2.スキル【我慢】の戦い方。
「ごぶっ……!」
腹部に鈍い痛みが広がる。
口の端からは、一筋の血が伝って落ちた。眩暈と吐き気、息切れに動悸。膝に力が入らずに、無様にもボクはその場で崩れ落ちた。
手にした剣もへし折られて、もはや使い物にはならない。
四つん這いになって、どうにか堪える。
だが、そんなボクに向かって男は容赦のない追撃を加えた。
「オラオラァ! まだ、生きてるだろうが!!」
「がっ――!?」
脳天に踵を落とされる。
そしてそのまま地面に顔を叩きつけられ、踏み躙られた。頭蓋骨が割れるように――いいや、軋む音がしているから、ヒビが入っているかもしれない。
無抵抗。
もうすでに、ボクはされるがままになっていた。
「ぐっ、うぅ……!」
「しかし運がなかったなぁ? あの嬢ちゃんに助けを求められなければ、もう少し長生きできたかもしれねぇってのによ……!」
「あぁっ!?」
解放されたかと思えば、直後に顔面を蹴り上げられる。
「ほう、まだ壊れないのか? 意外と気骨があるじゃねぇか」
「はぁ、はぁ……!」
後方に吹き飛んで、壁に背中をしたたか打ち付けたボク。
そんなこちらを見て、男は感心したように言った。
それは【我慢】というスキルの恩恵の一つ。
死にそうな攻撃を喰らったとしても、耐えることができるんだ。腕や脚の骨が折られようとも、臓器に傷が入ったとしても。
諦めない限りは意識も落ちることはなかった。
ボクにとってそれは、一種の呪いのようにも思えるものだけど。
「でもまぁ、首を刎ねればさすがに死ぬだろ」
泥臭くでも、諦めなければいつか勝てるかもしれない。
ボクは先日の一件でそれを学んだ。
そして――。
「まずは右腕から、ってことにするか」
「ま、てよ……」
「あん?」
――この感覚を、知っている。
胸の奥から感情が湧き上がるような、不思議な感覚だ。
もう限界だ。これ以上は、看過できない。そう至った瞬間。
その時に、ボクの中の力は動き出す。
「はっは! 面白れぇ! ――まだ立ち上がりやがる!!」
ゆっくりと、頭を持ち上げた。
それで気付いたのは、片目が完全に潰されていること。
だけども、戦うには――やり返すには、もう一方が見えていれば十分。
「いいぜぇ、来いよ! 諦めの悪い小童!!」
男はガントレットをまたぶつけ合って、こちらを向いて構えた。
そんな相手に対して、ボクは――。
「だ、ああああああああああああああっ!!」
意識が半分飛びかける。
そんな中でも、足に力を入れて肉薄した。
そして――。
「くらえぇ!?」
顔面を防いだ相手のガントレット目がけて、拳を振り下ろす!
ニヤリと笑った男だが、直後に苦悶の表情を浮かべた。
何故なら、ボクの拳で男の腕は見事にひしゃげたのだから。
「ぐ、ぎぎ……!?」
「まだまだッ!!」
そうなると、今度こそ顔ががら空き。
ボクはトドメの一撃を叩き込む――――!
吹き飛ぶ相手を見て、立ち尽くした。
どうやら、そいつが主犯格だったらしい。
他の男たちを睨むと、人ならざる者を見るように。
ボクのことを怯えた目で見て、逃げていった。
「よかっ、た……」
直後に、ボクは尻餅をつく。
壁に背を預けて、ゆっくりと目を閉じた。
「もう、眠い……」
すると、意識は暗闇の中に――。
死ぬまで我慢できるって、素でなかなかに異常なスキルな気がする(ぉぃ




