自重しないルーカス
「ふぇぇええ!?こ、これは一体!?不良品、、??」
「こ、こんな変わったゴーレムは初めて見ました!!」
「フフン!凄いだろ!」
「『主人、命令、絶対。敵、カナラズ、斃す。』」
ティアとエルメが驚愕するのも無理は無い。
泥が巨大な人型になって立っているように見えるゴーレムだ。
溶けかけの巨○兵に見えなくもない。
マッドゴーレム、MDMK1は相手にへばり付き、窒息させ、スタミナを消耗させるゴーレムだ。
核は魔石をベースとしているが、衝撃を吸収する素材に粉末として混ぜ、魔力を練り合わせたスライム状の球体で、叩かれても、刺されても、破損しない。
千切れても元に戻るため、倒すのはかなり難しい。
敵ならば厄介極まりないが、味方なら相手の動きを封じられる。
試運転では勇ましいミノタウロスが斧を振りかぶって斬りつけた瞬間、その斧を起点に泥状化したMDMK1が上半身を包み込み、20秒足らずで試合終了した。
おかげで傷みの少ないミノ肉をたらふく食べれた。
「受ける衝撃が強ければ強いほど、コイツの身体は物体を受け止める強度が上がるんだ。ティアとエルメの防御にもうってつけだ。」
「『ライバルには負けられません!』」
どうやらMK1が張り合うつもりのようだ。
「妬くなよ、MK1。MDMK1には特殊な機能も付ける予定だからさ。実はその時にMK1も少し外装を替える予定なんだ。」
「『期待してますよ?マスター。』」
そして俺はずっと作りたいと思っていた凶悪武器を完成させた。
「どや!!『ケルベロス・ガントレット』。牙を2本使った、【モンスター・ガントレット・シリーズ】の記念すべき第一号だ!!」
材料はケルベロスの牙、ミスリルそして魔物の腱を使っている。
並大抵の防具では防げない刺突、切り裂き性能。
ケルベロスの牙には猛毒が含まれ、魔力を込めると延々と分泌される。
しかもこのガントレットの特性で身体を傷付けられた者は、魂そのものも傷付けられてしまうため、白昼夢や幻肢痛、狂乱などのデバフを伴い、この武器で殺された場合は死後も激しく魂のまま苦しむ事になる。
聖属性を持つ神官のみがこの能力を打ち消す事が出来る。
全て『鑑定さん』の説明どおりだ。
「ご主人様、、それはもはや魔王の武器なのでは?、、、、」
「おぉ、神よ。邪悪なる牙を封じたまえ!!」
ティアとエルメがこの世の終わりみたいな顔をして手を組んで祈り始めていた。
「何でそうなるんだよ!?あーもう!分かった分かった!せっかく俺の忍者バトルが活かせるガントレットが出来たと思ったのにな。使いどころがあれば良いけど。とりあえずカッコ良く飾っておく!」
拠点に土魔法でディスプレイを作って『ケルベロス・ガントレット』をライトアップしていたが、暫くしたらディスプレイごと無くなっていた。
「嘘だろ!?もしかして盗まれた!?」
『鑑定。ダンジョン・コアが『ケルベロス・ガントレット』を最上級暗黒魔道具に認定。危険視したため、ダンジョンに取り込みました。ダンジョンコア付近に再配置され、封印されました。』
ダンジョンコアがお気に召さなかったらしい。
「なんだよ。返して欲しけりゃ来いってか。まぁ無くなったわけじゃないなら良いが。」
「魔王降臨ならず!ですね!」
「ふぅ。神は救い賜うた。」
ティアとエルメは多いに安心したらしい。
そしてその後、この『ケルベロス・ガントレット』はルーカスが次の【モンスター・ガントレット】を作った事によりすっかり本人から忘れ去られた。
数百年後に遺った、ティアやエルメの手記にだけ書かれた、伝説の武器となる。




