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147 場所取り合戦(3)

「ふぅん。まあ、残念ながら君達とはジャンルが違うと思うよ」

 マーリーが、いつものドヤ顔になる。

「僕らは、問題集を作る予定なんだ」


「問題集?」


 また勉強熱心な事だ。


「そう。それも、ただの問題集じゃない。過去の試験問題を集めて、過去問や予想問題を掲載したものだ」


「え……っ」


「それも、授業ごとのポイントをまとめたページもある」


「な……っ、なんでそんな…………。それって…………取り置き頼める?」


 そう言うと、マーリーのドヤ顔がさらに偉そうになった。


「アリアナなら特別に、無料でいいよ」


 無料で!?


 これはもしや、私の魅力に落ちたってことかしら!?


「ただし、売上でうちに勝てたらね」


 まあ、そんなわけないわね。いつものやつね。


「……いつだって私が買ってるんだから、今回も私が勝つに決まってるわ」


「どうかな」


 マーリーがにっこりと笑う。

 正直、問題集が魅力的な商品である事には違いなかった。


「アリアナ」


 そこへ後ろから声を掛けてきたのは、レイノルドだった。


「レイ」


 レイノルドは、自然とアリアナの隣に並んだ。


「あなたもお茶会に出る?」

「ああ。一応代表だからね」


「レイは、どの辺り狙ってるの?」


「水晶玉の仕組みがね、思ったより大きな部屋が必要になりそうなんだ」

「部屋?」

「ああ。魔法陣を天井か何かに固定しないと、複雑なのはね。だから、屋内の大きい部屋じゃないと無理そうだ」


「そうなのね」


 相性占いをするってだけで、意外と大変なのね。

 という事は、どうあっても近くにはならないという事だ。

 ちょっと残念。

 ……別に、隣に並びたいと思った訳じゃないけど。


「うちは、カフェ手前の西側の屋外店舗を狙ってるの」


「あ?」

 不満のこもったマーリーの声。

「うちもそこを狙ってる」


「ふぅん」


 ……まあ、あの場所の店舗は一つじゃないし。

 わざわざ敵対する必要も結託する必要もないわ。



 外に出ると、30人程の参加者が居た。


 そもそも、生徒のほとんどは貴族。自分の領地の宣伝や商売の体験などの理由で出店は多いのだ。

 エリックのように、一人で舞台に上がる度胸があればそれもいいけれど。


 情報交換がメインのティーパーティーは立食パーティーだった。

 ドラーグの作ってくれた表を元に、何人かと話していく。


 ……これでほとんどの情報は得られたかしら。


 黙々と作業を進めている団体は、商品を教えてくれないことも多かったけれど、希望場所はあらかた集められた。


 隅で一人、グラスを持つレイノルドを見つける。


 ちょこん、と隣に立っても、特に何も言われる事はなかった。


「やるべき事は終わった?」

「ああ。そもそも、うちは部屋の大きさ重視だから。場所的な事以外は、あまり興味ないんだ」

「……魔術がそんなに場所を取るなんて知らなかったわ。……当日になったら、遊びに行くわね」

 何気なく言った言葉だったけれど、レイノルドは思いの外嬉しそうな顔をした。


「うん、待ってるよ」

これでもレイノルドくん的に、アリアナとの距離を詰めるべくがんばっているのです。

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