39 剣術大会(2)
中等科の出場者は40人ほど。
剣を嗜む者も高等科に比べて少なく、生徒数と比較して出場者は多いが、遊びのような試合も多い。
それ故か、一試合ごとは短く、怪我も多いが、笑顔も多い。
そんな中でも、飛び抜けて剣の使い手とされるのが6人。
その中に、シャルル・バーガンディも居た。
順調に勝ち上がっていくシャルルを眺め、アリアナは心の中でほくそ笑んでいた。
戦った時にも感じたけれど、あの真っ直ぐさ。熱が入っているのに冷静でいられるあの冷たさは、かなりの武器だわ。
決勝戦。
目の前では、シャルルと、優勝候補の女子生徒が対峙する。
あの女の子も、かなりの剣の使い手。腕だけなら、シャルルよりも上かもしれない。
けれど、ここまでの連戦でもう息が上がっているわ。
周りの黄色い声援に混じって、アリアナも声を上げた。
「シャルルすごいわ!次は決勝よ!」
「声、でかい」
アリアナの右隣から声がした。
「レイ。あなたも楽しんだ方がいいわよ」
少し、呆れながら言う。
そりゃあ、魔術師のレイにとって、剣で斬り合うのはあまり好ましいものでは、ないかもしれないけれど。
「僕だって楽しんでるよ。ただ、何処かの公爵令嬢の声が、大きいなって思っただけ」
「む〜〜〜〜」
そんな事を言い合ってあるうちに、決勝戦は始まった。
木剣の打ち合う音が聞こえる。
シャルルの素直な剣。
やっぱり剣の腕なら相手が上だわ。
けど。
「がんばれー!」
アリアナが叫ぶと、その瞬間、シャルルの動きが鋭くなった。
「……!」
シャルルの剣で、相手が尻餅をつき、シャルルが追い詰める事で勝負がついた。
一瞬、会場がしんと静まりかえる。
「や……っ……たあああ!」
会場が、大歓声に包まれた。
シャルルが、優勝したのだ。
シシリーと共に、手を取り合い、勝利を祝う。
「次は、あなたの番よ。アリアナ」
シシリーがアリアナの手を握った。
中等科の試合が終わったら、すぐに高等科の出場者が集合する。
シシリーの真っ直ぐな瞳に頷く。
「じゃあ、行くわ」
アリアナが、立ち上がりかけたところで、腕が引かれた。
え?
くるりと後ろを振り向くと、レイノルドと目が合う。
レイノルドが、アリアナの腕を離す。
「…………」
そして、何かを言うでもなく、困ったような顔をした。
そんな顔をするくらいなら、話しかけなくていいのに。
くるりと踵を返す。
と、後ろから、
「アリアナ、応援してるよ」
と声がした。
「…………」
そんな事を言うために、引き留めたの?
こっそりと覗き込むと、レイノルドは少し伏せた視線で、アリアナの方を向いていた。
ふっと笑顔を作る。
「ありがと」
言い終わる前に、アリアナは、早足で控え室へ向かう。
そんな事を言うためだけに、私を引き留めたの?
心なしか、心が軽い。
ロドリアスもジェイリーも居る剣術大会。
上位に食い込む事すら出来ないだろうけれど。
精一杯、剣を振るおう。
レイノルドくんとしては、これが今の精一杯なので!これでも頑張ってるんだよ!




