テンプレな異世界勇者転移~ただし主人公は出てこない~
今回は少し雑です。
自分には三人称を挑戦しましたがあまりうまくできませんでした。
秋斗は思う、どうしてあの時ふざけたりしたんだろう、とそんなことをしなければ彼は、裕翔は死ななかったのではないのかと……
~裕翔が車に撥ねられる前~
裕翔によって秋斗が横断歩道から投げ飛ばされ、裕翔たちを追いかけてきた竜哉に受け止められる。
「うわぁ!裕翔!?」
「裕翔!早く!」
追いついてきた愛実が戻ってくるように叫ぶ。だが裕翔は秋斗を助けたため、すぐには戻ることができない。
すると視界に彼の横に通り過ぎようとする車が映った。
彼らは喉が干上がるかと思った。まるでスローモーションのように時間の一秒一秒がゆっくり流れる。
裕翔を車が轢き殺そうと直進していき……
「裕翔おおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
秋斗が喉がはち切れそうなほど叫び、次の瞬間!
地面に特殊な陣が表れ、彼らの視界が光に包まれた。
*
ここはとある世界の王国、ラルカ王国そしてその一室。
「やった!、やったぞ!、成功だ!」
大声をあげ、歓喜を表す見た目30代後半の男性。
「は、はい……何とか、成功……しました。お父様!」
息を荒げながら、何かをやり遂げ呼吸を乱す10代の女性。
「よくやった!本当によくやったぞ!アイリス!」
「はい……ありがとう……ございます……」
アイリスと呼ばれた少女は今にも倒れそうなほどフラフラな状態だった。
「辛いだろうが勇者の方々を迎えに行かなければならん、立てるか?」
「スー……ハー……スー……ハー……はい!いけます!」
*
ここは、とある世界の一室
「…………ここは」
秋斗は「知らない天井だ」と言おうとしてその前に声をかけられた。
「ようやく目が覚めたか、秋斗」
「……竜哉」
さっきまで起こったことを秋斗は考え、一目散に起き上がった。
「裕翔!、裕翔はどこにいるんだ!?」
「わからないわ」
その疑問に答えたのが後ろにいた愛美だった。その横に葵もいる。どうやら秋斗が最後に目覚めたらしい。
「私が目覚めた時は私合わせて4人だけだったわ、もしかしたらあの時にもう……」
「そんなことないよ!裕翔は……裕翔は……死んだり、なんか……きっと、きっと……生きて……」
涙をにじませながら否定する葵、本当に車に轢かれそうな光景を見たため、ところどころ声が聞こえなくなっている。
「僕の……せいだ。僕があんなことをしなければ……」
「あまり自分を責めるな、秋斗。ひとまず目の前のことを考えるんだ」
秋斗は一度心を落ち着け、周りを見渡した。
「ここは……?」
「わからない、目覚めたらここに………」
竜哉は途中でピクリと動き、言いとどまった。
愛実がそれに疑問を抱き、聞いた。
「竜哉、どうしたのよ?」
「……誰か来る」
「本当かい?」
秋斗の質問にしっかりと頷いた。
「ああ。一人だけだが確実にこちらに向かってきている」
「なんでわかるの?」
涙を拭き、心を落ち着けた葵が竜哉に問いかける。
「足音だ」
「「はぁ!?」」
単純すぎる理屈に葵と愛実が声をあげる。
「竜哉、あんた耳良すぎでしょ」
「別にいいだろ、あまり気にするな」
すると数秒後に前方にあったドアが開いた。
「失礼します」
扉の先にはメイドがいた。そう俗にいうメイドが
4人の視線がメイドに集まる。
メイドは一瞬少し不思議そうに見渡していたがすぐに戻った。
「言葉、通じるでしょうか?」
言葉の意図が分からず、4人は一瞬無言だった。
「ええ、大丈夫ですよ」
だが、さすがというべきか秋斗だけは動揺しながら対応した。
するとメイドはニッコリと笑顔を浮かべながら
