勇者と結託
「まさか異世界で米を食える日が来るなんて、、、」
「粒も立っていて、香りも芳醇。間違いなく新米ね。冷める前に食べましょう!」
俺は風呂から上がった勇者一行に夕食を振る舞っていたところだ。
「な、なんかマサルと彩音の眼がガチすぎてこわいな〜、なんて、、、」
「ピィ、、、、」
「お袋の味、と良く冒険者達は言いますよね。。。」
ハナ、ピナ、ティアは若干引き気味だけど、日本の唐揚げ、おでん、ボイルウィンナー、餃子なんかを美味しそうに食べていた。
「「お゛がわ゛り゛ッッ」」
「いや食うの速ぇから!!別に米ならまだまだ出せるからゆっくり食え!!喉に詰まらすぞ!はい、水な。」
伸ばされた空の茶碗と呆れた突っ込みが、前世の日常を思い出させてくれる。
マサルと彩音は味噌汁、納豆、冷や奴、焼き海苔、生卵、明太子、緑茶といったベーシックな日本食をモリモリと食べた。
「ご馳走様でした。ゲフッ!彩音、今日は泊まっていこう。彼にはまた会えるんだ。」
「そうね。うっぷ。明日もまたお風呂とご飯よろしく。」
ふむ、そう来ると思ったぞ。
そして遠慮を知らないな君達は。
「だが、断る!残念ながらウチは居候をのさばらせる程甘くはないんでね、用件が終わったら帰ってもらおうか。」
とても悲しそうなマサルと彩音だが、俺はこんな仲良しパーティに構ってられるほど暇ではない。
早くダンジョン四天王の3体を倒したいんだ!!
楽しい攻略タイムなのだ。
「それについてなんだけど、貴方はダンジョン攻略を目的としているんでしょう?実はわたし達、バーバノン王と聖教会から派遣されて来ててね。ダンジョンコアまで到達しないで欲しい、って依頼されてるの。」
「ほーん。で?何が言いたいんだ。俺が攻略を辞める為のメリットを一切感じないんだが。」
彩音はイライラした調子で言い返した。
「だーかーら!!ダンジョンコアを破壊するとダンジョンが崩壊して消えるから、壊さないで欲しいってこと!!街の経済がめちゃくちゃになるって言ってるの!!」
なんだそれ、初耳である。
「何だよそれを早く言えよ。俺はダンジョンに住んでるんだぞ。コア破壊したら俺が1番困るっつの。誰が壊すか!!」
(鑑定さん。ダンジョンコアって見つけたり触ったりしたら壊れちゃうの?)
『鑑定。ダンジョンコアは見つけても、触っても破壊はされません。ダンジョンコアはこの世界の魔素を循環させる為の自然機構の一種です。貴方の前世、地球で言えば、火山のプレートテクトニクスの様なもので、周期的にスタンピードを引き起こします。他のダンジョンの魔素とは相関関係にあり、魔素の増減を繰り返します。破壊されるとダンジョンコアは全く別の場所で発生します。力ある者がコアに関与する事でダンジョンの魔素は安定し易くなります。』
コアに関与する、、、
つまりあれだな、、、
「ふぁーあ。これで王様のお遣いクエストは終了か。」
マサルが欠伸をして帰ろうとした所を引き留めた。
「まぁ待て、壊しはしないが、ダンジョンコアまでは到達する。」
「えー??どうしてなんだよ?」
俺と勇者一行が入れば時短になるし、解決も早そうだ。
「ダンジョンは俺の家にしたいからな。ダンジョンマスターになろうと思うんだが、お前らの協力があれば可能なはずだ。もちろん、見返りは用意する。ミニ風呂ゴーレム、料理召喚レンジ、ミニトイレゴーレム、ミニ洗濯機ゴーレムを進呈しようじゃないか。どうだ??」
「「その話乗った!!」」
「せめてあたし達の意見とか無いのかな?」
「ピィ、、、マサルと彩音は意見が合うと止まらないからなぁ。」
ハナとピナは引き攣った笑顔を浮かべている。
「あのぉ、あたしはダンジョンの下層とかは無理っぽいので、ご遠慮したいのですが、、、」
ティアは顔が青くなっている。
「MK1来てくれ!ティア、君は大丈夫だ。俺の作った優秀なゴーレムMK1に搭乗すれば安全安心な観客だ。乗ってみると良いぞ??」
コンバットゴーレムMK1はガションガションと足跡を鳴らして現れた。
「『お呼びですか?マイマスター。』」
「MK1、彼女をダンジョン内部までエスコートしてくれ。俺とこの4人は四天王を討ち取り、このダンジョンを手中に収める。良いな?」
「『了解しました、マスター。ミ・レディ、搭乗する際は足元にご注意下さい。』」
プシューーッとコックピットが開き、MK1がティアに手を伸ばした。
「まぁ!!なんて紳士なゴーレムなのかしら!!」
マサルはMK1を見て「俺も!俺も!」とか言ってるがぜってぇ乗せてやらねぇ。
「『搭乗者の身元、バイタルをチェック、身元確認、バイタル良好。ようこそ、ティアーユ・ブライトハート。マスター権限により搭乗を許可します。』」
「・・・・凄い。」
ティアはすっかり謎の男のアグレッシブさ。
そして面白いゴーレムとの冒険に心躍らせていた。
「おいエルメ!何死んだ魚みたいになってるんだ!お前は俺の奴隷だろ!離れるな!」
ティアとのやりとりで終始抜け殻状態だったエルメは我に返って追いかけてきた。
「はっ!はい!待ってください!ご主人しゃま!!」
そしてティアは知ったのだ。
エルメが自分に抱いていた嫉妬の感情は、女なら誰しも経験している事を。




