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お家散策

 ご飯を食べた後、俺は少し家を散策することにした。

 まぁ、散策と言っても大きな家ではない。リビングと二つの寝室、倉庫に台所、後は表と裏に小さな庭と普通に見て周ると1分程度で終わってしまう。だがここは異世界、見るもの全てが目新しいしく面白い。俺は田舎の親戚の家へ帰省した時のような気持ちになった。


 まず目に止まるのは動物の多さだ。この家には7匹ほどのニワトリを飼っている。


「可愛いな。名前はなんで言うんだ?」


「ないよ。もう少し大きくなったら特別な日に食べるの。貴方と一緒に食べたいわ」


 あ、まぁそう言うものだよな。本来ニワトリって家畜だもんな。ローリーも可愛い顔して、農民だからニワトリぐらい絞めるんだろな。

 後は表の庭にアヒルのようなのを3匹飼っている。


「この子達も食べるのか?」


「それは食べないけど卵を食べるわ」


「え、アヒルじゃないのか?アヒルの卵なんて食べれるのか?」


「アヒルじゃないわよ。ウォズよ」


 ウォズってなんだって思うだろ?俺も未だに分からない。恐らく異世界の動物なんだろう。まぁ、アヒルのちょっと大きいバージョンだと思ってくれればそれでいい。ちなみに卵もちょっとだけ大きい。LLサイズだ。


 他にも可愛い子犬が2匹放し飼いされていた。あまりの可愛さに俺は両脇にこの子達を抱きかかえた。


「これも食べるのか?」


「流石に食べないわよ。なんで全部食べる前提なの」


 ローリーに少し笑われた。


「じゃあ名前あるの?」


「うん。白い方がシロで、黒い方がクロ」


「そのまんまじゃないか」


 今度は俺が笑った。

 その後も家でお手製の鳥籠で飼われている小さな小鳥を食べるのかと聞いたら、観賞用とのことだった。流石に何度も食べる前提で聞きすぎてそろそろ俺が何でも食べる蛮族みたいになってきた。日本って色々食べるの?とローリーへ誤解を植え付けてしまうほどだ。

 動物達はざっとこんなもんだ。案外食べられる奴は少ない。



 動物でも分かるようにこの家には俺たちの世界のものが幾つか見られる。

 エアコンとテレビだ。そして、それらがあると言うことは勿論電気もある。それに通信やテレビ番組も異世界のものが通じている。まぁ、ローリーがケータイを持って繋がる時点で当たり前ではあるだけどな。

 ローリーのお母さんから聞くに、ローリーのお姉さんが俺たちの世界で働いていて買ってきてくれたそうだ。異世界では俺たちの世界のものは貴重なものらしい。ローリーのお母さんが自慢げに話しているところから察することができた。


 ここで気になったのはこの家は4つの部屋があるのに対してエアコンがローリーの寝室にしかないことだ。俺がここに来た時期は冬、いくら廊下で区切られてないとはいえ絶対に寒い。

 ここで初めて知ったのだが、実は台所にある一酸化炭素中毒になりそうな竈門がすごい役割を果たしていたことだ。竈門から出た煙を管に通してそれをご両親のベットの下へ流し、部屋を暖めているんだ。

 こんな凄い機能があったなんて驚いた。異世界では異世界なりに技術が発展している。


 後この家には寝室が2つしかないのはさっき俺が言ったことだ。一つはローリーのご両親が2人で寝る。という事はお察しの通り、俺とローリーは添い寝だ。

 もちろん最初は嬉しさで舞い上がっていたが、異世界は世知辛いものだ。ここでは貞操観念が物凄く高い。結婚していない以上、あんなことやこんなことは出来るわけがない。それに添い寝というからには1人でするにもなかなかの至難の業だ。俺はしばし苦痛の夜を過ごすことになる。



【異世界小言】

今回は本編では語れない異世界の水事情。「異世界」を楽しみたい方は読まずに飛ばして下さい。


本編で紹介した部屋の構造でトイレと風呂がないことに気づいただろうか?

そう、ここ二つはあまりにも汚すぎて語ることは出来なかった。

まず異世界の家では上下水道が整備されていない。蛇口など便利なものはなく、もちろんシャワーもない。冬場は風呂に入らず、夏場は水浴びしている。

トイレは裏庭の隅にあるが、地面に埋めた大きな壺に2枚の板を足場として乗せただけのボットン便所。何度も言うが下水道はない。だから異世界のトイレは詳細に書けないレベルで蛆虫とハエだらけでグロいことになっている。


水に関するヤバい事情はまだあるがここまでにしよう。現実の「異世界」にも魔法があればな…とつくづく思う。もしそう言う便利魔法がない異世界なら基本こんなもんだ。

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