九話
ゴォンと異様な音を立てて開け放たれる扉。
俺にできたのは、周りの誰しもと同じく、何事かと驚きの目を向けることだけだった。
右手にはアンクティルから渡された杯、左手にはアドリィから渡された料理の皿。
いっそ後先考えずに投げ捨ててしまえばよかっただろうに、場所と状況が許さなかった。
ここは、単なる食事の席ではない。
俺自身が言ったことだ。帝国という国家の中枢であり、政治家たちが集まる策謀の会場であり、有り体に言ってしまえば、未だ問題が起きたのかさえ不確定な状況。
それら全ての優先順位を引き下げ、突然の出来事への対処を最優先するには、一瞬では足りなすぎた。
そして、その一瞬が致命的な遅れとなる。
開け放たれた扉の奥から黒い影が飛び出してきた、と見えた次の瞬間には鉄の輝きが翻り、鮮やかな真紅を迸らせた。脳が状況を理解できず、一拍遅れで処理していく。
兵士だ。
扉の中と外、それぞれに立っていたはずの見張りの兵士が斬られた。
理解するやいなや黒い影を探すが、最早叶わない。
黒い影が人間の目では追えない速さで移動した、わけではなかった。大広間が大混乱に陥り、右へ左へと慌てふためく招待客たちに紛れ込んだのだ。
気付いた時には、遅すぎた。
問答無用で杯と皿を投げ捨て腰に手を伸ばすも、空を切る。
「くそっ」
そうだった。
剣と盾は没収され、今着ているのは用意された紳士服だ。
それでも足だけで黒い影を探そうとするが、やはり招待客たちが邪魔をする。嫌なことに、兵士を斬った何者かは堂々と正面の扉から入ってきた。これが裏口から来たのであれば、招待客たちは正面の扉に殺到し、まだしも波の流れを読めただろう。
そこまで読んだのだとすれば、天晴と言う他ない。
招待客の大半は政治家か、そうでなくとも政治に口利きできる連中である。詰まるところ、ほとんど全ての者に心当たりがあるのだ。斬られるに足る恨みを買う心当たりが。
我先にと逃げようとする客たちは、しかし逃げ場を探して右往左往する。
裏口も勿論あるが、その位置を把握していた者は多くないだろう。加えて、ここはクラウディオが主催した晩餐会の会場だ。勝手な行動は、それこそ命取りとなりかねない。
と、そこで思い出した。
この大広間にいる者の中で最も命を狙われるのは、六王たるクラウディオではないか。
咄嗟に扉とは反対、クラウディオが演説していたと思しき台の上を見やるが、彼の姿が見当たらない。視線を方々に走らせ、ようやく見つける。
幾人もの兵士に囲まれた王の姿が、そこにはあった。
俺と同じく彼と彼を守る兵士を見つけた客たちがそちらへ殺到し、裏口への案内が始められる。案内、などという表現でいいのか分からないが、突然の事件にもかかわらずあまりに整然とした対処だったのは確かだ。
「突然、か」
直後、自分の考えに修正を加える。
俺にとっては突然だった。招待客にとっても突然だっただろう。
だが、クラウディオにとっては?
あるいはアドリィ、彼ら兵士にとっては?
分からない。
アドリィを問い質している場合ではないし、そもそも彼女もいつの間にかクラウディオのもとへ寄っていて、声が届く状況ではなかった。
事件の真相は、後回しだ。
今は、今できることをするしかない。
――腹は括った。
――次は?
――次は、何をすればいい?
