⑦ロシアの核兵器・生物化学兵器使用の可能性
9 ロシアの大量破壊兵器使用の可能性
質問者:最近核兵器使用についてロシアが言及する場面が増えてきているように感じます。
ロイター通信4月15日『スウェーデンとフィンランドがNATO加盟なら核配備、プーチン氏側近警告』より
『ロシアのプーチン大統領の最側近の1人で安全保障会議副議長を務めるドミトリー・メドベージェフ前大統領は14日、スウェーデンとフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に加盟すれば、ロシアは地域での防衛力を高める必要があると警告、欧州中心部にある飛び地での核兵器の配備も示唆した。』
とあります。筆者さんはロシアの核兵器使用の可能性についてどう思われますか?
筆者:僕はウクライナへの戦術核兵器使用を含めて、ロシアの核兵器の使用は現段階の情勢ではかなり低いと思っています。
質問者:それはどういうことでしょうか?
筆者:あくまでロシアが核兵器を使用するのは“最終段階”だと思うからです。戦術的核兵器を使用するということはすなわちアメリカやNATOの実際上の脅威になりますからね。NATOがロシアに対して宣戦布告をするというリスクや可能性がかなり上がってきます。
逆に生物や化学兵器使用に関してはハードルが低いので使用される可能性があるのではないかと言われていますね。
質問者:あのぅ……話が少し逸れてしまうのですが……生物兵器や化学兵器ってどんなものなんでしょうか……。
筆者:まず生物兵器についてですが、細菌やウイルス、それらが作り出す毒素などを使用し、人間 や動物に対して使われる兵器のことですね。1925年のジュネーヴ議定書で使用が禁止されています。
ロシアが“生物研究所“がウクライナにあるという主張をしています。この一件についての真偽は不明ですが、”生物研究所から流出した“といって細菌兵器を使用すると言った可能性はあると思います。そして、自国の兵士にはしっかりと抗体を付けておけば完璧でしょう。
質問者:特に病気についてはウイルスが変異しているということを利用して使用してくると言った可能性もあり得そうですよね……。
筆者:その可能性も十分あり得ると思います。次に化学兵器についてです。
化学兵器とは毒ガスなどの毒性化学物質により、人や動植物に対して被害を与えるため使われる兵器のことを指します。1997年に発効された『化学兵器の開発、生産、貯蔵及び使用の禁止並びに廃棄に関する条約』によって禁止されています。
ロシアは比較的化学兵器の使用について“反政府勢力の粛清“に対して使ってきたのではないか? という疑惑の事件が数多くあります。
最近話題になった事件としてはナワリヌイ氏が「コリンエステラーゼ阻害薬」によって命の危機に瀕したというものがありました。
化学兵器の中には揮発性が高く制圧後の影響が出にくいモノもあります。これらは時間が経てばあまり検出もされないものです。毒性が高く揮発性も高い化学兵器の例としては塩素ガス、サリン、ホスゲンなどがあります。これらを広範囲に撒かれる可能性がありますね。ガスマスクやスーツなどをロシア兵が装着しだしたら使う前兆と見て良いでしょうね。
質問者:以前から使っているとなると使用の可能性はありそうですね……。
筆者:核兵器についての話は戻りますが、アメリカの分析としましては
[ワシントン4月29日 ロイター] - 『米国防総省高官は29日、米政府はロシアが核兵器を実際に使用する脅威はないとみていると述べた。』
『高官は匿名を条件に記者団に対し「ロシアの核能力を連日、最大限監視し続けているが、核兵器が使用される脅威はなく、北大西洋条約機構(NATO)域内への脅威もないと評価している」と述べた。』
とあります。実際に戦争初期の段階からアメリカはロシアの動きについて正確に当てていますので信頼性が高い分析のように思えます。今後大きな状況変化について見逃せないという点に関しても同意できる点だと思います。
質問者:具体的にロシアが核兵器を使用する局面というのはどういう状況だと思われますか? どうしてウクライナに対しては核兵器を使わないのでしょうか?
筆者:ウクライナに戦術核を使用することもやはり考えにくいです。その理由としては、占領した後のことを考えますからね。核に汚染された廃墟の都市を復興・管理することは相当難しいですからね。
つまり、核兵器を使用するということはロシアやプーチン大統領にとってかなり追い詰められた状況だと言えます。
質問者:具体的にはどういう状況が“追い詰められた状況“でしょうか?
筆者:やはり政権交代やロシア革命の危機に瀕した時でしょうね。自棄になって世界を一緒に道連れ……そう言った可能性も十分に考えられると思うんです。それまでは所詮脅しにしか使わないですよ。何だかんだで軍事的にあらゆる部門で秀でているアメリカが戦争に参加されるのが一番厄介だと思っている筈ですからね。
質問者:そうなると、人の命についてあんまり申し上げにくいのですが……大統領暗殺などの状態が一番穏便に済むのでしょうか……。
筆者:ところがそれもうまくいくか分かりません。これは実際にその局面になるまで分からない都市伝説的な話なのですが、大統領が窮地に陥った際に『死の手』がAIによって発動するという話があるみたいなんですよね。
質問者:何ですかその漫画やアニメとかでありそうなネーミングは……。
筆者:僕もその情報を見た時は最初は何かの冗談かと思ったんですけどね。
Livedoor News 2022年4月5日『プーチンが死ぬと自動的に核兵器が発射される終末兵器「死の手」とは?』より
『何らかの警報・異常があった際にシステムを発動し、致命的な状態を導くシステムあるいはその思想をフェイルデッドリーと呼びます。このフェイルデッドリーの一種としてロシア政府が運用しているとされる自動核兵器制御システムが、「死の手」です。「死の手」は指揮系統に事前入力した最高権威命令を戦略ミサイル部隊に送信することで、大陸間弾道ミサイルの発射を自動で実行可能にするというもの。核攻撃に関する振動・光・放射能・圧力などをセンサーが検知した場合、指揮系統が完全に破壊されていても、「死の手」があれば核攻撃が可能となります。』
とあるように、このことはネットニュースでは取り上げられるぐらい全く荒唐無稽な話では無いようなんです。
質問者:そうなると、仮にプーチン大統領が亡くなったとしても世界が核の脅威に晒される可能性があるということなんですね……。
筆者:これが本当だとするとそうなります。正直、ロシアが存亡の危機に瀕するなどの局面にならないと分からないですがね。これまでのことを総合的に勘案すると日本を含む西側諸国が勝利するのは実はかなり難しいように思います。