明かすにはまだ早い
そう言った途端にその場にいた〘キルス〙は殺意を露にした。
「彼等は、ムーン・ミルティアと同じ”原始の4人”のうち2人だ。」
衝撃の事実を告げられた面々はどう反応していいのか、分からなくなっていた。
「..そして、実は此処にいるムーン・ミルティアもあの王都襲撃の時奴等と共にいた。」
一斉に全員がムーンの方を見る。
ムーンはどこから持ってきたのかずっと本を黙々と読んでいる。
「共に居た...ということは、つまり?」
「ああ、彼も”名もなき咎人”の一員として、王都襲撃に”関与”していた」
「実は彼が怠けていたからという訳ではなくて本当のことを言うと、この5年間という月日を牢で過ごしていた。」
「......へぇ、それ言っちゃうんだ。言わないと思ってたよ」
そう呟いた彼は座っていた巨石から飛び降り〘キルス〙の前に立つ。
「殺せ、殺してくれよ俺を」
全員がムーンを、”名もなき咎人”を恨んでいるだろう。自分の親、愛する妻、友人を失くしただ”名もなき咎人”に復讐するために生きてきたのだ。
「俺は、殺して欲しくても死ねない。死ぬことができない。」
「だからさ、カタハとライを止めなきゃ。
彼奴らも死ねないけどそれでも、!」
全員が彼の言う言葉を理解出来なかった。
カタハとは誰だ?ライとは誰だ?
何故この国を作ったと言われる原始の4人の2人がこの国を滅ぼそうとしたのか?何故、死ねないと悲しそうに言うのだろうか?彼は、何者だ?
全員が国を作った偉人の1人であるムーン・ミルティアということは分かっていた。
最強の超人であることも。それでも分からない。
彼が知っている全てを理解したいとのぞんでしまったのだ。
「さて、行きますかね」
急に言い出したムーンは大剣を取り出し肩に乗せる。
「......何処へですか?」
「決まってるだろ?”名もなき咎人”を止めに行くんだ。」