俺の中の理性が、俺の中の本能に問う。
答えは、目の前にあった。
常日頃から六王がいるべき場所ではないにせよ、政治家御用達のクラブハウスなのだから警備は厳重。黒い影がいかに手練であっても、単独での侵入は厳しい。
招待客が最も避ける場所、敵が現れ凶行に走った現場。
開け放たれた扉の方を見やれば、勘が的中したことが見て取れた。兵士がいなくなった扉から、黒装束の者たちがぞろぞろと踏み込んでくる。動きはバラバラで、洗練されていない。
まだ、いける。
確信すると同時に踏み出した。一歩、また一歩と踏み出すほどに加速し、勢いのまま集団に突っ込む。
「――ッ!?」
真っ先に見えたのは、驚愕である。
まさか予想していなかったとでもいうのか。ほとんど飛び蹴りとなっていた膝を受け、先頭に立っていた影が床に沈む。かなり軽い感触だった。
無論、怪訝に思っている暇はない。
集団の中から剣を振り上げ突出してくる者がいた。反射的に半身を引いて一撃を避け、返しに足払いをかける。またも軽い。
ただの足払いに引っ掛かった賊を見下ろせば、違和感の正体に気付けた。
小さいのだ。
小柄、という次元ではない。最初に見た黒い影はどうだったか分からないが、少なくとも後から入ってきた集団は皆小さかった。少年兵、というおぞましい単語が脳裏をよぎる。
しかし、悩んでいる暇もない。
連携も何もあったものではない無数の斬撃が、けれども矢継ぎ早に放たれた。大きく後ろに跳んで体勢を立て直し、すぐさま反応できてしまった二人の少年を迎え撃つ。
僅かに早く振るわれた剣をステップ一つで避け、もう片方の斬撃は剣を持つ腕を下から殴り付けて上へと逸らした。骨折まではしないだろうが、骨にヒビくらいは入ってもおかしくない威力。
『敵』が零した甲高い呻き声に怒りが滲むが、激情に身を任せるまでもない。
すぐさま二の太刀に打って出た少年兵の腹を蹴り、床に膝が付く前に背中に踵を落とす。呻き声も漏らせず沈んだ少年兵から目を上げれば、また別の者が剣を振り上げていた。
だが、遅い。
紳士服の上着を脱ぎ、放り投げる。俺の代わりに斬られてくれた紳士服は服としての役目を終え、敵の視界を覆った。先の少年兵と同じく腹を蹴り、しかし沈む寸前に腕を引っ張る。
横から斬りかかってきていた別の少年兵が味方を前にして剣を引っ込め、直後に横合いから側頭部を蹴られた。
――誰だ。
と思って横目を向ければ、付け根まで露わになった魅惑色の足が見える。アドリィか。少年には目の毒だろうが、それ以上に彼女の蹴りが毒と呼ぶには直接的すぎる脅威だ。
「ひとまず、共闘?」
「背中を預けろとは言いません。せめて、肩を並べましょう」
短く言い合い、俺とアドリィは互いに視線を外した。
掴んでいた腕を離す前に、もう片方の手がかろうじて握ったままだった剣を奪う。脇腹でも斬っておけば小一時間は再起不能だろう。
にもかかわらず、何故だか躊躇われた。
どうあれ得物も持たない子供など物数にも入らない。
そう言い訳し、怒りとも憎しみともつかぬ目で俺を睨み続けていた少年兵を捨て置く。
最初に一人、次に二人、今ので四人目。
しかし、剣を手に俺たちを睨む少年兵はまだまだいた。
何がしたいのか。
分からない。
少年兵に少年兵自身の意思など問うても無駄だ。洗脳か、あるいは脅迫か。どちらにせよ、理屈ではない。剣を握っている以上、譲り合いも不可能だ。
可能なのは、無力化。それのみ。
とはいえ、無論、少年兵と少年は全くの別物だ。先の四人で俺たちとの力量差を見極め、隊列と呼べるほど立派ではないにしても、連携のれの字もない個々の動きは格段に減った。
右と左からの挟撃、あるいは後方も加えた三段構えの攻撃。
彼らは自分も仲間も区別しない。自分は手であり、仲間は足だ。心臓は、そこになかった。
一人が斬られても、もう一人が斬ればいい。
そんな算段が透けて見えるような、捨て身の突撃。隣人どころか、獣でさえ選ばない愚かで、しかし合理的な戦い方。
悪夢だった。
一刀で斬り捨てられれば、どれほど楽か。
敵を斬るのに、躊躇などすまい。
ただ一方で、手加減ができてしまうのだ。斬らず、蹴った。その違いは、命を奪うか奪わないかの差でしかない。未発達の骨が砕け、それでも立ち上がろうとする細い腕には力が入らない様子だった。
「うぉぐ……」
それが人間の吐く言葉かと思わずにはいられない。
血走った目で見上げてくる少年の顎を蹴飛ばし、意識ごと黙らせる。背後から迫ってきていた別の少年兵には剣の柄を見舞った。結果は、同じだ。
斬らずとも、無力化できる。
その事実が救いであり、同時に俺を悩ませた。
なんだ、これは。
理解ができない。頭が理解を拒む。
少年兵だと言われれば、なるほどその通りだ。まだ男か女か見分けも付かないような年頃の子供たちが剣を取り、命を奪おうと睨んでくる。
だが、これが『兵士』の戦い方か? 兵士が須らく持つべき理性を、哲学を、彼らは持っているか?
