149 文化祭が始まる
文化祭5日前。
少しずつやっていた飾り付けもいよいよ完成だ。
「看板あげるわよ」
「おう」
「はい、上~~~」
「お前はいいよな、見てるだけだから」
「バランスよく配置するのに、私が見なくて誰が見るのよ」
アリアナがドラーグに向かってツンとする。
「お二人ともがんばってください!」
アイリが両手をぐーに握る。
看板の端を持ったフリードが、笑った。
「ほら、ドラーグ、行くよ」
「ああ」
「せーのっ」
そして『ハローハーモニー』の看板は掲げられた。
なかなかに晴れた空の下。
なかなかにオシャレな看板で、なかなかいい店が完成した。
「かーんせーい」
4人でハイタッチする。
「きれいなパステルカラーね」
「かわいくなりましたよね」
「そうね!このセンスが男二人のものだなんて思わないわね」
店舗の中は、ミントグリーンの縦縞の壁紙で、なかなかさっぱりしたファンシーさを醸し出している。
木製の明るい色の家具も、かわいい。
これらは全てドラーグが商会で格安で買い付けたものを、フリードが選んだものだ。
壁紙を張るのも、家具を置くのも、フリードが配置決めして、男二人で運び込んだ。
……私がいない方が可愛くなるとかないわよね……。
それにしてもこの二人、ずいぶん仲良くなったし、……ハーレム宮を作る時には、部屋を隣同士にしてあげよう。
そこから、2日かけて商品を運び込んだ。
「テイスト毎に分けるよ。店舗は大まかに6つに区切ってある。1つはショーウィンドウだから、5種類全て置いて。後の5つをテイスト毎に分けよう」
フリードは服が出来上がってくる頃には、すっかり5つのテイストを把握していて、飾り付けも完璧にやってみせた。
店舗には、カウンターにもできる大きな窓がはめ込んである。
そこをショーウィンドウにして飾り付けたのもフリードだった。
……伯爵家のお坊ちゃんは、本当にこういう事に強かったのね……。
その間、アリアナとアイリは、会計のしかたを勉強をしていた。
アイリは普段から勉強を頑張っているだけ、なかなか筋がいい。
そんなわけで店舗には、10種類の服が店に並べられた。
10種類なんてそれほど多くはないし、それほど豪華な店にはならないと思っていたけれど、内装のおかげか、デザインのおかげか、町で出しても恥ずかしくない店になった。
フリード・スレイマン……。
人気があるのは、社交界を牽引するスレイマン伯爵夫人のおかげかと思っていたけれど、本人がこういった方面に優秀である事を認めざるを得ない。
結局、文化祭二日前には、商品を並べ、カウンターの準備も整って、かわいいお店が出来上がった。
「いいじゃなーい」
アリアナは、顔がニマニマとなるのを抑える事ができない。アイリもニコニコとしていたし、他の二人もいつになく明るい顔になっていた。
「じゃあ、本番がんばりましょう!」
「おー!」
次回から文化祭当日〜いうことで!