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私が翼を広げても

作者: 哀原 暖鼠

まだ飛べない。両手を眺めてみる。少しなら、羽がある。どの羽も色が違う、当たり前だ。


もう飛んでいる人を何度も見た、年上も年下も。


大学生になって、ロードバイクを買ってもらった。黒いの。自分で買う人もいる、大切だし、薄くない。ママチャリや歩行者は置いてけぼりにできる、車体は黒いし、青なんてどこにもない。なのに、水色で透き通ったそれは、自転車のことだとわかる。こんなに速いなんて知らなかった。ふと、周りを見ると、夏の空を生やしている人がいる。憧れたけど、敵わない。深めようとは思えない、今はまだ。ただ知った。


両腕を眺めてみる。ミルクティーのようなそれがある。さっきよりも古い物だとわかる。灰がかっている、よく見るといろいろな色が見えそうだ。奥を覗くと、色彩豊かなのに、手前になるとかすんで見える。誰かにあげた文房具だろう、だからか、見た目に反して活き活きしているようにも見える。周りを見れば、この人はどんな文房具を使っているのかという情報が流れてくる。


三度、両手を眺めてみる。赤い。羽じゃない、肌の色が赤い。深紅というにはかすんでいるけれど。恋か何かが原因だろうか。思い当たるモノを探す。仮に恋だとして、よりにもよって初恋だとして、そうならば色は黄色のはずだ。だから違う。存在を知ったのは、もっと前かもしれないが、認識したのは、小学生くらいか。中学生の頃はすごかったけれど、その時は何気なく眺めただけ。高校に入れば、熱も冷めたのだろう。もう一度見ると、やっぱりくすんだ赤色をしている肌がある。


両手も腕も眺めるのには飽きた。視界は白っぽい紫に染まっている。いい色だ。今なら飛べそうだ。一歩足を進めるだけでいい。足は動かない、ならば前のめりになってみよう。そうすれば、

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