3. いつかの夢
流達が車に乗って発進した後、すぐに真季は・・・・・・
「グー・・・・・」
スヤスヤと眠っていた。
夢をみていた。
あの日の夢・・・・・
色で溢れていた世界が、真っ赤に染まっていく景色。
溢れだす赤に、何を塗っても染められなかったあの日・・・・・
「ガタンッ!」
「へっ!?」
車が揺れた拍子に真季が目を覚ました。
その瞬間、耳に飛び込んできたのは・・・・・
「だーかーらー・・・・・・そんなに警戒しないっでって。ね?」
「だって・・・・恭さん変な事言うじゃないですか!」
「変じゃないよ!俺・・・・結構真面目に言ったのに・・・・ショック・・・」
「えっ!あっ、ご・・ごめんなさい!」
今までずっと続いていたであろう、
恭と空のエンドレスなやり取りだった。
そんなやり取りを聞いて声を押し殺して笑うと、
「やっと起きたか」
「!」
流に話しかけられた。
「分かってたの?」
「ああ。顔がニヤけてるからな」
「えっ!ウソ!」
手を使って表情を元にもどそうとする真季。
すると・・・・
「やめとけ。それ以上ブサイクになったらもう戻んねぇぞ」
「・・・・・遠まわしに今ブサイクって言いたいの?」
「良くわかったな。正確には「今」じゃなくて「いつも」だけどな」
「ガーン!そういう事は言っちゃだめだよ!」
「はいはい。寝顔と違ってブサイク」
「ちょっと!だから寝顔と違ってって・・・・・?どういう意味?」
「そういう意味だよ。つーか「ガーン」とか言うな。うるせぇから」
「・・・・・ずるい」
「は?」
「ずるいよ!流!」
「わけわかんねぇ」
拗ねて外を見始める真季。
『ずるいよ・・・・そういう事サラッと言うなんて・・・・怒れないじゃん!』
しかし、そのおかげでさっきの夢の事は忘れられた真季だった。