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最終試験のチーム分け

昼食を終えて、俺は第二試験でペアが発表された部屋へと戻ると、そこにはさっきよりも多くの人が待機していた。


(最終試験でチームになるっていう、諜報科と治療科の入団希望者か)


本来なら、俺はまだ知らない情報である為、口に出して聞くことは出来ないが、恐らくそうだろう。


「それでは今から、最終試験に挑むチームを発表する」


前に張り出された表に、入団希望者が一斉に群がる。


(ちょっと人が多いし、少し待ってから見に行くかぁ)


そう思い、ちょっと離れた位置で腕を組みカッコつけていると、第二試験のペアだったアニスが話しかけてきた。


「チームになる子は、ノア・アイシェとルブド・ボーアンだってさ。ちなみに、あんたとは今回も一緒ね」

「あ、アニスも俺と同じ?」

「ええ、そうみたい。まあ、第二試験と同じペアの方が、能力も分かってるしね」

「まあ、確かにそうだな」


ちなみに、自分に刻まれた刻印とその能力は他の人には教えないのが常識だ。

だから、同じペアにする事で、自分の能力を知る人間を増やさない様にする目的もあるのだろう。


「はあ〜、なるほどねぁ」

「なによ、私じゃ文句あるって訳?」

「え?ああ、いやいや。今のため息は、申し訳ないって意味だよ」

「どういう事よ」


一瞬周りの目を気にして、アニスを部屋の隅へと引っ張る。


「さっき俺が昼飯を食べてたらさ、序列5位だって言う騎士の人が話しかけてきたんだけどさ」

「まって、それってアドナス・バロゼリア様の事?」

「うん、そんな感じの名前だったかな。っていうか、様?」

「え?凄いじゃん?!話しかけて貰えたなんて!!!」

「え?あ、そう?」

「当たり前じゃない!騎士団のトップ層なんて、なかなかお目にかかれないのよ??それに、アドナス様はちょっとチャラいけれど、イケメンじゃない!女子に人気なのよ??」

「あ〜、そうなんだ、へぇ」

「なによ、全然興味無さそうじゃない」

「まあ、実際あの人には興味が無いからな」


ん〜、まあよく良く考えればイケメンか?

でも、性格が結構適当だし、いまいち信用できない人だったからなぁ。


「それで、アドナス様がなんであんたに話しかけてきたのよ」

「それがな、なんだか第二試験の結果で俺の評価が割れているらしく、そのせいで俺のチームだけ試験内容に変更があったらしいんだ」

「へ〜、そうなの」

「それで、試験内容っていうのが、森から入手対象を持ってくる事だったんだけど、俺たちのチームはレッドベアの爪が指定された」

「あら、そうなのね、いいじゃない?」

「…お前、レッドベアってどういう奴か分かってるか?」

「馬鹿にしないでよ、討伐難易度Cでしょ」

「なら、なんで慌てないんだよ。難易度が試験と見合ってないだろ」

「あんたねぇ、ちょっと悲観的に見すぎじゃない?」


え?

どういう事だろうか。


「確かに難易度は見合ってないけれど、その分自分の能力をアピールしやすいって事でしょ?なら、それでいいじゃない。他のチームと同じものを持ってきたって、差がつかないわ」

「む、確かにそうだな」


確かに、レッドベアを討伐して爪を入手出来れば、それは見習騎士以上の実力を持っている事をアピールするチャンスだ。

難易度ばかりに目がいって、メリットを全く考えていなかった。

…でも、それをこの馬鹿女に指摘されるとは。

負けた気がする。


「それで?アドナス様から言われたのはそれだけ?」

「ああ」

「なら、さっさと残りの二人を探して合流するわよ。せっかくのアピールチャンスなんだから、張り切っていかなくちゃ!」


ーーーーー


「よっよろしくお願いしますぅ!治療科のノア・アイシェです!」

「諜報科希望のルブド・ボーアンだ。できる事は、空気の流れを感じて気配を察知したり、上空から偵察する事。一応戦闘にも参加できる」

「なるほどね!アイシェちゃんは?」

「あっえっと、わっ私は傷を癒せます!」

「癒せなかったら、治療科に入る意味がなくなっちゃうからね?」

「そそそうでした!えっと、他にも身体能力を活性化させて、サポートする事ができます!!」

「バフかぁ、助かるな」

「でも、ちょっと私の能力と被っちゃうのよねぇ。私の能力も結局自己強化だし。重複するのかしら?」

「さっさあ・・・?あ、でも身体能力だけじゃなくて、思考力も高められます!」

「お〜、アニスにピッタリじゃん」

「えぇ??私が馬鹿だって言いたいの?ねぇ?」


口が滑ってしまった。

危ない危ない。


「あのぅ、ちょっと覚えておいて欲しいんですけれど、私の治癒する力は回復力を高めるもので、本人のスタミナを消費するんです。だから、あんまり体が消耗しちゃうと、治癒の効き目が悪いというか・・・」

「あ〜、まあいざって時には俺も治癒できるから、その辺は安心していいよ」

「え?あんた治療なんかもできたの??」

「戦闘科の癖に治癒もできるとか、治療科泣かせだな」

「欠損した部分は直せないけどな」

「よ、よかったぁ。危うく要らない子になってしまう所でした・・・」


俺とアニスは、残りの二人のメンバーと合流し、あらかた自己紹介を済ませたら、早速試験について話し合う。


「試験なんだけれど、実はこのシャリムって奴のせいで、うちだけ他のチームと内容が違うらしいのよ」


かくかくしかじか


「討伐難易度Cか、なかなか難しい試験になりそうだな。だが、確かに活躍を見せるチャンスではある。特に、俺としては諜報だけでなく戦闘にも参加できる所を見せるいいきっかけだ」

「戦力に参加できるサポートは重要だからな。期待してるぜ」

「だが、当然だがメイン火力は戦闘科のお前らだ。レッドベアは脂肪が厚く、物理攻撃に耐性があると聞くが、その辺りは大丈夫なのか?」

「問題ないわ!第二試験だって対戦相手をぶっ飛ばしてきたばっかりなんだから!」

「そうだな、こいつの馬鹿力には期待していいぞ」

「ちょっと!また私に向かって馬鹿って言ったわね!!!」

「対して、俺はちょっと火力不足が否めないが、まあ俺は火力役というよりは、奇襲やヘイト管理が主だな」

「つまり、俺とお前でレッドベアの注意を引きつけ、そこの赤髪が仕留める形だな?」

「赤髪って、私にはアニスって名前があるんですけど!」

「そういう事だ」

「あっアニスさんの話も聞いてあげましょうよぉ・・・」


そんな感じで、大まかな作戦内容が決まった。


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