「今いる状況を詳しく言いますのでご同行をお願いねがえますか?」
4人は少し顔を見合わせるとすぐに頷き、メイドについていった。
………
……
…
全員が部屋を出たことを確認したメイドは再度礼をし、
「では、参りましょう」
といい、歩み始めた。
それに続くように4人は歩いていく。
「……ねぇ、竜哉、ここって」
「なんだ」
少し顔を険しくしている秋斗が竜也にぼそぼそと声をかける。
「ここって、城みたいじゃない?」
「ああ、もしかしたら、日本、いや地球じゃないかもな」
「聞いてみたほうがいいよね」
そう言い秋斗はメイドに聞こうとすると
「すみません」
「はい?なんでしょう?」
葵に遮られた。
「ここって一体どこなんですか?」
詳しく説明するといっていたがその様子がないため葵がおそらく代表として聞いたのだろう。
「ここはラルカ王国にあるラルカ城です」
「ラルカ王国?」
そこに秋斗が加わって来た。
「はい、五大王国の一つでございます」
「えっと、意味がよくわからないのだけど?」
さらに愛美が入ってきた。
「五大王国とはこのラルカ王国、フラル王国、アルテミス王国、セリル王国、シャルル王国のことを指しており中でもこのラルカ王国は最も魔法使いが多いのです」
「「「「魔法使い?」」」」
いつの間にか葵の加わっていた。
「火、水、風、土、光、闇それぞれの六精霊の力を借り、魔法を扱う者のことです。ただし扱う者には適性が必要ですが」
………
……
…
そうやってしばらくメイドに秋斗達は質問していると目的地についたようだ。
メイドは豪勢で巨大な扉に止まる。
「こちらです」
4人は息を吞む。裕翔がもしいるならば、やべぇテンプレだ異世界転移の生活の始まりじゃね?とか言いそうだ。
「セルド様、連れて参りました」
メイドは豪勢な扉の前に立ち扉に向かって声をかける。
「うむ、入れ」
すると扉の向こうから男性の太い声が帰ってきた。
「では、皆様どうぞお入りください」
目の前の扉が音をあげてゆっくり開いた。
扉の中はいかにも玉座の間とでもいいたそうな少し豪華な広い空間だった。
そして左右には金属の防具をつけた兵士がズラリと並んでいた。
その部屋の最奥には豪華そうな椅子に30代程度の男性が座っていた。
その男性がスっと立ち上がった。
髪色は少し輝く金髪で爽やかなイメージを持たせるような顔だ。
身長は秋斗達より少し高く体型は服でわかりにくいが普通の体型だった。
「おお!君たちが……」
興味深く4人を観察する。
「あの……」
「うむ?おお、すまんすまん言葉は通じているようだな。私の名前はセルド・ラルカ。ラルカ王国の国王だ」
「はぁ……」
声を遮られて、秋斗は質問ができなかった。
「それより聞きたいことがあります」
「む?なんだ?」
愛美がいつもよりも深刻な表情と態度で4人が最も聞きたく、最も聞けなかった質問を言った。
「――私たちは元の世界に戻れますか?」
沈黙が続いた。彼らは気づいている。メイドから話を聞いて、もしくはその前から、ただ、恐ろしかったのだそれの答えを聞くのは……
「――今は帰ることはできない」
「なっ!?」
秋斗は怒りをできるだけ抑え、驚きの声をあげる。
「では、僕たちはあなたたちの勝手な都合で強制的に呼び出されたということですね」
「貴様!陛下を愚弄する気か!」
兵士の中でも最も良さそうな防具をした兵士が激怒し、武器を構えようとする。
「よい、お主は下がっておれ」
「しかし……」
「この者たちの言うことは正しい、私たちの都合で一方的に呼び出してしまった。そして今は元に戻すことも出来ない。すまなかった」
「陛下!この者たちに謝る必要など……」
先ほど激怒した兵士が声をあげ、周りの兵士がザワザワと騒ぎ出し……
