51 ダブルデートってことでいいですか(1)
アカデミーでは、週に2日休日がある。
学生達は休日を使い、買い物やお茶会、パーティーなどを楽しむ。
パーティーから1週間後の休日。
アリアナはシシリーと、護衛としてジェイリーを連れ、フリードと4人、街へ出ていた。
貴族向けの通りにある大きな店は、パステル調で整えられた門構えだ。
フリードが、大きな木の扉を開ける。
すると、一層華やかな店内が目に入った。
「わぁ……」
アリアナとシシリーが思わず声をあげる。
リボンや生地が広がる店内。
どれも綺麗な刺繍がしてあった。
花や鳥だけではなく、ドラゴンや風景など、変わった刺繍も揃っている。
それぞれの刺繍は、その刺繍がとても映えるようにライトが当てられ、どれも魅力的だ。
左門なら、この黒い翼が金で飾られている刺繍が気に入りそうね。
左門は、とにかく、派手なものが好きだったから。
感嘆の表情を隠さず、二人で眺める。
「いらっしゃいませ」
声がした方を見ると、頭のてっぺんにお団子を作った眼鏡の女性が出てきた。
「こんにちは」
女性はフリードに目を留めると、
「これはこれは。スレイマン様」
とお辞儀をする。
「今日は、時間を作ってくれてどうもありがとう」
フリードが笑顔を振りまく。
店内にいた女性客や店員さんが、ノックアウトされるのを見た。
普段から、かなりのイケメンに囲まれているアリアナには効かなかったけれど。
「こちらは、この店の主人、クレインだ」
「どうぞよろしくお願いします」
アリアナもフリードに負けじと、笑顔を振る舞う。
フリードと一緒に出掛ける予定だとライトに言った時は、「軽率だよ」と苦い顔で言われて、どうしようかと思ったけれど。
やはり、この話題の店の店主と知り合えるチャンスを逃すわけにはいかなかった。
それからすぐに奥の部屋へ案内され、アリアナ、シシリー、ジェイリーの3人は、それぞれの服に刺繍をしてもらう事になった。
刺繍は、持ち込んだドレスに刺繍をつけてもらう方法と、カタログから新しいドレスを注文し刺繍をしてもらう方法がある。
3人は3人とも、注文する方法で新しい服を買った。
「俺の服まで良かったんですかね」
ジェイリーが照れながら言う。
「何言ってるのよ。護衛としても必要だけど、今日は侯爵令息としてそばにいなさい」
アリアナがツンとした。
「そうですよ。ジェイリー様は私より位も高いんですから」
シシリーがケラケラと笑う。
そういうシシリーも、お祖父様は王宮勤めのなかなかの有力者で、かなりのお嬢様だ。
それにしても、話題の店にこんなに簡単に入れるなんて、ね。
刺繍の様子を見て、服飾関連について調べておいても損はなさそうね。
話題のお店はやっぱり気になりますよね!




