プロローグ
新連載です。よろしくお願いします。
日本有数の名家、綾小路家。その綾小路の5人家族はそれぞれ個性豊かで、見目麗しいと評判である。
当主の弘忠(60歳)は和服が似合う素敵な男性。日本屈指の綾小路グループの社長で厳しさの中にも優しさがある。但し、極度の偏食家である。
奥方の麻衣子(46歳)は天然で朗らかな人柄。40代には見えない美魔女である。実家は旧華族の生粋のお姫様育ち。但し、夫の弘忠が偏食家になるほどの料理下手が珠に傷である。
長男の忠仁(28歳)は甘いルックスに笑うとエクボが可愛いと評判である。若いながらに綾小路家の中枢を担う逸材である。但し女性を口説かすにはいられないのが珠に傷である。
長女の美夜子(23歳)は女性にしては長身で涼やかな目元。豊かなボディーライン数ヵ国を操る才媛。但し幼いころから習っている空手の影響で言葉より先に手が出るのが珠に傷である。
次女の菜々子(16歳)は長い黒髪にぱっちりお目目の清純な女性で、高校にはファンクラブまである。但し、男嫌いが珠に傷である。
そんな綾小路家に代々仕えているのが矢島家である。矢島家出身で他家に嫁いだ後も家政婦を50年もしているベテランの多恵。
偏食家の当主の朝ご飯を作るのが仕事の内のひとつである。しかし多恵は、先日階段から落ちて足を骨折してしまった。多恵の作る料理が食べれないとあって当主の機嫌は急降下。被害を被る会社の人々の願いで、唯一多恵と同じ味の料理を作る多恵の孫のマキに白羽の矢が立った。
マキ(23歳)は長女の美夜子と同じ年とあって小さいころから側仕え兼美夜子の親友をしていた。幼稚園から大学までずっと一緒に過ごした。結婚を機に側仕えを引退したが、今回の依頼で久々に綾小路家に戻ってきたのだった。