⑤ロシアは最初から“戦争の長期化”を見越している/中国への二次的制裁について
6 プーチン大統領は“狂っていない”
筆者:北京オリンピックのロシアと中国の会談で世間一般ではNHK3月3日『中国 北京五輪閉幕まで侵攻しないよう事前要請か 複数メディア』のような感じだと思うんですよ。
でも僕は全く違うと思いますね。
質問者:まさか……先ほどのように人民元に基軸通貨を担う手伝いをするためにロシアが動いていると?
筆者:まぁ、それではロシアが中国の属国みたいな感じですから、そこまではいかないと思いますよ。ロシアとしてもウクライナ問題は兼ねてからの解決をしたい事項の一つですからね。上手くいけば広大な領土と資源を得ることも出来ますし、“基軸通貨になるんだとしたらドルよりかは人民元のほうが良い”ぐらいな感じだと思いますね。
質問者:なるほど……両国の利害が完全に一致したんですね……。
筆者:そうなると、最初電撃作戦をやっているかのように見せかけてかなり新兵がいたという話やキーウ(キエフ)を攻め入るためには兵力が少なすぎたというのも納得が行きます。
僕の予測ではこれらは作戦に欠陥があったのではなくロシア・中国としてはこの戦争を“あえて長引かせたい”んだと思いますよ。そこが真の狙いです。
質問者:へぇ……世間一般とは全く違った考え方ですね。
筆者:ええ、そうなります。“プーチン大統領が狂った“みたいな報道が戦争初期にありましたけど、とんでもない話です。彼らからしたら”予定通り進んでいる“と思ったほうが良いように思います。
経済制裁を西側がしているように見せかけて苦しみつつあるのは西側。ロシア・中国は自分の“友好国”と既に話をつけつつある可能性はあります。
質問者:そうなると、②であった国連事務総長の『ウクライナ侵攻は「途上国への攻撃」』というのはあながち嘘ではないんですね。
筆者:そうですね、食料に苦しむ発展途上国を西側が助けて苦しむ。そこまで計算されている可能性が高いです。また制裁をしてくれることにより、自然な形で新しいブロック経済圏を作ることが出来ますからね。残虐行為の報道がされているのも計算のうちだと思います。
質問者:これがもし本当だとするなら悪魔のような酷い知恵ですね……。
筆者:正直な話、“彼ら”には僕たちの常識は通用しません。他国が飢餓で苦しもうと、自分たちだけが発展し勝ち残ろうと考えている筈です。
こういうところまで分析している人がいないので僕の勝手な予測に過ぎないので明後日の方向の思考の可能性はありますがね。むしろ、ロシアが簡単に経済制裁で倒れてくれて『お前の話は荒唐無稽だったな!』と言われて笑われて終わりたいぐらいですよ。
ですが、最悪のシナリオとしてここまで考えていたほうが良いでしょう。僕たちにできることは気持ちの準備だけですが、唐突に起きてしまうよりかは幾分準備は出来ます。
7 中国への二次的制裁への日本の対策
質問者:西側諸国が中国への二次的制裁があるかもしれないという情報もあります。まずその可能性があるのかどうか。あるとするならそれについて日本は同調するべきなのでしょうか?
筆者:中国への二次的制裁の可能性はあると思っています。夕刊フジ4月26日の記事で『米国、中国も「道連れ」制裁か プーチン大統領を擁護、デフォルト迫るロシア救済…第三国の〝抜け穴〟許さない! 「二次的制裁」という伝家の宝刀も』によりますと、
『対露制裁を主導する米国は、第三国にも自国の制裁を順守させる「二次的制裁」という伝家の宝刀を持つ。
福井県立大学の島田洋一教授は「米議会の中ではロシアの金融機関に抜け穴を与えた中国の金融機関に口座を持たせないとする法案も出ている。こうした金融機関における第三国制裁が一番効くことになるのではないか。西側諸国の一部の天然ガス輸入が継続している限り、中国への制裁も難しいが、米国から欧州への天然ガス供給体制ができれば、中国への制裁の可能性も高まるだろう」との見通しを示す。
ジョー・バイデン米政権はウクライナに兵器の追加供与を進める一方、ロシアの「戦争犯罪」と、中国の「人権弾圧」の監視を継続している。
米国務省が12日公表した「2021年版人権報告書」では、ロシアが93ページ、中国が90ページとほぼ同量の紙幅が割かれた。
ロシアについて、ウクライナ東部で親露派武装勢力の「訓練や戦闘などを継続した」と記した。障害者や性的少数者らを標的とした暴力的犯罪もあると強調した。
中国に対しては100万人以上のウイグル人が強制収容され、200万人が「再教育」を受けたと指摘する。恣意的な監禁や身体的自由の剥奪、強制不妊手術、強姦、拷問などの行為を列挙した。
報告書は中露を「権威主義国家」と指弾した。民主主義国としての米国の本気度が問われている。』
とありますので、まだ分かりませんがアメリカは中国を見据えた動きをしそうなんですよね。兼ねてから中国の人権問題についてはアメリカ議会でも問題視されていましたから現実的にあり得る話だと思っています。
質問者:やっぱりあり得そうなんですね。
筆者:ですが、③の話を踏まえると二次的制裁はかえってBRICSの連携を強める結果になってしまう可能性があります。
西側とBRICSと2つの違った経済圏が誕生するだけの可能性もありますね。これは東西冷戦より中国がより強力に絡んでいるだけあってより厄介なことになると思いますね。
質問者:確かに、あの当時ソ連を中国がそんなに助けなかったから崩壊したんですものね……。
筆者:日本は中国との貿易高や現地生産も馬鹿にならないので仮にアメリカなどの西欧が二次的制裁を行ったとしても、参加・決断をするかどうかかなり微妙な気がします。
質問者:確かに地政学的には圧倒的に中国やロシアとの距離は近いですからね……。
筆者:そうなんです。日本がかなりの苦境に陥るという危険性はあります。しかし、巻き込まれざるを得ない状況になる可能性もあり得ますので、その分、円安を利用して国内に工場が戻ってきてもらうか、海外に行くにしても東南アジアなどに輸出・生産する先を作っておく必要がありそうです。今の日本がそこまで気が回るかは分かりませんけど……。
次にロシア国民がどれぐらい耐えられるのかについて書いておきます。