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153 魔術師館の相性占い(1)

 アリアナは、一人、文化祭の中心地であるホールの方へ向かった。


 この一大イベントである文化祭。

 もちろんアリアナにも、見たいものがないわけではない。


 大ホールの前で、演目一覧を眺める。

 少し後にちょうど、エリックの一人舞台と、お兄様の出演する演劇が続けてあるわ。

 少し長いけれど、店のみんなが送り出してくれたのだからどうせなら見たいものだ。


 少し時間が空くけれど、どこに行こうかな。


 そんな事を考える振りをしたけれど、行きたい場所はもう決まっていた。


 レイに、行くって言ったから……。


 案内所に出店一覧があったので、それを一枚もらい、レイの居る建物を見上げた。



 ソワソワする。


 “相性占い”って言ってたわよね。


 廊下をこっそりと歩く。

 レイに会うと、気まずいかもしれない……。


 小ホールのある棟の階段を上がり、ざわつく廊下を歩く。


 すると、小さな黒いプレートがかかった扉を見つける。


『魔術棟』……ここね。


 ドキドキしながらこそっと覗く。


 中は、少し驚くほど薄暗い。

 どうやら黒いカーテンで小部屋のように部屋が分かれているようだった。


「いらっしゃいませ」


 アリアナに声がかけられる。


「……どうも」


 それは、フードを被った背の低い女の子だった。

 眼鏡をかけ、肩までの髪をおろしている。


「あの……、レイノルドは?知り合いなのだけど」


「ああ、レイノルド様っスか」

 目の前の魔術師さんは、急に砕けた口調になる。

 最初より、声まで少し低くなった。


 こんな子と、いつも一緒に居るのね。

 私とは正反対……。


「さっきまで居たんスけど……」


 口籠る。

 確かに、この暗さでは居たところでわからないだろう。


「まあ、いいわ。来た事を伝えてくれれば」


「わかりましたっス。アリアナ様、ですかね?」

「ええ、そうよ」

 少しドキッとするけれど、知らない人に名を知られている事はそれほど珍しい事ではない。これでも公爵令嬢だ。


「では、こちらへどうぞ」

 案内されたところは、一つの小部屋だった。

 真ん中に小さなテーブルが置いてあり、その中心にあるのは透明な水晶玉。

 下に魔法陣が描かれているのが見える。


 眼鏡の少女と向かい合うと、水晶玉はぽわっと微かに光を放った。


「ここで行う事ができるのは、恋愛に関しての相性占いです」

 眼鏡の少女は、また占い師モードに入ったようだった。

「水晶玉に手を載せれば、あなたが心で思った答えを読みとります。水晶玉から質問がくるので、心の中で答えていただければ結構です」


 ……すごい仕組み。

 魔術というくらいだから、正直、ぱああっと不思議パワーで相性がわかるのかと思ったけれど、そういうわけではないらしい。


「では、始めます」

「はい」

まあ、そりゃあ、行くとしたらレイノルドくんのところだよね!

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