「黙れ!!!」
王の一喝で一斉に静かになった。
「すまなかったな。確かに君たちを元に返すことは出来ない。だが方法がないわけではない」
「本当ですか?」
秋斗が突如湧いた希望があることを聞き返す。
「ああ、魔王を倒し、封印されている神々の魔道書を解いてくれ、勇者達よ。そうすれば必ず元に戻ることができるだろう」
しばらくの沈黙が続く。
その沈黙を破ったのは珍しく秋斗だった。
「一つ、聞きたいことがあります」
「なんだ、申してみよ」
「僕たちの他に誰かをこの世界に呼び寄せたことはありますか?」
そう裕翔もこの世界に飛ばされたのではないか?という疑問。
「いや、我が国は君達しか召喚していない」
それは二つの事実、裕翔はここに召喚されていないという事実と同時に彼はもう生きていないということだった。
まぁそんな当の本人は現在奴隷商店で奴隷を買うか悩んでいるのだが
秋斗は両手を血が滲む程握り、葵は今にも泣き崩れそうな表情でそれを愛実が支えている。竜哉は顔を俯き、表情を見せないようにした。
再びしばらくの沈黙
そしてそれを破ったのは再び秋斗だった。
「わかりました。魔王を倒します」
ほかの三人が驚きの表情を浮かべる。
「な、秋斗!」
了承した秋斗に愛美が文句を言おうとする。
「愛実。もしかするとこの世界はもう危ないかもしれない」
「え?」
いつもより険しい顔を愛美は少し戸惑った。
そして秋斗は小さい声で……
(もしかしたら裕翔を生き返らせれるのかもしれない)
(え!?)
(ここが本当に魔法がある異世界ならもしかしたら死者を生き返らせる魔法もあるかもしれないんだ。それに……)
「この人達は僕たちを呼んだことを本当に申し訳なく思っているよそれでも呼んだ。つまりそこまでまずい状況だということですよね?」
「理解が早くて助かります」
秋斗がセルドに言った問は女性の声だった。
その女性はセルドの後ろから出てきた。
「紹介しよう、彼女の名はアイリス・ラルカ、ラルカ家の次女で君達を呼んだ時空魔法使いだ」
ちなみに補足するが時空魔法とはユニーク魔法の一つで時間や空間を操ることができる。LVがMAXになると次元魔法へと変化するのだがそれはまた別の話に
「アイリス・ラルカです。アイリスとお呼びください」
セルドと同じ金髪の髪に葵より少し小さい背、いかにも優しい王女と思わせるような顔立ちだ。
「では皆様早速ですが『ステータス』と念じてみてください」
各々が少し緊張しながらステータスと念じた。
アキト・スミカゼ
LV1
HP1000/1000
MP1000/1000
STR 120
DEX 120
VIT 100
INT 100
AGI 100
MND 100
LUK 100
スキル
言葉理解
超解析
聖騎士LV3
剣術LV10
状態異常耐性LV5
HP回復速度上昇LV1
MP回復速度上昇LV1
限界突破LV1
守護者の証
魔法属性
火属性LV3
水属性LV3
風属性LV3
土属性LV3
光属性LV3
闇属性LV3
称号
《異世界の勇者》
《反逆の守護者》
秋斗は困惑していた。
(スキルとかのスペックはわかるけどなんだろうこの守護者の証と反逆の守護者って?)
試しにスキルを調べてみる。
《聖騎士》
勇者などがなりやすいレアスキル。初期の剣術スキルがかなり高く、剣術のLV上昇が上がりやすい、光属性の威力も上がる。
《守護者の証》
特定の条件を満たすと発動することができる。発動条件は!#&GS”MG&DX!K*JG‘
《限界突破》
一定時間ステータスを倍に上げることができるが終わったあとの疲労が高い、LVによって一定時間を伸ばすことができる。
(わからないか、みんなはどうなんだろう?)
