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167 ハーレムに入れてよ(1)

「存在は知ってるけど、あまり詳しくないんだ」


 という返事が、少し暗い表情と共に返ってきた。


「そうなのね」


 ……聞いてはいけない話だったのかしら。

 あまり好きじゃないとか?


 それ以上突っ込む事も出来ずに、その話はそれで終わった。



 打ち上げも終わり、みんなで会議室に戻る間も、アリアナはレイノルドと二人で歩いた。


 隣同士の会議室に入る時、特に何も言わず、振り返りもせずにお互いの部屋に入って行く。

 けど、それもなんだかくすぐったかった。


 簡単な片付けの打ち合わせを終え、一人部屋に残ったのをいいことに、ソファに飛び込む。

 アリアナは、クッションに抱きつき、足をバタつかせた。


 言葉に出来ない感情が渦巻く。


「ふぅ……」


 一息ついたところで、扉を出る。


 と、そこには、意外な人物がいた。


「やぁ」


 ジル・ディール先生……。


 ヴァドル王国から来た国王の弟で、国王から逃げ回っている問題児……。


 目の前に立つと、スラリと背が高い。


「アリアナさん。少し話したいんだけどいいかな」


「はい、どうぞ」


 ……素性はわかっている人だけど、寄りによって一人きりの時に。あまり、いい気分じゃないな。


 威圧されないよう、ドレスの裾を捌いてシャッキリと立つ。


「君さぁ、男の子達侍らせてるよね」


 いきなり不躾な会話だった。


 侍らせてる……か。

 まあ、そういうことになるのだろうな。


 ハーレムを作るのは、それほど隠す事でもない。

 今日のように、こうして引き連れて歩くのも、不安はない。


「ええ。そうですけど」


「パーティーで見たよ。すごいメンバーだよね。この国のトップにでもなりそうな」


「…………」


 正直、この国のイケメンを揃えたらそうなってしまっただけだけど。

 まあそうね。

 外側だけ良くても、意味がないもの。そんな人が集まるのは必然だわ。


「女王様……っていうより、ドンって感じだったよ」


「…………」


 ……!?


 アリアナはスンとした表情を保ち続けたけれど、心の中はハテナでいっぱいだ。


 ドンって何よ!?

 マフィアのドンってこと!?

 この美少女捕まえてなんて事を……。


「それで、さ」


 真っ直ぐな瞳。

 髪が強い赤でそちらに目が行きがちだけれど、瞳も強く光を放っている。

 ……流石、王家の人間なだけある。

 この力強さ。


「ボクも、そこに入れてくれないかな」


「え…………」


 ジル・ディールはアリアナの目の前で頭を下げた。


「ずっと居場所を探してたんだよね。色々旅してても、みんな、どこか距離があってさ。異国の君の下でなら……変に持ち上げられる事もない。楽しそうだって思ったんだ」


 この人……何考えてるの……。


「……誰でもいいってわけじゃないので」


 ここで去ってしまいたいけど、ジル・ディールが退いてくれないと、帰るに帰れない狭い廊下だ。


「よく、知ってもらうよう努力するよ」


 上から、見下ろされるような視線。


「…………」


 そこで、

「アリアナ?」

 ジル・ディールの後ろから、声が聞こえた。


 レイノルドだ。


 よかった……。


「それじゃあ先生、私、もう行きますので」


「…………ああ」


 スッとすれ違い、急ぎすぎない歩調で、レイノルドの元に歩く。


 ……よかった。

 レイが来てくれて。

ここから新展開って事でいいかな!

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