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敬語でだらだら、でもリズミカルな文体でコメディ

いきなりですが、この度僕は、召喚獣になりました

 いきなりですが、この度僕は、召喚獣になりました。

 それで、まぁ、召喚獣なわけですから、当然、召喚されたのですが、その現場で僕は呆気に取られてしまっていたのです。

 なにしろ、そこは断崖絶壁で、更には凶悪なワイバーンがたくさん飛び交っていたからです。どう考えても僕には不釣り合いな状況です。一体、どうしてこうなったのでしょう?

 

 ……僕は矮躯童人わいくどうじんという子供の姿のままで大人になるという特質を持つ亜人種で、名をアカハルといいます。最近まで施設に入っていて、多少息苦しいところはあったにせよ、生活の不安はない身だったのですが、つい先日、実はとっくに成人しているということがとうとうバレてしまいまして、施設にはいられなくなりました。

 まぁ、有体に言えば、追い出されたのです。

 それで僕は途方に暮れました。何しろ、外見が子供なものですから、真っ当な職業になんて就けそうにないからです。そこで思い付いたのが、召喚獣になることだったのです。

 召喚獣には、召喚獣派遣カンパニーという会社に登録すればなることができます。

 この会社は謎だらけなのですが、国にも種族にも義理人情にも縛られずに、お金と魔力さえ支払えば、誰にでも手を貸す完全中立の組織といった点だけは分かっていて、だからなのか、世の常識に囚われないとんでもない者達が所属していたりもするそうなのです。

 そういった点も僕にとっては好都合でした。矮躯童人はあまり世間では好ましく思われてはいないのです。でも、この会社なら、気にせず受け入れてくれるかもしれません。充分なスキルを示しさえすれば、ですが。

 

 召喚獣派遣カンパニーの外見は意外に普通の会社のようでした。受付に行って登録したいと申し出ると、用紙に必要事項を書いてくれと言われたのでそうします。それを見せると軽いチェックの後でこの地域のチーフマネージャーだという方を紹介してくれました。

 その人は女性だったのですが、何故か黒い目隠しをしていて、片手にだけ手袋を…… しかも、どう考えても裏返しにしているとしか思えない手袋をはめ、軍人が着るようなコートを羽織っているという不思議な格好をしていました。

 なんだか“らしくなってきたな”という感じです。

 「なるほど。矮躯童人のアカハルくん、と。私は盲亀浮木もうきふぼくという。よろしく。

 ところで、早速だが、君は何ができるのかな? 見たところ、かなり高額の報酬を期待しているようだが」

 その盲亀浮木という女性の方は、淡々とやや速口にそう言いました。

 「そうですね。需要は少ないかもしれませんが、欲しい人にとっては物凄く欲しい能力だと思って、ちょっと高めにしてみました。それなら、一度、仕事をすればしばらく暮らせそうですし」

 僕がそう返すと「そういうのはいい」と彼女は言います。

 「具体的に、何ができるのか教えてくれ」

 ちょっと苛立っているようだったので、僕は直ぐに答えます。

 「僕は物に触れる事で、情報を読み取れるのですよ」

 すると、彼女はやや呆れた顔で「それだけなの?」と訊いてきます。僕は透かさずそれにこう返します。

 「それだけじゃありません」

 それから彼女の服に触れます。軽く目を瞑るとこう言いました。

 「あなたはこの前に戦士の方と一緒にいましたね。その人は…… おお、凄い。ドラゴンと戦っている。そのドラゴンは、ちょっと前に旅人を襲っていますね……」

 それを聞くと、盲亀浮木さんは眉を片方、吊り上げます。

 どうやら、僕がただ単に物から情報を読み取っているだけじゃないと気付いてくれたようです。

 僕はにっこりと笑うと、

 「僕は直接触れた物からだけじゃなく、その物が前に触れた物からも情報を読み取れるんです。ほら、ドミノ倒しってあるでしょう? そんな感じで、どんどん連鎖してその先へ先へって読み取っていける。