そう言い周りのステータスを見てみる。
リュウヤ・オオサト
LV1
HP 1000/1000
MP 1000/1000
STR 130
DEX 130
VIT 90
INT 80
AGI 80
MND 80
LUK 100
スキル
言語理解
超解析
大盾LV5
大槌LV5
盾術LV8
剣術LV7
状態異常耐性LV5
HP回復速度上昇LV1
魔法属性
火属性LV3
土属性LV7
光属性LV3
称号
《異世界の勇者》
アオイ・アマガワ
LV1
HP800/800
MP1300/1300
STR 75
DEX 100
VIT 80
INT 160
DEX 150
AGI 125
MND 130
LUK 100
スキル
言語理解
超解析
詠唱短縮LV3
付属魔法LV3
僧侶LV5
作法LV5
料理LV10
状態異常耐性LV7
HP回復速度上昇LV3
MP回復速度上昇LV5
魔法属性
回復魔法特化(ユニーク魔法)
水属性LV5
光属性LV3
称号《異世界の勇者》
マナミ・ハシモト
LV1
HP850/850
MP1200/1200
STR 80
DEX 130
VIT 85
INT 120
AGI 95
MND 120
LUK 100
スキル
言語理解
超解析
体術LV3
作法LV3
状態異常耐性LV3
魔法攻撃力上昇LV5
魔法属性
火属性LV5
水属性LV5
風属性LV5
光属性LV5
闇属性LV5
アリシア・ラルカ
LV20
HP240/240
MP12/360
STR 56
DEX 46
VIT 53
INT 62
AGI 58
MND 49
LUK 56
スキル
超解析
作法LV4
剣術LV4
詠唱短縮LV5
魔法属性
時空魔法LV5(ユニーク魔法)
「さすが勇者様ですね。ステータスがとても高いです」
アイリスが驚くように秋斗達を見ている。
「すみません、陛下この世界で少し聞きたい事があります」
それを無視し、秋斗は陛下へと声をかける。
「なんだ?申してみよ」
「この世界の魔法のことです。アイリスさんのように時空魔法というのがあるならば知りたい魔法があります」
「ほう、それは何の魔法だ?」
竜哉達は秋斗が何を聞こうとしたかを察したようだ。
「蘇生魔法です」
セルドの顔が一瞬で険しくなる。
「何のためにそれを求める?」
「こちらに呼び出される前に僕を守って死んでしまった仲間がいたんです。彼にはとても大きな借りがある。それを返したいんです」
そう彼らは裕翔に救われていたがその話はまたの機会に……
しばらくの沈黙。そのあとゆっくりとセルドは口を開いた。
「……あるにはある」
「本当ですか!?」
秋斗達の表情が歓喜へと変わり、秋斗はセルドへと言いよった。
「少し落ち着け」
「すみません……」
「君たちの仲間を生き返らせることは確かにある……」
セルドは4人を見渡し、が……と付け加える。
「元の世界に戻れなくなるぞ」
その言葉に四人が息をのんだ。
「魔王を倒せば元の世界に戻ることができる。だが、君たちの大切な人を生き返らせるためには魔神を倒さなければならない」
「「「「魔神?」」」」
「そうだ、魔神だ。もうすぐ魔神が復活するといわれている」
こうしてセルドが魔神について話しだした。
魔神は空想を操る力を持っていること。
魔神を倒せばひとつだけ願いを叶える力の結晶をおとすこと。
魔神は人の手でも倒せるが魔王すら軽く凌ぐ力を持っていること。
「故郷に帰れなくなり……自分達の命が危なくとも。それでも君たちの大切な人を生き返らせたいか?」
この言葉に4人の言葉は決まっていた。
「「「「もちろん」」」」
こうして勇者たちの裕翔にとっては傍迷惑の魔神退治が幕を開けた。
*
「ヘックシュ!な、なんだ今の悪寒は?風邪か?」
「ユウト殿?何かあったのですか?」
「いや、ライック、なんでもない」
そして何も知らないお馬鹿が一人。
次は、主人公視点に戻ります。新たなキャラの登場!
スキル名や武器名、防具名などの募集待っています!
感想や指摘などどんどん送ってきてください!