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ゴブとチートとダンジョンと  作者: 青もんた
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復讐の時、愛に目覚める時

俺はティアとエルメを先に宿に帰らせ、最後の仕上げにヴェンジェンス達が別の隠れ家に用意したデモンバイトフィッシュの生簀まで来ていた。


これから復讐の処刑が行われるのだ。


カッセル、ボンゴ、演説をしていたブッチが裸にされ生簀に入れられていた。


「起きろ。」


ヴェンジェンス達にはたかれ、蹴り起こされた3人は罵詈雑言を吐いた。


「さっさとボクちんを城に運べ!!!不敬だぞ!!何なんだこの生臭いため池は!?」

「オラをこんな目に合わせるやつは殺すべぇ!!!」

「ヒィ!!助けてぇ!?カッセル様ぁ!?何なんです!?このネズミども!!!!」


復讐にほくそ笑むヴェンジェンス達。


ゼラがフード外し、赤毛と魔族特有の金色の目を晒した。

彼女は笑いながら言った。


「うるさいぞクソども。カッセル、貴様の城はもう無い。今や瓦礫の山だ。よくも父を、何の罪もない人々を惨たらしく殺したな!ここは貴様らに相応しい最後を飾る場所だ。足の着く生簀に、デモンバイトフィッシュがウヨウヨいる。縄に括られ、溺死することは叶わん。貴様らの身体に今からこの父の形見の短剣で、傷を付けてやろう。興奮した魚どもに啄まれ、貴様らの臓腑は冥府へ送られるだろう。簡単には死ねん。せいぜい自らの行いを悔いるが良い。もう遅いがな。」


ゼラはブッチ、ボンゴ、カッセルの順にゆっくりと首筋に浅く刃を滑らせた。


「ぎゃああああ!!!いだいいだいいだい!?」

「オラぁいだくねぇだだだだだ!!!???殺してやるべ!!ころじででででで!!!」

「ママぁぁぁぁぁぁぁ!!!!痛い痛い!!!ママ!!ママ!!」


「ペッ!!何がママだ!!貴様のせいで!!何人の子供が!!!!母親が!父親が死んだと思ってる!!!??死ね!!死ね!!!何度でも死ね!!!!」


ゼラが憎しみとともに唾を吐き、悲しみの涙を流しながら生簀から上がろうとするカッセル達の指を棍棒で砕いた。


「嫌だぁ!!!痛いよ!!痛いよ!!!ママぁ!!??ママァァァッッ!!!」


・・・・・・


「か、、セル、、ざ、、、ま・・・」

「こ、ろ、、、ぜ、、、こ、、、、」

「・・・・ママ・・・・」


ゼラは泣き腫らした金色の眼に絶望を湛え、周囲に宣言した。


「復讐は成された。今まで皆、よく戦ってくれた。この日を以て『ヴェンジェンス』は解散する。ありがとう皆。」


黒服一人一人がゼラに礼を言って去っていく。


これから彼ら、彼女らは新しい人生を生きたり、自ら命を絶ち家族の元へ行く者もいるのだろう。


ゼラには何も残っていなかった。


復讐に生きた彼女は燃え尽き、今の自分自身を嫌悪し、絶望していた。


彼女が短剣で首を掻き切ろうとするのを俺は止めた。


「放して!!下さい・・・」


「冥府へ追いかけてまで、奴らを殺す価値は無い。お前は正義を成したんだ。何か不満か??」


ゼラは罪悪感に苛まれていた。


「カッセルは母親を呼び続けていました。あんなクソ野郎でも、、、人を愛せるんですか?御使様、、、」


俺はため息を吐きながら、ゼラを諭した。


「ゼラ、愛と罪は別だ。愛情深いものでも、罪の責任を取らなければならない場面は幾らでもある。奴が母親に対するように、他の者を愛せないのは不幸なことだったな。だがゼラ、君は奴の魔の手から多くの者を救ってきただろう?そして約束した復讐を果たした。それは罪じゃない。違うか?」


ゼラは再び泣きながら首を横に振った。


「分からない!分からないんです!!復讐をすれば、解放されるんじゃないかって!!でもそんなことなくて!!心は怒りで煮えたぎっているんです!!手は血に染まり、汚れきって!!!俺は自分が憎い!!!」


「それはお前が優しいからだ、ゼラ。」


俺はゼラを抱き寄せた。


「なぜ家族を想う純粋なお前の願いが汚れているというんだ。その一途さと情熱はきっと復讐がなければ、別な分野に開花していただろう。お前は戦い、傷付いている。今はその傷を癒すべき時だ。愛に包まれる事でな。それに、俺は女の慰め方をこれしか知らないんだ。許せ。」


「御使様!・・・・!あっ!?」


アドレナリンが切れた余韻なのか、感傷なのかは分からないが、俺はゼラの命を繋ぎ止めるために少しハッスルしすぎてしまった。


そして数年後、グラナパイアにおいて、『赤鬼』と呼ばれる美しい女魔族の冒険者が美男子に引き連れられ、各地で活躍するという噂は拡まってゆくのだった。

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