プロローグ~炭酸飲料が飲みたかった~
ちょっと適当にやってみた。
あなたは、『異世界』があることを信じるだろうか?
異世界とは、地球とは全く違う星、違う文化、違う法則、様々なところが地球とは違う。
これは、そんな異世界に転生してしまった男の話である。
*
自分の名前は天谷裕翔
中の上レベルの高校に通っている高校二年生だ。
黒目黒髪で趣味は読書とゲーム
身長は170cm体重は60kg
身体はまぁ筋肉質で顔つきは……まぁイケメンの部類に入るのだろう。
部活は入っておらず、友達は結構いるため、決してぼっちでもない、学力でも中の上ぐらいの点数だ。
恋人はいないが別に悲しくはないし、女友達がいるため、まぁ……青春はしているのではないだろうか。
そんな俺は、普通の高校生活をしている………
………運動神経も普通であったなら。
いやもう自分の運動神経に驚くばかりである。
高1のときヤンキーと5対1で喧嘩し勝ってしまうこともあり、運動部の部長に「帰宅部なのがもったいない」と言われ、部活の入部を何度も勧められるほどだ。……まぁ断ったが。俺は部活に入らない理由がある。
まぁそんな俺は現在、高校の授業が終わり帰宅する支度をしている。
支度も完了し、教室を出ようとすると……
「あ!待ってよ!裕翔!一緒に帰ろう!」
「一緒に帰らねぇか?」
後ろから声が聞こえてきたので振り向くと手を振って、こちらに近づいてくる男性とその後ろからついてくる男性がいた。
「はいはい、わかったよ秋斗、竜哉」
俺のところに手を振って近づいてきた男性
彼の名前は、澄風秋斗
身長や体重は俺とほぼ同じ、しかし彼は、勉強、運動ともに常にトップ、既にスポンサーが来ているらしい。
顔立ちは学校の中で郡を抜いて整っている。事務所から声を何度もかけられるほどだ。
その上性格は、穏やかでめちゃくちゃモテている。何度も告白されるどころかファンクラブさえもできているらしい。
俺との関係は、親友と言われるほどで、ファンクラブができていることもあり、いろいろ大変なんだと俺だけに愚痴を言っていたほどの仲だと言っておこう。
もう一人の男性の名前は大里竜哉
身長は180cm体重60後半顔つきはこちらもかなり良い。
正義感が強く、誰にでも優しく接する。彼氏にしたいランキング上位に位置する、俺の友達だ。
部活は帰宅部、運動も勉強もできるのになぜ部活に入らないのか?俺のせいか?俺が原因なのか?
こちらも告白されることが何度もあるそうだ。
二人と共に教室を出ようとすると……
「あの、裕翔、私も一緒に帰っていいかな?」
すぐさま声が聞こえた方向の逆へと振り向きながら距離をとろうとすると霞むほどの速さで手を掴まれた。
「そんなに距離を取ろうとしなくてもいいじゃない」
俺の手を掴んだ女性は少ししょんぼりしている。俺の手を早く離して欲しい。
彼女の名前は夢川葵俺のまぁ小学校の幼馴染だ。
身長は160cm後半体重は……言わないでおこう。
スタイルはよく出ているところは出て引き締まっている。
髪の色は俺と同じ黒で、長めの髪はハーフアップのように髪の上部分だけ後ろに結び、下の髪をそのまま垂らしている綺麗な仕上がりだ。そして髪の右上ぐらいに髪留めをつけている。
顔立ちも圧倒的上位、美しいと可愛いが両立しているような顔だ。
性格は誰にでも優しく、彼女が嫌いな人といえばストーカーか特殊な性癖を持つ人ぐらいだろう。
運動もできるが部活は文化系に入っており詳しくは知らない。
学力も上位に入っており、性格は誰に対しても優しく、真意に受け止める為、学校の女神と呼ばれているらしい。
彼女にしたいランキングの王者であり、告白を何度もされたほどだ。……全て断わっているそうだ、理由は心に決めた人がいるらしい、一時期その人を探そうと大騒ぎになったらしい、心に決めた人よ付き合ってあげるべきだろ。
……え?俺はどう思われているかだって?そりゃ無理だろこんな俺を好きだと思っているわけがない、現実を見ようぜ、現実を。
………
……
…
「……って、葵か……。何の用だ?」
美少女に声をかけられると大体の男子は言葉が詰まったりするのだが、俺は違う、こんな俺には彼女ができるとは思っていないため普通に話しかけることができる。俺は現実をよく見る人なんだ。
「さっき言ったじゃないの、あの、裕翔……い、一緒に……か、帰ってもいい……かな?」
葵が顔を赤くし、俯きながら言ってくる。そのせいで声が徐々に小さくなっている。少し熱気味なのだろうか?
「断る」
「えぇ!ど、どうして!?わ、私のこと嫌いなの?」
周りの視線が一気に敵意むき出しになる。周りに「何言ってんだあいつ」「なんで断るんだよ」と声が聞こえてくる。
なぜ断るかだって?決まっているだろう。
「俺なんかと帰ったら、葵に迷惑だろう、それに変な噂が立ったりしたら、困る。葵に迷惑をかけたくない」
「そ、そんなことないよ!ぜ、全然迷惑なんかじゃないよ……」
「俺は困るんだ。それに……」
周りから怒声が聞こえてくるが今まで鍛えてきたスルースキルを使い、無視する。
「はぁああああああああああああああああああ!」
そうしていると俺が断った理由の元凶が登場してきた。
「とりゃあ!」
「よっと!」
真横から飛んできたドロップキックをブリッチをして避けた。
「コイツがいるからな」
「避けるなっ!」
「お前はナイフで刺さられそうになったらよけないのか?バカじゃないの?」
ドロップキックをしてきた女性
橋本愛実
身長は160cm体重はわからな以下略
ツインテールの髪型に少し茶色い髪色、部活は葵と一緒らしい
顔立ちはかわいい系、彼女にしたいランキング前回王者だ。
運動神経は抜群、学力は普通
誰にでも気軽に話しやすい性格らしいのだが俺からすればあまり関わりたくない奴となる。
葵の親友でかなり仲がいいらしい。
竜哉との仲が良く、関係と言えば姫と騎士のような関係ではないだろうか?
