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5話 宿に泊まりましたが…

何か備品を売って金稼ぐとかも考えてはいますが…

もう少し先の予定です。

それから俺はゴブリン20体ほど倒し街まで戻ってきた。角兎だが、一匹も出会うことがなかった。まあ、いいか。

日が暮れ始めたので、街に戻っていく。返り血に気をつけたがここまで殺してしまうと、前身が血だらけだ。

すぐに着替えたいが…まずは換金してからにしようと考え街に戻っていく

門に着くと、門番が驚いた声で叫ぶ。


「お前大丈夫か!」


「ええ。大丈夫ですよ。全部返り血ですから」


「そ、そうか…」


何か驚いた目で俺を見てきたが、無視してギルドまで向かう。血だらけにもかかわらず、通り過ぎる人は表情一つ変えず素通りしていく。日本だったらありえないけどな…警察に職質…いや、通報レベルだろう

ギルドに着くと、そのまま中に入っていく。すぐに態度の悪かった受付嬢のところに向かう


「何か死にそうじゃない…どうしたの」


「いえ、ゴブリンを倒したんで。換金はどうすればいいですか?」


「ああ、耳は隣に渡して、その証明書を私に渡して」


「わかりました」


隣…かなり距離があるんだが…。一番隅を見ると、別のカウンターにつなぎを着たムキムキな男性が立っていた。なぜか一人でボディービルのようにポーズを決めている。どうも、近寄りがたい…


「あの…」


「どうした!」


「ゴブリンの耳はあなたに渡せば?」


「ああ!俺だ!」


声がとてつもなくでかい男だな…まあ、いい。

俺はポーチから全ての耳を男に渡していく。10までは「ほぉ…」と言っていたが全て渡す頃には顎が外れるんじゃないかってほど口が開いていた


「これで全部です」


「そうか…全部で20か!待ってろ!証書を発行する!」


そう言ってマッチョは耳を持って裏に行ってしまった。俺は待つ間何も考えずボーとしていると、後ろから肩を叩かれる感じがした。首だけ振り返りモヒカン頭の男と太った豚だった。


「何かようですか?」


「おい、あのゴブリンはどうやって殺したんだぁ?言ってみろ」


「いや、鎌で首をサクッと?」


「お前昼時にカードを作ってたじゃねーか!嘘ついてんじゃねーぞ!誰かに売ってもらったんだろう?ギルドカードのランクを早く上げたいがためにな!サイテーだな!」

「ンダンダ!サイデーだ!」


モヒカン頭がよくわからないことを叫ぶ。ランク?何のことだ?…一瞬理解できなかったが、これは何か絡まれているのかとすぐに理解できた。


「いえ、俺が殺しましたよ…ほら?」


俺は完全に二人の方を振り返る。正面からゴブリンを殺していた俺の服装は、前だけが不自然なくらい真っ赤だ。モヒカンの隣にいた豚が目を見開いている。俺はゆっくりと上着で隠れていた鎌を取り出しモヒカンに笑みを向ける。