 僕はカスケードタッチリーディングなんて呼んでいますがね」

 そう説明しました。

 彼女は腕組みをするとこう言います。

 「なるほど。面白い。今までにない能力だが、確かに欲しがる人は欲しがるだろうな。宣伝は必要だろうが」

 それから少し考えると、「よろしい。この額でカタログに載せておこう」と言いました。ただ、付け加えるようにしてこんな忠告も彼女はして来ましたが。

 「だが、君が召喚された時の仕事振りをしばらくは監視させてもらう。あまりに酷ければ、それなりの処置を執るから、そのつもりで」

 僕はそれに気軽に「はい。分かりました」と応えました。ちょっと甘く考え過ぎていたな、と自分でも後になって反省したのですがね。

 ただ、能力に見合った仕事なら、それなりの結果を残せる自信が僕にあったのです。……能力に見合った仕事なら、ですが。

 

 ――召喚獣になってみて分かったのですが、召喚獣って意外に精神的にくるものがあります。いつ何時召喚されるか分からない。これってかなり嫌なものです。ご飯の時とか、お風呂の時とか、寝ている時だったら、ちょっと迷惑じゃないですか。いえ、それくらいならまだマシです。トイレに入っている時に呼び出されでもしたら、どうするのでしょう? 軽く悲劇じゃありませんか。

 ただ、最初の召喚では、そんな悲劇は起こりませんでした。運良く、散歩の最中に呼び出されたからです。ですが、呼び出されたその先は、とてもじゃありませんが、“運良く”と言えるような状況ではありませんでした。

