるで、今、目が合った事を無かった事にするかのように、目を逸らす。


「レイには簡単には、勝てないと思うわ」

「そんな事、ないでしょ」


 そう言うレイノルドは、ちょっとどこか、別の事を考えているみたいだった。


「余裕ぶっちゃって」

 アリアナがちょっとムッとした声を出すと、レイノルドがからかうような顔を向けた。


「じゃあ、僕はあっちだから」

 魔術棟の方を指差す。

「うん。また、明日」


「うん」


 どちらも手を振るでもなく、あっさりとわかれた。

 どうしていいかわからなかったのだ。


 手を振ったら、返してくれるんだろうか。

 けど、それほど仲良くない気もするし。


 なんだか、少しだけぼんやりとした意識の中で、アリアナは、振り返ることもなく一人歩いた。

ここからしばらくはラブコメパートです!

仲良くなってくれ!

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