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155 魔術師館の裏事情

 レイノルドは、アリアナが来た時、占いの部屋のバックヤードに居た。


「アリアナ様、来たみたいですよ」

 三つ編みの女子生徒が肘でつつく。


「あ……ああ」


 けど、占い中に覗くわけにもいかない。

 誰との相性を占うのか気が気じゃない自分の顔を見せるわけにもいかない。


 けど、もし、あの数字が出たら……。



 1ヶ月前。

 相性占いの魔法陣を描いたのは、レイノルドだった。


「好きな動物が一緒だと、1ポイント、と」


 基本的には、統計に基づいた質問の内容で、ポイント加算していく普通の相性占いだ。

 それに加えて、手から感じる熱で本気度を測る。

 そして、占い相手が別の水晶玉で自分を占った事があれば大幅加算。


「ほほうほうほう」


 陣を組んでいると、後ろから声がした。


「レイノルド様の想い人は、アリアナ様っていうんっスね〜」


 後ろから顔を出したのは、中等科の女生徒二人組だった。

 ルーファウス公爵家が、公に面倒を見ている家の者で、魔術の心得がある。


 三つ編みの女生徒ヒョルトと、眼鏡の女生徒イェルンは二人とも中等科2年。

 どうやら気が合うらしく、いつも一緒にいる。


「そうだよ」

 大人しく白状する。


「けど、アリアナ様って言ったら……家同士の関係が……」


「そんなの関係ないんだ」


「ふへぇ〜」

 二人とも、若干ニヤついている。

「ワタシは嬉しいですけどねぇ。冷めてると思ってたレイノルド様が、自分の恋心にここまで翻弄されているのを見ると、ああ〜人間だったんだ〜……って思えるっスから」


 水晶玉の魔法陣の点数は、どういう計算で積んでも、せいぜいが95%といったところ。


 けれどレイノルドは、アリアナに関してだけ特別な陣を組んだ。

『アリアナ・サウスフィールドとレイノルド・ルーファウスだった場合、100%』

『アリアナ・サウスフィールドと、ハーレム候補の人間なら50%』

『アリアナ・サウスフィールドと、ジェイリー・アーノルドなら20%』


 ……正直、レイノルドはジェイリーがアリアナの婚約者候補である事を気にしていた。

 少しでも、可能性が潰せるのなら。


 とはいえ。

 これが使われる事はないだろう。特に100%は。

 僕が水晶玉でアリアナとの相性を占う事はないから。

 アリアナが占いの部屋まで来て、僕との相性を占う事でしか、使われる事がない。


 もし、そんな事があるなら。


 僕は……、少しは期待してもいいだろうか。


 もし…………。



「相性は…………100%です!!!!」


 それは、使われるはずのない言葉だった。


「!!!!」


 アリアナが……!?

 僕との相性を……占った……。


 慌てて、占いの部屋の表側へ回る。


 ここから出てきたとき、僕はどんな顔をしたらいいだろう。


 アリアナ。


 君に早く……。


「相性は……50%です!」


「…………」


「相性は……50%です!」


「………………」


「相性は……50%です!」


「………………………………」

まあ、この100%は、普通に相性占いするよりも正確なはずです。

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