48 ドレスを着る日(4)
しん、と静まり返り、そこにいる全ての人間が大きな扉に注目する。
ズン、と開く扉の向こうの人影に、誰もが息を呑む。
そこには、王家の子供達が3人、揃って立っていた。
子供とはいえ、王家の人間が3人も顔を出すパーティーなど、あまりない事だ。
それだけ、王家が公爵家との関わりを大切にしていると示しているに他ならなかった。
3人は、公爵とその夫人と挨拶を交わすと、一直線にサウスフィールドの兄弟達の方へやってきた。
「お招きありがとう、ロドリアス」
「こちらこそ、来てくれて嬉しいよ」
ルーファウス家も含む子供達の中で誰よりも年長のプリシラは、みんなのお姉さんといった感じだ。
「やあ、アリアナ」
エリックが寄ってくる。
兄弟達の中で、アリアナ、エリック、レイノルド以外は、年齢がバラバラだ。
この3人が仲良くなるのは、ある意味必然でもあった。
「こんにちは、エリック」
くっつくように並ぶ。
エリックは、いつだって他人との距離がどことなく近い。
「あら、レイノルドは?」
王家の次女であるキアラが、キョロキョロと見回す。
それに応えるように、エリックがキョロキョロとレイノルドを探すふりをした。
「何処にいるんだろうね」
別に居なくてもいいといった風情だ。
「さっき見かけたけれど」
アリアナが探し出したところで、アレスが声をあげる。
「ああ、居た居た」
アレスが手を上げた。
「レイ!」
アリアナは、ふっと顔をこちらにあげるレイノルドを見た。
端正な顔立ちがこちらを見る。
目が合った気がした。
「…………」
なるべく自然に見えるように目を逸らす。
「アリアナ」
隣に立っていたエリックが呼んだので、そっと声に耳を傾ける。
「久しぶりにみんなが揃うね」
そう。
数人でお茶を飲んだりすることはあっても、この王家と公爵家の子供達が揃うのは本当に久しぶりだ。
「そうね。だんだんみんな忙しくなってしまったから」
つん、と口を尖らせると、隣で「ふふっ」と笑う声が聞こえた。
「そんな顔してると、公爵令嬢はそんな顔なんだってみんなに覚えられちゃうよ」
「もう……、そんな事ないわよ」
二人で笑い合う。
レイノルドから目を逸らしたのがほんの少し気まずかったので、話しかけられてむしろ良かっただろうか。
レイノルドがそばまで来たけれど、さっき挨拶もしてしまったし、話す事もなく、なんだか気まずい。
「…………」
何かを話そうとして、やめる。
そんな事を2回ほど続けた時、
「アリアナ」
と、エリックが、アリアナの髪に手を伸ばした。
髪型が崩れないよう、そっと髪の先を触る。
「ん?」
「今日は綺麗だね、アリアナ」
「え……」
何の前触れもなく、褒めるので、ちょっとびっくりしてしまう。
少しだけ照れながら、にっこりと笑みを浮かべた。
「ありがとう」
エリックが、不機嫌になったレイノルドに、ドヤ顔を送った。
そんな風に揃った子供達は、またいつかピクニックでもしようと約束をして、笑い合った。
子供であってもなかなか忙しいので、8人揃うのはなかなかない事でしょうね。けど、仲良しです。