全く、別物ではないか。
「ああぁあぁぁぁぁ――――」
それはもう、人間の言葉ではない。
大上段に振り上げた剣で俺の首を狙ってくる敵の懐に一歩踏み込み、掌底を叩き込む。
たったそれだけで、少年の全身は力を失った。
知性がないわけでも、ましてや気が狂っているわけでもない。
先の一撃とて、無抵抗でいれば命を断たれていた。正確無比と言っていいほどに研ぎ澄まされた一撃である。
ただ、とどのつまり、正確すぎたのだ。
人間の命は、言わば点でしかない。斬るというのは、即ちその点を線でもって制することだ。点をただ点で捉えようとすれば、いとも容易く避けられてしまう。
兵士なら、それくらいは知っていて当然だ。
無抵抗の敵などいない。断頭台で首をもたげた死刑囚でさえ、手足を動かせる。抵抗する敵をいかにして斬るか。そのために必要なのは正確無比な斬撃ではなく、正確無比な目だ。
敵の動きを見極め、適切に斬る。
翻って、眼前の少年兵たちにそれができているか?
「うぅぅううう!」
できていれば、まだ気は楽だっただろう。
斬られる寸前でほんの半歩横にずれれば、それだけで避けられてしまう斬撃。一撃の威力を落としてでも動きに幅を持たせるべきだ。百か、零か。そんな極端さが心に突き刺さる。
これは、本当に人間か?
見た目はまさしく人間である。
愛すべき、守るべき、そして先に待つ長い人生を歩むべき少年である。
だが、彼らの剣はどうだ?
放たれた弾丸のごとく、決められた動きをなぞっているようだ。知性は見えるのに、理性が見えない。どこを斬れば命を奪えるか知っているのに、どうして命を奪うのかを知らないように見える。
「嫌になる」
何度蹴っただろう。
何人が床に転がっているだろう。
しばらくした時、何かの糸がプツリ切れた。
警備の兵士が案内を終えたのか、招待客の姿は大広間から消えている。無論、クラウディオの姿もだ。大広間に残されたのは、俺とアドリィと少年兵たち、それと最初に斬られた兵士だけ。
黒い影もいなくなっていた。
招待客に紛れてクラウディオの命を狙っているのか、あるいは既に目的を達し、行方をくらましたのか。
後者だろう。
理由もなく直感できた。
もう数えるほどになった少年兵たちが、動きを止めた俺やアドリィと対峙する。
きっと、それが答えだ。
「ヨルク、来いッ!」
呼べば来ると、分かっていた。
「イエス」
それも答えだ。
「エミール、お前は背中を守れ。フリーダ、ランディ、エド、シウフ、お前たちは自分の身を最優先に。勉強だと思って、俺たちの動きを見ておけ」
武装した部下たちが、裏の出入り口から姿を見せる。
横まで来たヨルクから鞘ごと剣を受け取り、ベルトに固定。盾の留め具も左腕に付け、腰の鞘から剣を引き抜く。
「さて、もういいだろう?」
誰かに向けて、俺が言った。
その誰かが、ヨルクとは反対側の隣から答える。
「えぇ。もういいでしょう」
隠すことなく、アドリィは笑った。
そちらはエミールに任せればいい。アドリィは実力者だが、純然たる暴力においては傭兵が専門だ。いかに裏社会の重鎮とて、Bの位にある傭兵を無力化するのは容易いことではない。
「だそうだ」
俺が見据えるのは、少年兵たちの後ろ、開け放たれたままの扉。