まぁまだ付き合っていないらしいが
「誰がバカよ!」
「はいはい、それで?愛実は何の用だ?」
どうどう、と愛実を落ち着かせる。
どちらかというと愛美は苦手だ。なんというかあれだ人によく関わろうとするのだ。
一度読書をしていると邪魔されてキレたことがあるほどだ。
「……私も一緒に帰っていいかしら」
「だそうだが……どうする?」
周りの三人に聞いてみる、こういう時は周りに任せたほうがいいのだ。
「俺は別にいいぞ」
「僕もいいかな」
「私も……いいかな」
上から順番に竜哉、秋斗、葵である。
葵が少しがっかりしているように見えたのはなぜだろうか
「あ、そうそう愛実、言いたいことがあった」
そのまま教室を出ようとしている愛実に声をかける。そうそう言いたかったことがある。
「な、なによ……」
「裕翔、まさか愛実ちゃんのことが……」
何故か、葵から闇のオーラが見えた気がしたが気にしない。
「ああ、愛実の今日のパンツはピンクと白のしましまだったんだな」
ブリッチで愛実のドロップキックを避けた時にスカートがめくれパンツが見えてしまったのだ。
それを訊くと愛美は顔を俯け、プルプルと震えた。
「…………へ」
「へ?」
「変態ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
その後、しばらく愛実が俺めがけて暴れまわり、秋斗と竜哉二人がかりで止めることになった。
………
……
…
学校を出て、横断歩道を越えて、道を歩いていた。
「それで、前貸したゲームはどこまで進んでいるんだ?」
「そうだね、今日か明日でエンディングまでいけそうだよ」
「早いな、前、裕翔に貸してもらった時、俺は1ヶ月はかかっただが」
「「それは竜哉が下手なだけだ(だよ)」
「酷くないか?それ」
片方は俺たち男性側の会話、もう片方の女性側は
「それで、まだ言えて……の?早く、……した方が……じゃ……」
「でも、そんな機会がないから……なかなか……できないんだよ」
コソコソ話しているから何を言っているかよくわからなかった。
そうやってしばらく歩いていると、
秋斗が唐突に言い出した。
「そういえば葵ちゃんは裕翔に告白することはできた?」
「ふぇ!?い、いきなり何言うの!?」
何故か葵が顔を真っ赤にしながらあたふたしていた。
なんだ!?何を告白されるんだ!?まさか!俺の黒歴史を知っているとでも言うのか!!?
「何の話だ?」
「あれ?裕翔、まだわからないのかい?葵ちゃんが心に決めた相手って言うのは……」
「や、やめて!言わないで!」
顔を真っ赤にしながら秋斗の口を黙らせようとするが秋斗はひらりと避けて、後ろ走りで逃げていく。
……今思えば、これがファンタジーな異世界へ行くことになったきっかけなのだろう。
初めに気がついたのは俺だった。
たびたび変わる信号機が青から赤に変わり、その横断歩道を後ろ走りで秋斗が進んでいく。
心臓が止まるかと思った。
周りが急に遅く動き、まるで自分とその他すべての時間が緩やかになったような感覚を感じる。
考えるよりも先に体が動き、足を踏み出す。
秋斗はまだ気づかない。
もっと速く!、素早く!もっと強く踏み出せ!
自分の走る速度の限界を超える速度をたたき出そうと己に言い聞かせる。
秋斗との距離残り10メートル
葵が気づき、秋斗に呼びかける。
残り5メートル
竜哉や愛実が気づき、大声で叫ぶ。
残り3メートル
葵を追い抜き、秋斗にさらに近づく。
あとで骨が砕けて、二度と立てなくなってもいい……だから間に合ってくれ!
残り1メートル
すると視界の端に車が迫っており、今にも秋斗を撥ねそうだ。
急に時間がさらに遅くなり全てがスローモーションに見える。
俺の残された選択肢は二つ、秋斗を助けるのを諦め、自分が助かる道を選ぶか、それとも秋斗を助け、自分が死ぬか
あと一秒あれば俺も秋斗も無事だったかもしれない、だけどもう無理だ。
別に裕翔は自分より他人が大事と思うようなヒーローじみた性格ではない、だけど何かを行い、失敗する前に諦めることはしない。
だから、例え勝手に体が動き助けようと一歩踏み出した以上、裕翔は秋斗を見捨てない
さらに一歩踏み出し、右手をめいいっぱい伸ばし、秋斗の右腕を掴み、自分が走ってきた場所へぶん投げる。
秋斗が無事に横断歩道を出ることを確かめる前に、横からの莫大な衝撃で視界が回り、青空が紅色染まり、肉と骨を潰すような轟音が聞こえ、微かに自分の名前を呼ぶ誰かの声が聞こえた気がした。
地面にぶつかり、アスファルトを紅く染め上げるが、痛みも感じなかった、血が出血したせいか意識が徐々に薄くなってくる。
遂に頭もおかしくなったのか地面に謎の光が見え始めるが徐々に瞼が落ちていく
意識を失う前に裕翔が最後に思ったのはこのようなことだった。
……どうせなら死ぬ前にもう一度炭酸飲料を飲みたかったな
というどうでも良いことだった。
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