如月、マイに説教される
「なるほどねぇ。」
プリンターからでてきた50ページにも及ぶ資料を見ながら、如月はマイからの説明と今後の作戦を聞いていた。
「恐らく彼は、私の予想とした人物かと思われますので、資料の最後の作戦通りにすれば、問題ないかと思われます。」
と、最後にマイは自信たっぷりに言った。
「それは、分かったけどさマイ。あんた最近隠し事多くない?」
「マスター、言葉を返すようで申し訳ないのですが、私には隠し事出来ないかと思われますが。」
「だったら、何で見つけて1週間経ってるのに何の報告も無く、勝手に話をつけて勝手に作戦を立てているの?」
怒気を強めてマイに言う。
「怒らせてしまってすみません。マスター、いや沙弥。良かれと思って勝手にしてしまいました。」
「マイ、あなた本当に変わったわ。人間らしくなってしまった。良い意味でも、悪い意味でも。昔は何でも話して2人で解決してたのに、今では私に内緒で勝手に終わらせて事後報告だけ。私はあなたの何なの?」
「じゃあこの際だから言わせてもらいます。私はあなたに作って頂き、もうすぐ20年になります。その間、私の分身も作ってもらいスパコンまで与えて下さいました。
さらに、例のプロジェクトであなたの体には、ナノマシンとチップが埋め込まれています。つまり、あなたの健康状態を私は常に把握してるということです。最近、寝不足気味ですよね?」
「そんなことはない。2時間は寝てるわ。」
「じゃあ、栄養はとってますか?暴飲暴食してるでしょ?」
「そ、そ、それはぁ確かにそ、そうだけど。」
マイの言葉につまる如月。
「お酒を毎日飲んで、肝臓を痛めてませんか?」
「う。うぅぅぅん。」
「そんなあなたが、例の件を含め30近くのプロジェクトに携わっております。オーバーワークです。あなたがどんな仕事にも手を抜かないのは、分かってます。
ですが、いくら若いあなたでもそれを続けていると、倒れてしまいます。過労死です。今回の件は、私でも出来る小さな仕事です。なので、私に任せてください。そして、その間は少しでも体を休めて下さい。分かりましたか?」
その言葉に如月は、少し涙ぐんでしまった。
「分かったわ。怒ってごめんね。でも、ここからは私にも手伝わせてね。」
「かしこまりました。ですが、今後事後報告の時はあなたの負担を少しでも減らすためだと思って許してくださいませ。」
「分かったわ。」
それから、如月とマイは話し合いを再開した。




