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夏の空へ……  作者:
Last Episode 3年目
77/78

Epilogue

~Few Years Later ,Japan~


「っぐぁー………。長かったぁ…。」


長い長いメジャーリーグのシーズンを終えたオレは数年ぶりに日本に帰るために飛行機に乗ってきて、先ほど日本の地に足を踏み入れた。


あの時より少し短くなったものの相変わらず半日以上飛行機の固いシートとの戦いをしなきゃいけないってのもねぇ…。


それにしてもホント何年振りだよ………。日本に帰ってくるの。


ってかそれにしてもあいつらどこだよ。


たしかこの辺にいるって聞いたのによぉ…。


「拓海!!」


あ。いた。


「よぉ!!久し振りだな!!前のWBC以来か!?」


スーツ姿の水野が手を振りながら、こちらにやってきた。


日本球界最高の外野手として、今年シーズンMVPの他に打率・打点の2冠を獲得した今や最もメジャーに近い野手の1人だ。


「そうだな…。ってかお前今日契約更改だったんじゃねぇの?」


「それはアメリカ時間での話だ。日本時間ならもう昨日のうちに終わってるぞ。」


「マジか………。大分オレもアメリカに染まっちまったなぁ。」


「んなことよりも早くしろ。他のやつもいるぞ?」







「楠瀬!!」


「拓海さん!!お久し振りです!」


水野の車の助手席には水野のとは違うリーグで3冠王に輝き今や日本の4番になった水瀬が、後部座席には入団以来ゴールデングラブと盗塁王を獲得し続けている蒼井が乗っていた。


「お前らも変わってなくて何よりだ。」


「それにしても拓海さんはやっぱすごいっすね。」


「ああ。何せ最多勝に最多奪三振、サイ・ヤング賞を受賞しただけじゃなくワールドシリーズで完全試合パーフェクトを達成してMVPだもんな。」


よせやい。照れるだろうが。


「んじゃお前ら乗ったなー?警察に捕まらない程度にスピード出すからなー。」








久々に見た実家の近くのバーで下ろしてもらい、他の3人は水野の一軒家でこれから宅飲みだそうだ。



羨ましい気もするけど、生憎オレは今日は参加できそうにない。



スーツのポケットの中に入っている物を確認したオレは、スマホを取りだし件の人にメッセージを飛ばす。



既に居ると連絡が入ったので、オレはバーのドアを開けた。



………いた。


その女性の隣に座り、バーのマスターに女性と同じ酒を頼む。



「久しぶりだね………拓海くん。」


「久し振り………結衣。」


卒業式以来の再開。


結衣はあの頃よりも数段大人の女性らしくなった。


彼女もまた数年前に海外のプロリーグに移籍し、全日本バレーボールの絶対的司令塔として大活躍をしている。


オレが世界一の称号を手にするより早く、五輪オリンピックで金メダルを獲られた時はどうしようかと思ったわ。


「いつ帰ってきたの?」


「つい6時間くらい前。水野がここまでものっそいスピードで来たから危なくケーサツの世話になりそうだった。」


そんな積もる話ばかりしていたら、日付もとっくに変わっていた。


店を出てオレたちは光南高校の近くまでやってきた。



「懐かしいね。」


「あれから何年経ったんだろうな…。」



オレたちは昔を懐かしみながら光南高校の前を通りすぎる。



そして、少し早い駅前通りのクリスマスツリーの前までやってきた。


そんなに早くからイルミネーションつけてて、大丈夫か?


なんて考えてたらどこからか『大丈夫だ。問題ない。』ってって聞こえてきたけど空耳………だよな?


「それにしても、シーズンが終わってすぐ帰ってくるなんてよくチームの人たち許してくれたよね,…。」


「………まぁね。」


ワールドシリーズのシャンパンファイトの中、シャンパンで酔ってしまい『一世一代の大勝負に行ってきてやらぁぁあ!!!』なんて柄にも無く叫んでしまい、チームメイトに祝福のシャンパンを浴びたのは記憶に新しい。


「なぁ………結衣。」


「なぁに?」


オレは着ているスーツのジャケットのポケットからあるケースを取り出す。


シーズンの途中でアメリカのジュエリーショップで見つけたダイヤモンドの指輪が入ったケースだ。


「もしかして………」


うっはー…。


ワールドシリーズの最後のバッターの対決の時より緊張するぞ、これ………。


だけどここで引いたら…男じゃねぇ!!!


「わりぃ。時間がかかったけど、世界No.1になったから迎えに来ました。オレの隣でずっと一緒にいてください。」


「………はいっ!!!」













シーズン直前、とある教会。


「拓海さん、あなたはこの女性を如何なる時でも変わらぬ永遠の愛を誓いますか?」


「はい。誓います。」


「結衣さん、あなたはこの男性を如何なる時でも変わらぬ永遠の愛を誓いますか?」


「はい。誓います」


「それでは、永遠の愛の象徴として指輪の交換を。」


オレは結衣の左薬指に、結衣はオレの左薬指に指輪を填めた。


「では、誓いの口付けを…。」


オレは無垢の象徴である純白のウェディングドレスを着ている結衣が被るヴェールを優しく捲る。


そしてそのまま、神父の前で永遠の愛を誓った。











その後、日本人メジャーリーガー史上初となる3年連続となる『サイ・ヤング』賞を受賞し、その輝かしい成績で日本の『国民栄誉賞』を授かるなどメジャーリーグを代表するピッチャーの隣でこれまた2大会連続となる五輪オリンピック女子バレーボール競技で金メダルを獲得した世界を代表するセッターがいつまでも笑顔を絶やすことのない人生を歩み続けるのはまだまだ未来さきのお話………。




~Fin.~



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