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152 1日目!(3)

 ドラーグとアイリは、結局二人そろって戻って来た。

 手には、チャーハンや、カステラ、ケーキ、ジュース、たこ焼き、チキンソテーと、沢山の食べ物が一つずつ。


「ありがとう!これを買ったのは……ドラーグね」


 ドラーグなら、情報収集がてら、色々なものを手に入れてくるだろうと思ったのだ。


「ああ」


 ビンゴ!


「じゃあ、感想をこの紙に」

 と、ドラーグがいそいそと紙を取り出す。


「わざわざ昼食のために感想!?」


「これでも譲歩してるんだぞ?全部一口ずつ味見したいところを」


「……しょうがないわね」


 昼食はそんな風に済ませた。



 お昼を過ぎると、アリアナは、一人、休憩に出された。

「アリアナ様だけ休憩行ってないじゃないですか!私達も慣れてきましたし、ね?」

 というわけで、ゴシックワンピースを着たまま、店を追い出される。


「……まったく、あの子ったら」


 店はまだまだ繁盛している。

 このまま店を後にするのは少し忍びないけれど、……確かにこのまま文化祭を見ずに終わらせてしまうのも勿体無い話ではある。


 隣の店舗を見れば、鉢巻を巻いたマーリー・リンドベルが、外向きのカウンターで、例の問題集を売り捌いているところだった。

 マーリーの店舗は、アリアナの店がショーウィンドウにしている窓を取り払い、そこをカウンターにして問題集を売っていた。

 5人ほどで列ができている。

 店舗の中では、商品の説明、どのように予想を立てたかの講義が行われているらしい。


 アリアナがひょこひょこと遠巻きに見ていると、ふとマーリーと目が合った。


 こちらにドヤ顔を向けてくる。

 そしてアリアナの前で、商品が入っていたであろう空の木箱を見せてくる。

 空になった木箱が2つ、3つ……?


 ……単価はうちの20分の1くらいか。

 この好評な様子は、無視するわけにはいかないわね。


 マーリーのドヤ顔に、ツンとした顔を返すと、マーリーは生意気にもニヤリと笑った。


 ……まったく。

 私に勝てた事なんてないくせに!


 自分の店舗にも目をやる。


 なかなか悪くない!


 そこへ、『ハローハーモニー』から出てきた女の子に気づく。


 あ……。


 服が、うちの服だ。

 それは、フェミニンな一着。

 ふんわりとした、それでいて甘くないワンピースの上にボレロを羽織っている。


 ……服を着て、文化祭を回ってくれるんだ。


 嬉しそうな照れたような微笑みが、アリアナの前を横切っていく。


 ああ、わかるよ。

 左門、あなたは、落ち込んでいる女の子が笑顔を見せる度に、あったかい気持ちになったよね。

 空回りだったけど、笑わせようと努力した事だってある。

 緊張で下を向いている女の子がいれば、必ず声をかけたよね。


 それがこんなにも、嬉しい事だったなんてね。


 ねえ、左門。


 あなたの記憶と心を受け継いで、こんなに嬉しかった事、今まであったかしら。


 ふふ、なんだか泣きそうだ。

次回はアリアナが文化祭をまわります!

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