 ……まぁ、ここで冒頭のシーンに戻る訳ですが、そこは断崖絶壁で、凶悪そうなワイバーンがたくさん飛び交っていたのですよ。

 見ると、呆気に取られている僕を見てか、冒険者だろう方々も呆気に取られています。冒険者の方々は全員で三人。全員が目をこれでもか!ってくらいに見開いています。

 一呼吸の間。

 女性のヒーラーっぽい人が言います。

 「どうしてよ? どうして、子供が召喚されて来るの?!」

 剣を持った魔法騎士な感じの人がそれに返します。

 「いや、おかしい。確かに、高額召喚獣のページから選んだんだぞ?」

 それから、持っている召喚獣のカタログをペラペラと捲って自分が何を召喚したのかを確かめ始めました。

 「あ、しまった非戦闘系って書いてある! 特殊技能系だ!」

 覗き込むようにしてそのカタログの僕が載っているだろうページを見て、さっきのヒーラーさんが言います。

 「しかも、“いいね”の数が0じゃないの!」

 それはこれが初めての仕事だからです。

 「どうするのよ? もう他の召喚獣を呼び出している金はないわよ?!」

 ヒーラーさんがそう喚くと、いかにもパワータイプってな感じの無骨な男の人が冷静に「落ち着け」とそれをたしなめてから、僕に訊いてきました。

 「それで、お前、何ができるんだ?」

 僕は直ぐに「カタログに書いてあると思いますが、物に触れることで情報を読み取ることができます」と返しました。

 それを聞いて魔法剣士さんは頭を抱えて叫びます。

 「ノー! この状況じゃ、まったく何にも役に立たないスキルじゃねーか! どうしてくれるんだ?」

 それはこっちが訊きたいです。下手したら、ワイバーンに食べられてしまうじゃないですか。

 しかし、そう僕が思ったところで、こんな声が響いたのでした。

 「ハハハ! 随分と間抜けな連中だな。召喚獣を呼び間違えるとは!」

 それに魔法剣士さんは「うるさい! 慌ててたんだ!」と返します。

 見ると、飛び交っているワイバーン達の手前に黒装束の怪しげな人物がいるではありませんか。

 「あれは?」

 と、尋ねると「ワイバーンを操るこの砦の主だ」と無骨さんが教えてくれました。

 それを聞いて僕は少し安心します。話ができる相手がワイバーンをコントロールしているというなら、まだ生き残れる目があるでしょう。

 それから魔法剣士さんが僕を呼びました。

 「おい、お前!」

 軽く見やる。

 「例え、非戦闘系であったとしても、高い金を払って呼び出したんだ。この状況をなんとかしろ! どんな手段を使ってもいい!」

 自分が間違えて呼び出した事をまったく意に介さない居丈高な態度。ピンチな状況下で余裕がないとはいえどうかと思います。

 僕が何も応えないでいると「おい、どうなんだ?!」と、彼は僕の頭をぐいと掴んで威圧してきました。

 やれやれ、と僕は思います。これも仕事です。仕方ない。

 「本当に、どんな手段でも良いのですね?」と僕が確認すると、「構わない!」と魔法騎士さんは返しました。

 僕は軽く頷き「分かりました」と答えると、ワイバーン使いの黒装束さん方に近寄っていきました。僕の姿がまるっきり子供だからでしょうか、黒装束さんはちっとも警戒していません。ただ、不思議には思っているらしく、

 「なんだ?」

 と訊いてきました。

 それに僕は「取引をしませんか?」と返します。

 「取引だぁ?」

 「はい。僕はこれでも召喚獣なものですから、それなりに役に立つ能力を持っているのです」

 そう言いながら、その辺りに転がっている石を僕は拾いました。軽く目を瞑ります。

 「なるほど。あっちの方角は隧道になっているのですね。面白い構造だ。この石はそっちから転がって来たのですね」

 それから目を開けると、こう説明しました。

 「このように、僕はどんな物からも情報を読み取れます。しかも、直接触れた物からだけじゃなく、それを媒介にして更にその先の物からも読み取れる。もしも、見逃してくれたなら、無料で何かしらこの能力を使ってあげましょう」

 「なんだそりゃ? 聞いた事がない能力だな? 本当か?」

 「本当です。なんなら、召喚獣カタログで確かめてみてください」

 それから黒装束さんはカタログで(彼も召喚獣のカタログを持っていたんですね)僕の能力を確認しました。

 「なるほど。本当らしいな」

 そして、満足気にそう言いました。が、取引に応じてくれるかと思いきや、

 「しかし、取引をする必要はないな! あいつらを殺して、お前にも役に立ってもらう!」

 と、それからそう言い放ったのです。まぁ、予想通りです。

 「ああ、やっぱり無理ですか。そりゃそうです。そうなりますよねー」

 それで僕はそれにそう返しました。それから冒険者の方々の方を見ると、

 「ごめんなさい。無理でした」

 そう結果を報告します。

 「なんじゃ、そりゃー!」

 と、冒険者の方々。

 「もう少しくらいは粘るとか、抵抗するとかしろー!」

 魔法剣士さんがそう訴えました。

 「いや、でも、下手に抵抗したら、殺されてしまうかもしれませんし。僕は役に立つから、大人しくしていれば殺されそうにはないですし」

 その僕の説明に魔法剣士さんは激しく怒りました。

 「お前、いい加減にしろよ? 後で絶対に会社に文句を言ってやる! 悪口を言いふらしてやるからな!」

 「ええ、そうしてください。もし、生き残れたら、ですけどね。さっきも言いましたが、この先は隧道になっているのでワイバーンをしのぎ易いかもしれません。誰かが生き残る確率も、50%くらいならばあるんじゃないかなぁ?」

 僕はちょっと大きめの声でそう返します。確率は少々多めに言っておきました。それを受けて「覚えてろー!」と魔法剣士さん。完全に雑魚キャラのセリフですが、確かに覚えておいてもらいたいポイントではあります。もしも、僕の考え通りなら……