「来いよ。相手してやる」
薪をくべるまでもなく、憤怒の炎は燃え盛る。
何がしたい。
なんのために命を奪った。
なんのために子供たちを戦わせた。
なんのために――。
「イヒッ」
しかし。
俺の呼びかけに応えた笑い声の主が現れた、その瞬間。
思考は、凍り付いた。
理解できず、全身が固まってしまう。
そして無論、ひどく無様な隙を、敵が見逃してくれる道理もないだろう。
「じゃ、いくよっ」
一瞬で眼前に迫っていた斧を弾いたのは、俺の盾ではなく、ヨルクの剣だった。
「セオ様」
腹心の一言で我に返る。
眼前に立つのは、敵だ。明らかな殺意でもって、先ほどまでの少年兵とは比べ物にならない一撃を見舞ってきた。呆然とする余裕はおろか、瞬きすらも命取りとなる。
「じゃぁまっ!」
それは立て続けに放たれた横殴りの一撃からも、嫌というほど理解できた。
斧が振るわれ、ヨルクが咄嗟に剣を交差させて受ける。そこまでは、分かった。
だが確かに斬撃を受けきったはずのヨルクが数メートルも跳ね飛ばされたのを見て、脳が理解を放棄しかける。どんな馬鹿力だ。
いや、まだかろうじて理解できないでもない。
それが大男や、あるいはウドゥリルなりレイ・ジ・ドグなりの隣人が放った一撃ならば。
眼前に立つのは、しかし。
「せぇおっ! メイはねぇ、セオとやりたいんだよ!」
可憐な声で紡がれたのは、殺意ではなかった。
ただただ純粋な、誤解しようのないほどの、戦意。
歪だ。途方もなく、歪んでいた。
全長で一メートル半ほどはある長大な斧を握る五指は、ヨルクのそれより細く小さい。
手だけが極端に小さいわけではなく、全身も相応に小さかった。身長はかろうじて一五〇センチに届いている程度だ。そして可憐な声がよく似合う可憐な顔立ちに、無邪気な笑み。
少女と呼ぶ以上に適切な言葉もないだろう存在が、けれども長大な斧を片手で握り、爛々と輝く戦意の眼差しでもって俺を射抜かんとしている。
「貴様は、何者だ」
「わからない? わからないっ? ヒヒッ、やればわかるよっ!」
対話は、成立しなかった。
ヨルクを吹き飛ばした横薙ぎの一撃が再度放たれ、構えていた盾を打楽器のごとく叩き付ける。腕に響く重みは、ウドゥリルのそれに匹敵しそうだ。
「貴様は――」
「せぇおっ! やらなきゃ、しんじゃうよ?」
ヒヒヒという隙間風に似た気味の悪い笑い声とともに放たれるのは、しかし颶風。
一撃一撃が異様なまでに重い。
横、縦、縦、横、後ろに跳んでからの突き――、どれもが一歩間違えれば盾越しに腕を砕く致命的な一撃である。
その都度角度を見極め、力を受け流しているからこそ、まだ耐えられているのだ。でなければ、二回か三回目で身体が両断されている。
「せぇおっ!」
「ぁんだッ!?」
「やるき、あるっ?」
下段から突き上げられた斜めの一閃がガリガリと盾を削る。
このままでは盾が持たない。ウドゥリルとの戦争の時でさえ、こんなことはなかった。
まぁ、当たり前か。
「いつまで、けん、つかわないき?」
現状を打破するために最も確実で、最も簡単な手。
それは――、
「ころすきでこないと、しんじゃうよ?」
この少女を殺すことだ。
「分かってるさ、分かってる。嫌というほどな」
躊躇?
