24 お昼ご飯は食べました?(2)
「慣れてなくて、さ」
そう言いながら、ドラーグが手首にかかる宝石付きの腕輪を示した。
アカデミーでは、生徒達に、魔法陣付随のペンダントトップのような宝石が配られる。
これは、アカデミー内で、お金の代わりになるものだ。
実際のところ、生徒ならば、わざわざアカデミー内の店で、お金を出して買う必要はない。
昼食程度賄えるほどの金額は、学費として支払われている。
けれど、この国のトップに立つ者を育成する機関として、金銭感覚は失わせてはいけないと、形だけでも金銭のやり取りが行われている。
全てのものには値札があり、生徒ならばこの宝石を読取機に読み取らせることで、品物を手に入れることが出来るのだ。
宝石は持ち歩いていればどのような形でも問題はなく、腕輪のようにする者も居れば、ペンダントにする者も居る。
アリアナは、ただ、キーホルダーのようにスカートに吊り下げている。
アリアナが、「フフッ」と笑う。
「あなたみたいにお金に慣れている人が、昼食を買うのも怖いだなんて」
「……俺みたいな平民が、何処に居ればいいのかわからないし」
やっぱり、高等科から入ってきて不安なんだ。
周りは貴族ばかりだものね。
「心配しなくても、平民はクラスにも何人かいるし、いじめられたなんていう話は聞かないわ」
そこで、少し困ったような顔をしたドラーグに、バスケットを差し出す。
「沢山持ってきすぎてしまったの。半分どうぞ」
「そ、んな。サウスフィールドのお嬢様に、……恵んでもらうなんて」
「恵んでるんじゃないわ。タイリウ商会がお金持ちなのは、誰だって知ってることよ。これは、たまたまそこに居たクラスメイトへのお裾分け」
そこで、全力のにっこりをお見舞いしてあげる。
この、ホストを学んだ公爵令嬢の笑顔に勝てる人間など居ないのだ。
「あ〜……、ああ。じゃあ、いただくよ」
そこからは、意外とほっこりとした時間だった。
二人でお茶を飲み、公爵邸お抱えのシェフが作ったサンドイッチを食べながら、ちょっとした雑談をした。
今までどんな学校に居たかだの、どんな授業を取るかだの、新しいクラスで出会ったクラスメイトが盛り上がる、よくある雑談だ。
「じゃあ、明日は一緒にアカデミーを探検しましょ」
「え……。けどそれじゃあ、サウスフィールド、公爵令嬢が」
「あら」
どうやらドラーグは、敬語を使わないといけないと思ったようだ。
「王子の宣言、聞いたわね?アカデミーでは、生徒はみんなが対等なの。そんなに丁寧にしなくていいわ」
にっこりと微笑む。
「名前でいいのよ」
「…………アリアナ」
呼び捨てだと、すっかり友人のようだ。
まあ、いいわ。
ハーレムに入れる予定の人だものね。
アリアナは、「フフン」という顔をした。
「私とお友達だって、少し見せておいたらいいわ。あなたもその方が、安心出来るでしょうからね」
着実にハーレム作りが進んでると言えるんじゃないでしょうか!




