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リジェネ・スピラー  作者: ジオサイト
75/83

5-10 ティー・スプーン

 

 セージは足元を見た。改造マシンガンと、手榴弾しゅりゅうだん、人間の警備員が接近戦で使う小型のたてと、煙幕弾えんまくだんが転がっている。


「これから・・・どうしたい?」


 セージはファレガの耳元で囁いた。

 階下が爆発していく音が聞こえてた。


「逃げましょう」


「どこへ?」

「どこかへ」


 二人は見つめ合った。


「ヘリはもう、ない。それにさっきから、向かい側から見られているよ」

「知ってるわ。きっと顔を見られているわね」


 ファレガは足元を見て、そしてセージを見た。


「さっきみたいなジャンプ、もう一度できる?」

「百回でも、二百回でも」


 ファレガは微笑し、そして手榴弾を握り締めた。そしてセージの耳元で、脱出の計画を話し始める。セージはそれを全て聞いたあと、にっこりと笑った。


「楽しそうだね。だけど、もっといいジャンプ台が手に入るよ」

「本当?」


 セージは屋根の上を移動すると、スライドした窓の電子センサーにアクセスし、枠で区切られた窓の一部をぱかりと外した。約一メートルの三角形だ。


「簡単にとれるのね?」

「この手のガラスは、汚れたり傷が付いたりした時のために取替えがきくんだって。本当は所有者の電子暗号を使わないと反応しないんだけどね」


「じゃあどうして?」

「コンピューターに侵入した時に、偶然見つけたんだ」


 セージは窓をおろし、温室にあったティー・セットのスプーンを圧迫あっぱくして止め具代ぐがわりにすると、手榴弾の入ったポシェットを楯の内側に固定した。楯の上に窓を乗せ、ファレガの持っていた薄いストールで締めた。


「・・・大丈夫かしら?」

「一秒もってくれれば、それでいいよ」

《――おい、聞こえるか。ヒューマノイド》

 セージは通信機を思い出して、応答した。

「どうかした?」


《・・・ヘリに乗っているロボットに遠隔命令は可能か?》

「おそらく・・・通信機ごしでも、周波数が合っていれば反応すると思うよ」


《なら、負傷者を運ぶように命令してくれ》

「それより、君の命令を聞くように言えば早いんじゃない?」


《可能か?》

「やってみる。《ロボッツ、聞こえるか?お前等の目の前にいる操縦席の男の命令をきくよう、わたしは命令する》・・・」


《《イエス・サー。了解しました》》


「・・・これでいい?」

《ああ・・・・・・お前はこれからどうする?》


「さぁ?とりあえず、脱出して〝確かめて〟みるよ」

《・・・そうか》


 一瞬のノイズと共に通信が切れた。セージは顔を顰める。


「クールなふりが上手いな」


 ファレガはセージの顔を覗きこみ、「お友達?」と聞いてきた。セージは思わず苦笑すると、大丈夫だよ、と、彼女の頭を撫でて改造版の窓を小脇こわきに抱えた。


「行こうか」



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