憐憫?
保身?
俺の右手を――、剣を握るべき右手を鈍らせているのは、なんだろう。
分からない。
分からないが、それでも分かっていた。
右手が動かなければ、右腕が動く。
「――ッ」
俺の右脇を颶風が突き抜けたと思った直後、長大な斧が一対の白の剣を受け止めた。
「じゃまだって――」
「ノー。それはあなたです」
少女が反撃として放った斧を、ヨルクは再び剣を交差させて受ける。
ふわりと浮いた全身が捻られ、斧の刃の真下を回し蹴りが襲った。間髪容れずに一対の剣が追撃し、少女に防戦を強いる。
だが少女も負けてはいなかった。
ヨルクが着地する瞬間を見逃さず、超低空の横薙ぎを放つ。
それを受け止めたのは、あろうことかヨルクの腰から落ちた黒の鞘だった。たかが一瞬、されど一瞬、鞘を噛んだせいで遅れた僅かな猶予でヨルクが剣を差し込み、斧の進路を逸らす。
伊達にAマイナスの傭兵ではない、ということか。
鞘が落ちたのは、無論、偶然などではないだろう。白の剣が二つ、黒の剣が六つ。その異様な数の剣がヨルクの武器であり、表裏一体の防具でもある。
「死ぬのはあなたです。主を殺そうとする者」
「なんで? なんでっ? イッヒヒ。あんたなんか、えらばれてないのにっ!」
剣に比べれば緩慢になるはずの斧と、斧に比べれば軽いはずの剣たち。
二種三つの鈍色が幾度となく打ち合い、けれども柔肌を斬るには至らない。
拮抗しているのだろうか。
ヨルクの動きに躊躇や油断は見られず、少女の方も手を抜いているようには見えない。だが、どこか違和感がある。
両者の激しい応酬を見やり、そして気付いた。
二人を見ているから、気付けなかったのだ。
少年兵は、俺たちと対峙した時のまま動こうとしない。アドリィも動かず、エミールたちも手持ち無沙汰というわけではないがどうすればいいのか分からず動けないでいる。
「あぁ、そういうことか」
ぽつりと声が零れた。
その声を自分で聞いて、気付かされる。笑っていた。俺の頬は醜く歪んでいることだろう。
「アドリィ」
「なんでしょうか」
「教国宛ての手紙の一通くらい、貴様のところなら検閲を通さず出せるだろう?」
「相手にもよりますが」
「移民区の夫婦だ。これだけの茶番を組んだからには、無理とは言わせない」
アドリィが何を捨てて、俺は何を捨てたのか。
アドリィは罪のない兵士の命を、俺は賭博で全財産を失った男の命を、それぞれ捨てた。
それだけだ。
唾棄したくなるが、それだけなのだ。
「セオ様……?」
異変を察したのだろう。
大きく後退したヨルクが、不安げな声を向けてきた。
「下がってろ。ここからは俺がやる。俺がやらなきゃいけないらしい」
カチリ、と何かがはまる音がした。
後で答え合わせをしよう。クラウディオやアドリィの思惑を、少女や少年兵の正体を。
だが、その前に。
「貴様、名前は?」
「メイはメイだよっ、セオ!」
メイ、か。
どこかで聞いたことがある気がするが、そんなこと今はどうでもいい。
「殺す気でやれよ? じゃなきゃ、殺しちまう」
「アハッ、そんなの、あたりまえだよっ!」
斧が放たれる。
俺も、剣を構えた。