鋭く銀色に光る鎌と、血だらけの男…まあ、脅しにはちょうどいいだろう。


「ヒィヒィ!ば、化け物!」

「ま、待っでぐれ!」


モヒカン頭は大きな声で叫ぶと、そのままギルドから飛び出していった。その後をデブが必死に追いかけている。

何がしたかったんだ?…わからないな…

俺は鎌をベルトに刺し直す。すると、ちょうどマッチョ男が戻ってきた。


「すまない!遅くなったな!これが証書だ。」


「ありがとうございました。」


俺はマッチョからレシートほどのサイズの紙を受け取ると、そのまま受付嬢の元に行く。

受付嬢は目を見開いて俺の目を見て固まっている…


「どうか…しましたか?」


「な、何でもない!証書をかしな」


先ほどのレシートを受付嬢に渡すと、一瞬受付嬢が固まったがすぐに戻った。


「はい、ゴブリン20体で、銀貨5枚…銅貨50枚のほうがよかったかしら?」


「ぎ、銀貨でお願いします」


受付嬢は乱暴に銀貨を5枚渡してくる。あんだけ殺して5枚か…ゴブリンって案外安いんだな…

銀貨を5枚受け取った俺はギルドから出て、ザックとサーが紹介してくれた宿…「ミルクティー」に向かう。名前的に何か甘そうな感じがするんだが…まあ、いいか。

門の近くまで歩いていくと、賑やかな声が聞こえて来る店があった。看板には「呑気な人の時を 宿屋ミルクティー」と書かれていた。ここか…

中に入ると、ギルドで見た多くの冒険者が集まって酒を飲んでいた。どうやら酒や食物を売っているのか。

キョロキョロと辺りを見渡すと、カウンターに立っている男がいた。どう見てもあれがマスターだよな…


「どうも、泊まりたいんですが」


「そうかい。銀貨3枚だがあるのか?」


「ええ、これでいいですよね」


俺は銀貨を3枚マスターに渡す。マスターは銀貨をポケットにしまうと、代わりに何かを取り出し俺に投げてくる。銀色に輝く細い鍵だった


「それが鍵だ。二階だ。飯は朝のみだ。食ってくか?」


「いや、大丈夫です。先に部屋の様子を見てきます」


血だらけに服はすでに乾き、紫色に変色している。ものすごく気持ちが悪いので、すぐに着替えたい。カウンターの端にある二階へ続く階段を上っていくと、ちょうど降りてくる人とすれ違った。

ずるずると尻尾を引きづりながら、階段を降りる姿は驚きだった。顔は人間のようだが、首のあたりにウロコがある…

俺が思わず固まっていると、相手も俺に気付いたのか声をかけてくる


「どうかしたかな?」


「す、すいません…少し驚きまして…」


「ははは!龍人を見るのは初めてですかな?私はこの宿に泊まっている龍人のミラルじゃ。そちらはゴブリン狩りの帰りですかな?」


「よ、よくわかりましたね。俺の名前はボルトです」


「種族柄、臭いでわかりまますな。仲良くしてくれると助かる」


「こちらこそ」


短い挨拶を終えると、再びミラルが階段を降りていった。すげーな。龍人か…かっこいいな

階段を登りきると、ホテルのように多くの扉が続いていた。先ほど受け取った鍵を見ると209と描かれている。

扉にも数字が書かれているので、209を探していく。一番角部屋だった…まあいい。

扉を開けるとベッドと机が置いてあった。照明はランプのよなものが一つついているだけでとても暗い…発注で災害備品のランタンを出しておく。


「着替えよう!」


脱いだ服をゴミ箱ポーチに突っ込み新しい服を発注する。風呂に入りたいが…無理っぽいので、体拭きで体を拭き取る。ついでに腹が減ったので、適当に飯も発注する。今日はカレーだ。

ポケットからライターを取り出し火をつけると、精霊が踊っていた。飯を与えなかったけど…食わなくても大丈夫みたいだな…そう思っていると、突然精霊がその場でしゃがみこむ。


「どうかしたのか?」


『お・な・か・す・い・た・!』


どうやらお腹が空いていたようだな…

俺は両手を合わせ謝りながら、チョコバーを召喚し精霊に与える。美味しそうにチョコレートを貪る精霊にホコッリしながら自分の飯を口の中に放り込む。

さすがに疲れた…ベッドに横になると、一瞬で睡魔に襲われた。



「すまない、マーズ。」


「なんだい?ハッシュが私のところに来るなんて…珍しい」


「一つ鑑定してもらいたいもんがあってな…これだ」


ハッシュは白衣を着た女性にゴム手袋を投げつける。女性はそっとゴム手袋を受け取るとまじまじと観察し始めた。


「これは何だい?…」


「いいから鑑定をしろ。話はそれからだ」


「詳しく聞かせてもらうよ…『鑑定』!」


「どうだ?…」


「わからない…見たことがない。ハッシュ、これは何だい?…」


「商人と名乗る男から買った…まあ、調べてくれ。何かわかったら俺を呼んでくれ」


「わ、わかった…ギルドに報告するのかい?…」


「しない。こんな正体不明なものを報告できるか。それに、何かありそうだ…」


「私からしてみれば、どっちでもいいんだけどね〜まあ、調べてみるけど、この形状で戻ってこないと思ってなさいよ」


「わかってる。じゃあな…」



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