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ローリーの過去話

 異世界の就寝時間は早い。晩ご飯を食べるとすぐ就寝となる。ご両親は自身の寝室へ行き、俺たちも2人で寝室へ行った。

 寝室にあるベットはダブルサイズほどだった。俺達が添い寝をするには丁度いいサイズで安心した。その他には机と椅子があり、部屋の隅には荷物が山盛りに積まれているのみで簡素な部屋だった。


 俺はトイレへ行くため少し外に出た。用を足しふと外を見渡すと、異世界はとても静かな街となっていた。ただでさえ民家が少ない中、道ゆく人も灯りもない。真っ暗な夜をただ月明かりが照らすのみだ。

 この世で見た事もない満点の星空の中、俺はノスタルジックな気分になった。



 星空に見惚れている俺にふとローリーが話しかけてきた。なかなか帰って来ない俺を心配したらしい。寒いから早く入りなよと促され、再び寝室へ戻った。


「ねぇ、驚いてる?」


「ん?何が?」

 

 部屋で星を眺めている俺へ不意にローリーが聞いてきた。


「私の家貧乏だから…。その…嫌だったりしないかなって…」


「そんな事ないよ。俺にとっては何もかもが新鮮で楽しい。それに、こんなに素敵な星空も俺の世界では滅多に観ることが出来ないよ」


 俺はローリーへ視線を戻すと彼女はなんだか涙を浮かべているように見えた。


「え、どうしたの?」


 俺は驚いて咄嗟に言葉が出た。


「ううん、ただ嬉しいだけ。本当に貴方を呼んでよかった。私ね、昔あなたと同じ異世界の人を婚約相手として家に招待したことがあるの」


「そんなの初めて聞いたよ。今はもう関係はないのか?」


 貞操観念が非常に高い彼女なのに俺が初めてじゃないのは少し意外だ。俺はつい話に食いついてしまった。


「もうないよ。招待した初日にフラれたの。こんなところいられないってね。私の家が貧乏だから仕方ないよね…。だから貴方を呼んだ時も少しドキドキしてた。またおんなじ目に遭わないかなって…」


 話が終わる前にローリーの目から涙が溢れ出していた。

 俺はすぐにでも大丈夫だと言って彼女を安心させてやりたかった。だけどその言葉を発するにはあまりにも無責任過ぎる。俺はローリーが好きだ。それは異世界に来たって変わりはしない。

 だけど、もし彼女が俺と同じ世界の人ならもっと気軽に返事が出来ただろうと思う。ここまで思い悩む事もない。結局のところ俺も彼女の元婚約者と同じで異世界を受け入れるのにただ戸惑っているにすぎない。


「ごめん、ごめんね」


 俺はただただローリーを抱きしめた。今の俺にはこれしか出来なかった。彼女を受け入れて結婚するか否か、そんな重要な判断を彼女への同情心だけですることは出来なかった。だけどいつかは判断しなければならないのは知っている。俺はこの異世界ライフは単なる旅行や遊びではないことを再度肝に銘じた。


 この日俺たちは抱き合って寝た。お互いに思う事は色々ある。ただ言葉に出来ないから、せめてでもと身体で表現したのだろう。

 俺は紳士だから一切手は出していない。愛する女を隣にしてもだ。どうかそこだけは評価して欲しい。


【異世界小言】

異世界転移系で年頃の処女の女を娶るとかマジで責任取れよと思う。だいたい年頃の処女なんてブスか貞操観念高いかのどちらかだ。で、大体可愛い子なんだから後者だろ。

まぁ、ずっと異世界に住み続けるならそれでもいいけどさ。ってか、異世界を味わった時点でもう帰る気失くすのは同感!!!

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