 そこでズバンッ!という破裂音のようなものが聞こえました。

 土煙がもうもうと舞い、その中に人影が見えます。

 ……恐らくは、召喚魔法でしょう。いえ、誰も召喚してはいませんがね。

 土煙が晴れると、そこにはチーフマネージャーの盲亀浮木さんが立っていました。そして、冒険者の方々に向けて頭を下げると、

 「申し訳ございません。この度は、弊社の新人召喚獣が大変な失礼をいたしました」

 そう謝罪をします。

 そして、驚いている冒険者の方々に構わず、こう続けました。

 「僭越ながら、その代わりといたしまして、この私、盲亀浮木が、この状況をなんとかしてご覧にいれましょう」

 それから盲亀浮木さんは、黒装束さんに身体を向け、ゆっくりと近づいていきます。近づきながら、片方しかはめていない手袋を取りました。さらされたその手は黒ずんでいて、どう見ても普通の手ではありません。そして、もう片方の手には、反対に手袋を装着します。ただし、裏返して…… いえ、本来はそれが手袋の正しい面だと思うのですが。

 「なんだぁ? ただの人間がたった一人でワイバーンの群れに立ち向かう気か?」

 相変わらず、余裕な様子で黒装束さんはそう言いました。どうも、危機を察知する嗅覚が弱い人のようです。

 「行け! ワイバーン一号!」

 それから、大声でそう言って黒装束さんは、ワイバーンのうちの一体に命令を出しました。その言葉通り、ワイバーンのうちの一匹が盲亀浮木さんに空中から襲いかかります。

 ――が、

 何が起こったのでしょう?

 そのワイバーンは、盲亀浮木の近くまで来ると墜落し、転がると、のたうち回って苦しみ始めたのです。

 「なに?」

 と、黒装束さんは驚きます。そして、やや焦った表情を浮かべると、今度はワイバーン三体に向けて命令しました。「二号、三号、四号、行け!」と。

 しかし、結果は先と同じ。盲亀浮木さんの近くでワイバーン達は墜落してしまいます。一体は、先ほどと同じ様に苦しみ、もう二体は丸くなって動きません。

 黒ずんた片方の手を見せながら、盲亀浮木さんは言いました。

 「私の右手は毒手です。軽く殴るだけで、生物を行動不能に陥らせる事ができる」

 次にもう片方の手袋をはめた方の手を見せます。

 「そして、こちらの手の手袋には呪いの力が宿っています。ただ、殴るだけで相手を呪い状態に至らしめる。

 普段は裏返してこれを毒手にはめ、その力を中和していますが、戦闘時にはこのように解放するのです」

 それから、ゆっくりと彼女は構えました。

 「さて、どうしましょう? 見逃していただけるのなら、これ以上は何もしませんが」

 黒装束さんは歯を食いしばります。

 「なめるな! まだ、負けてねぇ! 出て来い! 一番、でっかい十三号!」

 その言葉を受けると、ズンッ!という地響きが聞こえました。そして、一体何処に隠れていたのかだか分かりませんが、通常のワイバーンの三倍はあろうかという大きなワイバーンがそこに現れたのです。

 胸を張って黒装束さんは言いました。

 「どうだ?! こいつは、飛べないくらいでかいんだぞ! 流石にこいつには勝てまい」

 それは既にワイバーンとは言えないのでは?

 と、僕は心の中でツッコミを入れました。

 盲亀浮木さんはその巨大なワイバーンを見やると、軽くため息を漏らします。

 「無駄です。図体がでかければ、それだけ毒と呪いの的が大きいというだけの話……」

 それを聞いているのかいないのか、巨大なワイバーンは「グォォォン!」と叫び声を上げながら、彼女に突進していきます。しかし、彼女は物怖じせず、芸術的な動きで滑らかに身体を移動させるとあっという間にそのワイバーンの懐に入り込んでしまいました。

