25 学内探検
翌日、約束通り、昼食時にアリアナはドラーグと探検に出掛けた。
といっても、昼食には1時間半ほどの時間しかないので、高等科の校舎周辺、高等科の生徒が出歩ける範囲のことだ。
カツカツと、校舎から茶色の石畳を歩く。
並木道まで来ると、左側にピクニックに最適な原っぱが広がる。
木の上からはリスが顔を覗かせる。
離れた場所には、テーブルやガゼボ等も見える。
「遠くに見えるのが魔術棟。実習なんかもあるから、事故があっても大事にならないように、他の棟とは離れているし、とても大きくて頑丈なのよ」
二人、並んで歩きつつ……、いや、どちらかと言えばアリアナがドラーグを引き連れつつ、アカデミー内を見て回る。
ドラーグは背が高いので、なかなか凄みがあるはずだ。
ふふん。
このまま人数を増やして、全員を引き連れて歩きたいわね。
歩いて行くと、それほど遠くない場所にカフェ街がある。
ここは、高等科そばに作られているカフェ街だ。
他に、中等科や教師棟近くなど、所々にそれぞれカフェ街は点在している。
「今日は何を食べようかしらね」
「俺、肉がいいな」
「肉ね。ステーキなんかもあるけど。今日はもうちょっと歩きたいから、ハンバーガーでもいいかしら」
「ああ」
素直でいいわね。
一見、不良っぽいけれど、中身はそうでもないようだ。
カフェのハンバーガーショップでハンバーガーを買うと、一人分ずつ簡単なバスケットに入れて渡された。
「これで、もう昼食は食べられるわね」
少しからかうように言うと、
「ああ」
と、嬉しそうに笑う。
いつも冷めた顔をしているくせに。
うん、ちょっと猫みたいだわ。
カフェ街を通り抜けて、少し歩くと、整理された庭園に出た。
バラの花壇が散歩道を作っている。所々に、小さな温室やガゼボが見えた。
「この庭園に入らずに、校舎の裏手に行くと、訓練場があるの」
「ふーん」と、ドラーグがそちらの方を眺める。
遠くから、カン、カン、と剣を合わせる音がする。
庭園を抜けると、訓練場前の運動場がよく見える。
そこを目指し、庭園を抜けて行くと、庭園の中のちょっとした広場のベンチに、誰かいるのが見えた。
紺色の制服。プラチナブロンド。
後ろ姿だけでわかる、レイノルドの姿だった。
どうやら、本を読んでいるようだ。
どうせ、友達として関われないのだから。
ううん。
ライトの言葉を思い出す。
『相手だって、どうしていいのかわからないだけかもしれない』
おてんば姫と呼ばれていたあの日、私のせいで倒れてしまったレイの事を思い出す。
終わってしまったと思っていた関係が、本当に、また始まるというのなら。
「こんにちは、レイ」
アリアナの声で、ふっと、レイノルドが、こちらを見る。
「アリアナ」
アリアナを目に留めて、そして、その隣、というか少し後ろに、従者のように引き連れているクラスメイトの男を見て、レイノルドはあからさまに表情を固くした。
ハーレム候補の男。
二人きり。
同じ昼食。
人気のない場所。
「今、校舎周辺を探検しているのだけど、あなたも来る?」
は?という表情をしてから、レイノルドは、ちょっと拗ねたように、
「行くわけないでしょ」
と、アリアナを一蹴した。
ハーレム1人目と言っても過言ではないね。




