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ゴブとチートとダンジョンと  作者: 青もんた
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さらばヴァイケン

「なるほど、それでゼラさんはルーカス様の良い人になったと。わたしとエルメだけでは身が保たないと思っていたところなので、ちょうど良かったです。」

「むぅ。魔族ダダ被りなのはいただけないけど、髪色被ってないからヨシ!!」

「はぁ、、、2人とも、よろしく頼む。俺、男のフリして暮らしてたから、変な言葉遣い抜けないけど、大目に見てくれると助かる。」

「『ダンゴちゃんも異議なしですよぉ!!!可愛いガールズが増えて嬉しいです

!!!』」


俺達は新しい仲間、ゼラを迎え入れた。


俺の気ままな旅に連れていくのには丁度良い。


彼女の心を癒してやろうじゃないか。

ついでに俺の心の癒しになってもらおう。


ティア、エルメ、ダンゴちゃんは積極的にゼラと話していて、逆に俺が話すタイミングが無いな。


こういうの、女子会に場違いなオッサンが居る、みたいな疎外感を感じる。

気のせいだろうか。


宿の食事は幌馬車の荷台に積んであるピアース街で買った食材だが、暴君からのヴァイケン解放のお祝いということで供され、今テーブルの上にある物で最後だ。


俺はサラミをエールで飲み込み言った。


「ヴァイケン観光どころじゃ無さそうだ。周囲には未だに俺達がヴェンジェンスの一員だ、って認識の奴もいる。もう解散しているが、飲兵衛どもがヴェンジェンスの人間が聖教会と連携して旧カッセル伯爵領の権力を掌握しつつある、って噂をしてるようだな。」


ゼラはその噂が本当だと証言した。


「きっと奥さんをカッセルに殺されたハイゼルケン商会の、フェルト・ハイゼルケンだろう。彼には武器やら何やら世話になった。復讐を終えた元ヴェンジェンスの何人かが彼の商会で働く手筈だった。御使様、そしてティアの力添えのお陰で聖教会への根回しは終わっている。彼は俺に沼地に慰霊碑を建てる事を口約束していた。金も払ってないし、契約書も無いが、きっとやってくれるさ。」


謀らずも俺はヴァイケンや他の街を救うことになったようだ。


この領の名前にハイゼルケンが冠せられる日はもうすぐだ。


「お?お前はロシャールってガキんちょか。元気にしてたか?」

「お兄さん、何で俺の名前知ってんの?」


宿で俺にエールを運んで来た子供は、不思議がった。


「ワニに喰われなかった唯一人の被害者だからな。お前さんに会うと縁起が良いのさ。ほれ、チップだ。」


「うわぁ!!金貨かよ!!!ありがと兄ちゃん!!!」


「ルーカス様って、、、」

「甘いでしゅ、、、リンゴと蜂蜜くらいには、、、」

「〝幸運のロシャール〟か。フェルトの奴が記念硬貨にしてやる、って冗談言ってたっけ。。。冗談だよな?」

「冗談じゃないかもしれないぞ?あの狡っ辛い表情が癖になってしまうな。ロシャール、覚えておこう。」


俺が救ったロシャールは客からどんどんチップを貰っている。

とんでもない魔法がかかってるのかもな。


俺達は別な領へと向かうために幌馬車をそのまま使うことにした。

御者は道中、ゼラが務めてくれる。


「次は鍛治ギルドに登録だな。地図だと・・・・ダンガルーン辺境伯領の『ドラゴン・スロート』って街だな。」

「『竜の喉笛(ドラゴン・スロート)』は確かに鋼と剣の名産地ですね。御使様の気の向くままに。」

「わたしたちも手慰みにゼラさん用の護符でも作りましょう。」

「ゼラっちの髪に合う飾りも作ってあげましょう!ご主人しゃま!」

「素材なら沢山ある好きに試すと良いさ。それじゃあ行くとするか。」


俺達は幌馬車に揺られながら、南にあるダンガルーン辺境伯領を目指した。


その後、フェルト・ハイゼルケンは正式に伯爵と認められ、ヴァイケンの街を含め、旧カッセル伯爵領は『ハイゼルケン伯爵領』となった。


紋章は『復讐の黒い鷹ブラック・ヴェンジェンス・ホーク』だ。


打倒カッセル伯爵のために集った組織、『ヴェンジェンス』は伝説となった。


ハイゼルケン一族が出資した資金で、ヴァイケンの沼地には巨大な鷹を模した慰霊碑が建てられたのだった。


錬金術ギルドの老婆は一人ニヤついた。


「誰も気が付いて無いだろうけどねぇ。あたしゃ時折『鑑定』のスキルが発現するのさ。若い頃に比べちゃ減ったけどねぇ。。。あのワニを殺したのは鷹なんかじゃあないねぇ。あのひよっこ錬金術士さ!今頃何してるんだかねぇ!ヒッヒッヒ!!!!」

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