 そして、

 「毒呪混合大乱舞!」と叫ぶと、ジャンプをし、「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ!」と、ワイバーンの身体に向けて乱打を繰り出しました。

 いくら巨大でもそれだけの乱打をくらえば一溜まりもなかったようで、ワイバーンはその場に呆気なく倒れてしまいました。

 ヒクヒクと痙攣しています。

 それを見て、黒装束さんは流石に微かに震えていましたが、それから恐怖を振り払うかのような動作の後で、

 「いや、まだだ! 俺にはこの召喚獣カタログがある!」

 と、言ってカタログのページを捲ろうとしました。

 ――が、そこに向けて盲亀浮木さんは言います。

 「特に止めはいたしませんが、私に太刀打ちできる召喚獣となると、軽く一財産ぶっ飛ぶくらいかかりますよ? よろしいのですか?」

 それで黒装束さんは動きを止めました。そして、数秒後、ようやく「分かった。見逃す」と諦めてくれたのでした。賢明な判断だと思います……

 

 「――どうです? 無事に済んだでしょう?」

 

 僕は自信満々の口調で冒険者の方々にそう言いました。

 「何が“無事に済んだでしょう?”だ! この野郎!」

 ところが、それでも魔法剣士さんはまだ怒っているのです。

 「だから、あれは盲亀浮木さんを呼び出す為の演技だったんですってば」

 と、僕が説明しても分かってくれません。まぁ、もっとも、盲亀浮木さんが現れなくても僕だけは無事に済む算段でもあったのですがね、さっきのは。

 「まぁ、良いじゃないの。助かったのは事実なんだから」

 見かねてか、ヒーラーさんがそう言ってくれたのですが無駄でした。「こんな奴、信用できるか!」なんてまだ言っています。

 僕は仕方ないと魔法剣士さんに触れました。そして小声でこう言います。

 「もう許してはいただけませんか? ベネッタさんという方とちょっと前に街で良い感じになった事は、彼女には黙っておいてあげますから」

 それを聞いて、彼は顔を青くしました。

 「え?」

 僕はにっこりと笑います。

 「忘れましたか? 僕の能力を」

 手をワキワキとさせつつ。

 すると、彼は態度を急変させました。

 「そ、そういう事なら、許してやらないこともないかな」

 その様子にヒーラーさんと無骨さんは不思議そうな様子。

 首を傾げています。

 そこでまた僕は魔法剣士さんに小声で言いました。

 「因みに、ベネッタさんはサキュバスですよ。何人も男を騙しているみたいです。気を付けてくださいね」

 何となくそんな気はしていたのか、それに魔法剣士さんは「分かった。お前に対して、いいね!もつけておいてやる!」と返しました。

 「はい」と、それに僕。

 賢明な判断だと思います。

 

 ……さて。

 召喚から戻ると、そこは会社のオフィスでした。そして、僕の目の前には、チーフマネージャーの盲亀浮木さんがいて、腕組みをしながら睨んでいます。

 「あのー…… もしかして、何か罰でしょうか?」

 しかし、それに彼女は首を振るのでした。

 「――いや、

 まさか、監視されているのを逆に利用して、ピンチを切り抜けるのに私を使うとはな。お前を呼び出したのは、あっちのミスだから、私が出向くまではしないつもりだったのだが、余計な仕事をさせられた」

 僕はそれを聞いて疑問に思います。

 ……やっぱり、怒っているのではないでしょうか?

 ところが、それから彼女はこう続けるのでした。

 「なかなか、面白い奴だ。これからも何かに使ってやろう」

 僕はそれを聞いて喜びました。

 あんな不向きな現場に召喚されて、運が悪かったと思っていましたが、そうでもないかもしれません。

 が、最後に盲亀浮木さんはこう付け足しました。

 「……ただし、今回のお前の分の報酬はなしだ。私がやったんだから、当然だよな?」

 

 ――やっぱり、そんなに甘くはなかったようです。

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