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43話 帝国の都につきました…

オーシャンズ帝国の帝都はターベスの街とは比べものにならないほどの大きさだった。周囲は近くにある大河から引いた堀があり、帝都を囲う国壁はターベスの街の方が高いが分厚さは帝都だろう。ターベスの街は対魔物だが、帝都は対人間といった感じか。入国も厳しいのか入国街の馬車が並んでいる。だが俺たちが乗る馬車は、入国街の馬車の横を通り抜け、そのまま帝都に入ることができた。


「すごい人ですね!みてくださいよ、ボルトさん!」


アンドレスは窓に顔をつけながら帝都の景色を眺めている。さっきからマグネが外をみたいのかうずうずしている。

俺も視線を窓の外に向け、外の景色を眺める。確かにアンドレスの言う通り、人数は多いだろう。しかし、冒険者の姿が見られない。


「エリカ、冒険者の姿が見えないんだが?」


「冒険者はエルバーニャ区…通称西区にいます。ここはバンデル区、通称東区で商人などが多くいる区画です。アルバーニャ区は近くにエルバンダ大森林がありますから危険があるので東門から入りました。」


「エルバンダ大森林?」


エリカの会話にあったエルバンダ大森林について聞くと、眠そうにしていたサリバンが口を挟んでくる。


「知らねーのか?エルバンダ大森林ってのはターベスの街の森より魔素が多くてな。子供でも倒せるような魔物から危険な魔物まで生息してるバカみたいな森だ。バカでけーしな。だが、その魔素のおかげで植物が育つ速度は倍だし希少な魔法金属やらも取れるから採取だけでも一財産稼げる。『金を稼ぎたいならエルバンダ大森林』ってのは冒険者の常識だ。まあ、まだ地図ができてんのは帝都の近くだがな」


「修行にはいいかもな」


「エルバンダ大森林で修行なー普通は考えないがな。弱いゴブリンと災害クラスの化け物が一緒にいる森で修行なんて無理だろ。」


「それもそうだな……よくそんな森の近くに帝都を作ったな」


「はははは、そんな死神が森になったような場所だからこそ、儲かるんだよ。」


「なるほどな……」


要するにハイリスクハイリターンの森というわけか。召喚した備品にスキルを付与した際の、検証にはいいんじゃないか?それにいろいろな魔物がいるならそれはそれで勉強になる。


「興味があるのか?」


「まあ、俺も冒険者だからな」


「そうか。なら、余計に火をつけるかもしれないが…。エルバンダ大森林は昔幾つかの文明があったみたいでなその遺跡なんかが手付かずに残ってるし、遺跡は早い者勝ちだ。帝都にはトレジャーハンター(探検家)のギルドもあるしな。」


「そうか、それは気になるな。遺跡か…」


「もぉ!サリバンさん!」


遺跡か…やっぱり異世界の定番だよな。日本の物とか見つかって大騒ぎとかになったりするんだろうか。それで、王様やらから呼ばれちゃって?……って、帝国の王はあまり関わらないほうがいいよな…

俺が黙って考えていると、サリバンが頭を押さえアンドレスが大きなため息をつく。まあ、俺が行くってことはみんなで行くんだしな。


「ボルト様は冒険者活動を自粛してください。」


「なぜだ?」


「あなたは常に城にいてください。予定がたくさん詰まっております」


「はぁ……」


なぜお前の言うことを聞かなければいけないんだ?と言ってやろうかと思ったが、また面倒くさそうになりそうなので完全にスルーした。まあ、ユーグリットの頼みを考えれば冒険者活動なんてしている暇はなさそうだな。洗脳問題やらが全て解決したらエルバンダ大森林でスキルを手に入れるのもありか。まあ、ゆーグラッドの話もあったし流石に自粛しておくか


「はぁ…わかった。」


「え!?」「は!?」


サリバンとアンドレスが同時に驚いた顔を俺に向けてくる。非常に不愉快だ


「どうかしたのか?」


「いや、ボルトがすんなりうけいれるとは思わなくてよ…どうかしたのか?」


「俺だってそんなに性格悪くないだろう


「「「それはない(です!)(だろ!」


サリバンとアンドレスはわかっていたがマリアにまで言われると少し傷つくな...まあ、今考えても意味は無いだろうから無視する。なんだかマグネのメがキラキラしているんだがこれは気のせいだろう…だよな?



しばらく無駄話をしていると馬車は目的地に着いたのか止まった。そして馬車の出入り口が開けられる。


「到着いたしましたので降りてください。城にボルト様一行のお部屋を手配してありますのでそのお部屋でしばしお待ちくだい。その後帝王様に謁見していただきます。」


「わかった。それじゃあ、案内を頼む」


俺がそう言うとエリカが先に馬車を降りその後に皆が続く。馬車を降りて目の前にあったのはなんともファンタジーな巨城だった。どこかの魔法学園のような見た目だが、その大きさの10倍はあるだろう。またかなり強い気配もちらほらいるようだな。

エリカは周囲を見た後、そっと指を慣らすとエリカの目の前に一人の燕尾服を着た白髪の老人が立っていた。突然現れた老人にサリバンとアンドレスが身構えるが俺が手で制す。敵意は無いようだ。しかし、この俺も反応できなかったほど一瞬で現れた様は警戒するべきだろう。


「警戒はなさらないでください。私の名はベールンディ、この城に仕える執事でございます。ベディととお呼びください。」


「では後はベディに。私は報告がありますので」


そう言うとエリカは一人城へ向かっていく。

さて、俺はこれからどうなるのだろうか…のんびりする予定が大分崩れてしまったが…まあ、何かあれば全力で抵抗しよう。


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