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122 一緒に働かない?

 翌日の食堂で、アイリとドラーグと3人での昼食時、ふとアリアナは感じたことがあった。


 ……ドラーグとアイリは、仲がいいということだ。


 平民のドラーグと、元平民のアイリ。

 アリアナにはわからない話題で盛り上がっていることも多い。


 例えば、サークルタウンの広場でやっている人形劇の話や、屋台のドーナツの話。

 平民の間で流行っていた子供の遊びなんかだ。


 ……もしかして、私が悪役令嬢をやることになるのはこの二人相手に、なのかしら。


 ふむふむ、と二人の顔色を窺う。


 いつも他人にはことごとく気を使うアイリも、ドラーグとはいつも一緒に居るからか、なかなか気安い会話をしている。


 例えば、私がドラーグと二人で居るようになったら、アイリがヤキモチを妬いて……。


 と妄想はしてみるものの、本当にアイリに好意があるとしても、そんな事をしたところでアリアナに譲ってしまうアイリの姿しか思い浮かばない。

 アイリの気持ちを盛り上がらせないといけないのに。


 まだ時期じゃないということ……?


 もっと二人が恋人のような関係にならなければならないということだろうか。


 確かに、二人は今のところ、友人関係にしか見えない。


 そんな風に邪な気持ちで二人を見ていると、

「あ、口にソースがついてますよ」

 と、ドラーグの口元をアイリがハンカチで拭う。


 き……きゃあああああ!


 ……見てるこっちがドキドキするわ!


 と、恋愛ごとはともかく。


 アリアナは思い出す。

 アイリの寮の部屋の事だ。

 何もない部屋。

 質素な基本の家具しかない部屋。


 もし、出来るなら。


「二人とも、私の下で働かない?」


 そう言うと、アイリは期待の眼差しで、ドラーグはこちらを観察するような生意気な視線をこちらに寄越した。


「私、アイリは……自分でお金を稼いでもいいんじゃないかと思うの」


 そんな事を言って、気を悪くするんじゃないかと、そう思った。

 けれど、アイリは、興味がある事を隠そうとはしない。


「アリアナ様……ありがとうございます。私……、もし、今、自分で働けたらどれだけいいかって……」


 思った以上にいい反応が返ってきて安心する。


「秋は、文化祭があるわ。生徒達が演劇や演奏、展示なんかが出来るのだけれど、出店もできるのよ」


「出店……」

 ドラーグは、ふむ、と考えるような仕草をする。


「文化祭だとタイリウ商会名義では、枠は取れないでしょ?生徒達で団体を作るのよ。売上があれば全て自分達の収入になるわ。交渉なんかの練習がてら出店を選ぶ生徒も多いの。やりがいがあるんじゃないかしら」


「いいですね!」

 パチンと手を打ったアイリの目は、思った以上にキラキラしていた。

 その様子を見たドラーグも、まあいいか、とアリアナの提案に乗ってくるつもりのようだ。


「他のメンバーは追々考えるとして、どんなお店にしたいか、アイディアを考えておきましょう」


 そう。

 このアカデミーには、秋になると文化祭があるのだ。

 左門の思い出の中にも、学生時代には同じように文化祭というお祭りがあった。

 左門は積極的にクラスの出し物に参加するタイプでもなかったけれど、かなり楽しかった思い出がある。

 高二の時には、野外ステージに上がったこともある。


 あんな風に、楽しいお祭りになるといいわね。

アカデミーにももちろん文化祭はあります!

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