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146 場所取り合戦(2)

 “話し合い”の日が約1週間後に決まった今、会議室には、ぽつぽつと封書が届いていた。


 内容は、何の店になる予定なのか、場所は何処を希望しているのかといった、予想通りの質問だ。

 そんな手紙と一緒に菓子折りが届く事もあったし、ただそんな質問をする為のお茶会に招待する手紙も多かった。


 その質問に答える役は、アリアナとフリードだ。

 二人は貴族的な会話をいなしながら、そういった手紙に対応していった。



 その日、ドラーグと二人になった部屋で、アリアナは一つの招待状を確認した。


「今日は、お茶会に行ってくるわね」


「あ、待て待て」

 部屋で一人、作業をしていたドラーグがアリアナを呼び止める。

「これ、今のところ、こんな感じだ。共有しておくよ」


 そう言って渡されたのは、1枚の表だった。

 団体名、主要メンバー、会議室の場所、参加内容、希望の場所。

 全てが埋まっているわけではないけれど、7割は埋まっている。


「こんなのよく作ったわね」

 感心しながら眺める。


「いや、ここまでなら簡単なんだ。聞いた時点でまだ決まっていなかっただの、団体人数が少なくて聞き込めなていないだのの情報を入手するのが大変なんだよ」


「確かにそうね」


 これを埋めるのは私の仕事でもあるわけね。


 ざっと見ていくと、『魔術棟』という名前が見える。『占い屋』……レイノルドのところだ。

 その逆側のお隣さん、マーリーのところの参加内容は空欄になっている。


 そういえば、マーリーは何を売るのかしら。

 少人数らしく、同じ学年の3人ほどで、細々とやっているらしい。


 廊下でもあまり見かけないし、話をする機会もない。


 表の内容をざっと頭に入れる。


「ありがとう、行ってくるわね」


「ああ、いってらっしゃい」


 ……ドラーグしか居なかったから声を掛けたとはいえ、ドラーグとこんな挨拶をするのはちょっとむずがゆいわね。


「あ」


「あら」


 部屋を出ると、隣の部屋から出てきたマーリーと鉢合わせた。

 タイムリーな人。


 一瞬、タイミングが合うなんて珍しい、と思ったけれど、今日これからの高等科3年の先輩のお茶会は、出店で参加する団体全てを呼んだらしいという噂話に思い至った。


 顔を見て声を上げてしまったからには、無視するわけにもいかず声を掛ける。

 この機会に何を売るのか聞き出さないといけないしね。


「あなたもお茶会へ?」

「ああ。君もか」


 自然と二人、並んで歩く。

 お茶会の会場は、会議棟の庭だ。


 こういった活動を見越してか、会議棟には貸出可能な庭がついていた。

 特に何があるわけでもないが、自分達でやるのならば、テーブルセットを設置するのも飲食も可能。


 マーリーとは特別仲がいいわけではない。

 ここは、直球で行くか。


「あなたのところは、何のお店を出店するの?」


「…………」

 返事がないので横を見れば、ジト目のマーリーと目が合う。


「……内容によっては手を組みましょうって事よ」

なかなかに楽しそうな場所取り合戦ですね!

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