姉妹の絆
「ダンジョンの最奥ぅ?」
ダンジョンコアの間。
そこに到達できるのはS級冒険者以上の実力出なければ到達できないと言われている。
「それ本気で言っとるんか?頭でも打ったんかのう?」
ガンクツは俺の実力を知っていてなお、ダンジョンコア到達可能かについては全く信用していなかった。
「本気だし、頭も打ってない。俺がそのダンジョンコアをどうにかすれば、素材は安定して取れるはずだ。」
ガンクツは呆れた様子で首を振った。
「まだまだ若いのぅ。。。その熱意は買うが、諦めた方が良いぞ。この件についてはワシから領主、王国、冒険者ギルドに相談する案件じゃわい。ジタバタしてもしょうがない。荷が勝ちすぎとるよ。そもそもお前さんは鍛治師になりたくて此処へ来たんじゃろう?何処かで修行でもしていたか、ワシらを唸らせる作品や技術があるんじゃろうな?鍛治ギルドは武器防具のみならず、販売する物は一定の品質を保たねばならんのじゃ。信用がなければ命を預ける道具作りは任せられん。」
俺はガンクツに大量の鉱石素材を見せ、自在に【加工】出来ることを証明すると、あっさり鍛治ギルドへ加入する事を許可してもらえた。
「たまげたわい!何じゃその魔法技術は!?優秀な錬金術師で、鍛治師も出来るとなれば、お主が各国に行った場合に武器防具の販売許可を後押しできるでな。ワシらとしてはお主からは素材を融通してもらえる上に、後進の育成も期待できる。言っとくがまずはワシの紹介するドラゴン・スロートの鍛冶屋で修行してもらうぞ?」
ガンクツから鍛治ギルドの会員証をもらうと門外不出の素材について教えてもらった。
「簡単に採ってこれるような素材ではないぞ。バーバノン王国内の取引ではアダマンタイト、オリハルコン、ヒヒイロカネなどといった素材と同じく流通が制限されておるんじゃ。『星創石』という素材なんじゃが、S級の冒険者、異世界勇者でなんとか持って帰れる素材と言われとる。ほんの一欠片でも武器に使えば、アダマンタイト級の業物が出来上がると言われとる。」
『星創石』か。
俺の手持ちの鉱石には無い。
「このドラゴン・スロートの坑道でしか採れない素材だな?」
「ああ。そうじゃ。今はダンジョン化しておる。それが凶と出るか吉と出るかは、分からんがのぅ。おぉ、お主が余りにも良い人材じゃったから長話し過ぎたわい。慢心するでないぞ?言っとくが当面は坑道は通行禁止じゃ!修行先の職人を紹介するから、折をみてまた顔を出してくれ!それじゃあの!」
ガンクツはいそいそとダンジョンに関する報告書類を書く為に書斎に閉じこもった。
ティアとエルメは俺とガンクツの長話の間ずっと待ってくれていた。
「すまない、待たせたな。」
「ルーカス様、鍛治ギルドには何とか登録できましたね!おめでとうございます!」
「ございますでしゅ!」
「あぁ。だがギルドで紹介する職人の元で修行するのが条件だがな。せっかくの旅なのに長居することになってしまったな。」
ティアとエルメは全く問題ないと言った。
「ここドラゴン・スロートには聖教会があるので、取り次いで転移魔法陣を許可していただければ、ルーカス様もわたしたちも夕方にはダンゴちゃんのところに帰れるでしょう。」
「全然へーきでしゅ!」
俺は今後のことを考えると、ダンジョンの再開を宿で待つよりも、鍛治の修行をしたり、錬金術師としての仕事を請け負ったり、マッスル・ダンジョンで収獲した素材で色々な武器を作ったりしたかった。
『星創石』の件もダンジョン再開までは手が付けられない。
ちょうどゼラと風雪も冒険者ギルドから戻ってきた。
「御使様!あの黄金ワーム、かなり良い報酬になりましたよ!」
「ルーカス!儲かって笑い止まらないアルよ!我も鬼ゼラの財布もホクホクね!」
2人ともパンパンに膨らんだ革製の巾着を幾つか持っていた。
「金貨300枚弱か。金塊だもんな、あれ。それにしても、お前らどうした?」
風雪とゼラは冒険者ギルドまでガヤ三兄弟に黄金を運ばせていたので、疲れていないのは分かるが、それにしてもガヤ三兄弟はボロボロになっていた。
「冒険者ギルドで討伐報酬受け取りと素材買取、ダンジョン化の報告までは良かったんですが、、、」
「ギルドを出たらカネに目が眩んだハエが群がったアルから、叩き落として来たアルよ!鬼ゼラの雷撃焼き金棒で脳漿ぶち撒けてたサルどもを見るのは痛快だったアル!」
「フフフ・・・風風こそ、その、〝くんふう〟とやらでゲスどもの首を折っていたじゃないか!屈強な男達が何人も宙を舞っていたな!」
2人は固く手を取り合う。
「鬼ゼラ!」
「風風!!!」
「「俺(我)達は姉妹だ(ね)!!!」」
若干百合百合しい空気が流れるのと対照的に悲壮な声が聞こえてくる。
「囮は疲れやした・・・」
「敵を引き付けるだけの簡単なお仕事です・・・」
「でやん・・・す・・・」
よしよし、頑張ったんだな、三兄弟。
「皆、とりあえず宿に帰って、飯を食って寝よう。風雪、今日は世話になったな。まだこの街にいるから、いつでも声掛けてくれ。」
ゼラとも仲良くなったみたいだし、何かしら絡みがあるだろう。
「何言ってるアルか、風雪もルーカスについてくネ。」
なぜそうなるんだよ!?
「えっと、、、理由を聞いても良いか?」
「飯アル!異世界来てから食べ物合わなくて困ってたアル!故郷の料理恋しくて、ここでのクエスト終わったら、東のトキムネって国に行こうとしてたくらいネ!それとルーカス、強くて色々出来るからからアル!我は力強くて武器ダメにするネ。。。ルーカス鍛治師なったなら我に強い武器作ってくれそうアル!最後に、我はルーカスに惚れたアルよ!我はルーカス好きネ!」
突然のド直球に愛の告白!
だが俺はこういう中華美人に迫られたら受け入れる他ない。
「ついてきていいぞ。だけど三兄弟達はどうするんだ?」
「ン?この3人は元々は関係無い、元盗賊アル。ボコしたら勝手についてきて勝手に冒険者なったアルから、好きにさせとくとイイヨ!ほら!お前達どっか行くアルヨ!」
俺の見立て通り盗賊だったか。
「姉御ぉ!!そんなぁ!!」
「薄情すぎるでしょうや!!??」
「方向性の違いで、解散でやんすか!?」
確かに経緯はバンドの解散と似てるな。。。って何を言わせたいんだ、デヤンス君!
「まぁ、どっちみち俺達はここにしばらくいるから、三兄弟達は変わらず風雪と冒険者稼業やりながら暮らせば良いんじゃないか?」
「ハァ・・・仕方ないアルね・・・ともかく、我は風雪っていうネ!皆、よろしくアルよ!」
こうして風雪が俺たちの仲間になり、宿に帰ってティアとエルメも含めて中華料理を振る舞うことになった。
笑顔の絶えない夕食になった。
宿屋のドワーフ夫婦も俺達の食べているピリ辛中華料理に驚いたようで、これ以降、ドラゴン・スロートでは多種多様な辛味が流行り、『竜が火を吹く辛味』ブレス・ペッパーと名付けられた調味料が流行るのだった。




