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悪役令嬢はハーレムを作りたい!  作者: 大天使ミコエル


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52/240

52 ダブルデートってことでいいですか(2)

「ここだよ」

 とフリードが連れてきてくれたカフェというのは、メインストリートから少し脇に入った小さな店だった。

 オシャレだけれど、思ったより派手ではない。


「へぇ……」

 少し意外だった。

 刺繍屋と同じく、派手な店に連れて行かれるのかと思っていた。

 この辺りは令嬢達に話題のカフェもたくさんある。


「いらっしゃいませ」

 中に入ると、思ったよりもシンプルな店だった。

 綺麗さよりも可愛らしさを押し出したティーカップ。

 ショーケースの素朴なケーキ。

 パンのコーナーもあり、食事にもぴったりだ。


「あ、スレイマン様」

 店長らしき男性が、フリードに声をかける。

「こんにちは」


 知り合い……?


 アリアナが気にした事に気づいたのか、フリードがこっそりと耳打ちする。


「ここは、うちの母が気にかけてる店なんだ」


 なあるほど。


 アリアナは、心の中でふむふむ、なんて思う。

 このデートのお誘いだと思っていたものは、宣伝だったんだ……。


 きっと伯爵夫人本人が出資してるとか、経営してるとか、そういう類の店なのだろう。

 まあ、伯爵夫人が目をかけてるくらいだから、あの美味しそうなケーキは実際美味しいのだろうけど。


 抜け目がないわね。


 4人でテーブルへ座る。

 小さなテーブルに座ると、店の立地も相まって、なんだかちょっとした隠れ家にいる気分だ。


 こんな風に、“自分だけが知っている店”感を演出するのね。


 貴族のご令嬢方は、社交界で疲れる事もある。

 こんな風に一人でこっそりとお茶が飲める場所を持っている事は、ちょっとした楽しみになるはずだ。


 それでいて、特に令嬢が足を運ぶのにちょうどいい小綺麗さがあり、素敵な店だ。


 アリアナとシシリーが並ぶ正面に、フリードとジェイリーが並んだ。

 アリアナの目の前に座るフリードが、にっこりと、

「デートみたいだね」

 と言い放つ。

 それに呼応するように、アリアナは照れたような顔を作り、

「そうですね」

 と答えたけれど。

 自分の家の店の宣伝に呼んでおいて、“デート”とは……なんてちょっと不服ではある。


 それにしても、これだけの伝手がある人、やっぱり魅力的だわ。


 仲良くなってはおきたいけど、軽く見るのは危ない気がする。

 女の子には慣れているだろうし、猫撫で声を出すだけでは、なんともならないだろう。


 出てきたケーキは、素朴ながらも、本当に美味しいケーキだった。

 素材がいいのだろう。

 どこで買い付けているか聞きたいくらいだわ。


「ん〜〜〜〜…………っ」

 隣から、感嘆の声が聞こえる。

 ふと見ると、シシリーが、令嬢らしく平静を装おうとして失敗しているのが目に入った。

 私の友達は、こういうところが可愛い。


「美味しいわね」

「ええ、本当に!」

 反射的に顔を上げたシシリーは、もう嬉しさを隠す事もない。


 ジェイリーがそんなシシリーを見て、微笑んだ。

「本当に、美味しいですね」

 ジェイリーも素直なものだから、素直に目がキラキラしている。


 この二人は純粋でいいわね。


 なんだかほっこりしてケーキをいただく。


 ……またライトとケーキを食べるのもいいなぁなんて思いながら、存外のんびりとした時間を過ごした。

別に照れていないけれど、照れ顔を作れる。

貴族令嬢としての特技でしょうか。

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