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夏の空へ……  作者:
Last Episode 3年目
74/78

第73話 前途多難な渡米

Side Y.Takizawa


わたしは葉月と一緒にお弁当を食べるために、葉月のクラスにやって来た。


葉月の隣の席は拓海くんだったはずなのに、肝心の拓海くんはそこにはいなかった。


そこでわたしは拓海くんはどこに行ったの?と聞いてみた。


大方進路指導室へ行ったのかと思ってたけど、葉月から出た答えはわたしの予想の斜め上の回答が返ってきた。


「えぇ!?ニューヨーク!?!?」


「うん。何でも親戚がどーとかって言って今日から数日間かけてニューヨークに行ったんだとさ。」


とコンビニのおにぎりと1リットルの紙パック牛乳を口にし、平然としていた。


………ナニソレ。ホントイミワカンナイ………。



まぁでも、拓海くんにとっていい旅になるといいんだけど………。


それに帰ってきてから、学園祭の時の告白の返事聞かないとね…。


わたしは想い人の旅を案じつつお弁当を食べながら、最近涼しくなってきた秋空を見上げた。




Side out



国際空港から飛行機に乗り、およそ13時間。


マンハッタンにある国際空港についた飛行機から降りると、そこは超高層ビルディングがズラリと建っていた。


………でけぇ。


東京都心のオフィス街には遠く及ばないくらい高く、ビルがでかい。


「楠瀬くん、こっちこっち。」


少し離れたところで手招きしているプロデューサーさんと、サングラスを外し蒼い瞳の篠咲が立っていた。


「んじゃ、とりあえず予約しているホテルにいこっか。」







『予約していた篠咲とその付き添い2人です。チェックインしたいのですがよろしいですか?』


あのプロデューサーさんすげぇ…。


英語ペラッペラじゃん。


「なぁ、お前のプロデューサーさん何者…?」


「プロデューサー?あの人帰国子女で、何でもボストンの大学を卒業でたんだってさ。」


おぅいっ!?ボストンの大学ってもしかして…!?


「玲奈、楠瀬くんパスポートお願い。」


「あ、はい…どうぞ。」


「はい。」


「ありがとう。」


気配無くオレたちの後ろから来たプロデューサーさんが流れるように来たかと思ったら、篠咲とオレのパスポートを預かりフロントの方へと歩いていった。


………ホントにあの人なんなんだ?





「んじゃ僕はこの部屋にいるから夕方までゆっくりしてて。」


本来のチェックインの時間まで少し早かったみたいだったけど、プロデューサーさんの交渉によりチェックインすることができて今はそれぞれの部屋の前にいた。


だけど、オレはこの立場に異を唱える。


「あの………プロデューサーさん?聞きたいことあるんですけどいいですか?」


「ん?何かな?」


「確認ですけど、プロデューサーさん男性ですよね?」


「うん。」


「篠咲は女性ですよね?」


「あったり前じゃない!!」


篠咲。お前は黙っとれ。お前が出てくると余計話が拗れる。


「そうですか………。…なら分かっていることを承知であえて聞きます。」


「「………………。」」


オレはこれからいう言葉に対し、大きく息を吸い込む。


そして………、


「何 で オ レ プ ロ デ ュ ー サ ー さ ん と 同 じ 部 屋 じ ゃ な く て 篠 咲 と 同 じ 部 屋 な ん で す か ! ? 」


思いっきりこの状況を叫んでいた。


「いやー…それがフロントのミスで楠瀬くんと玲奈のシングルベッドが取れなくてねぇ。」


絶 対 ウ ソ だ 。


目線がめちゃくちゃ泳いでんぞゴルァ。


「楠瀬くん、早く部屋に入るよ?人間誰だってミスするんだからいちいち目くじら立ててたらキリないよ?」


篠咲はそういってルームキーを使い、さっさと部屋に入っていった。


ねぇ仮にもあなたわたしと同い年だよね?


今年で18歳なんだよね?何なの?何なのなの?


オレだけ間違っているっていうの!?


誰か答えてくれぇぇぇえ!!!




結局プロデューサーさんに言いくるめられ、篠咲と同じ部屋に入れられた。


そして今、近くのバスからシャワーの音が聞こえてきて、隣のベッドには篠咲の着替えが置いてある。



シャツやスカートの上着からパンツやブラと言った下着も勿論置いてある。


おい誰だ今爆発しろっていったやつ。日本に帰国したら屋上な?


「ねぇ、楠瀬くん?」


「っ!!!な………なんだ!?」


オレは後ろを振り返らずに返事をする。


なんでかって!?察しろバカ野郎!!!


「そこのタオル取ってくれない?」


きっとベッドの上に乗っているタオルのことだろう。


オレは指の感覚を頼りに、タオルを掴みバックトスで篠咲に向かって投げる。


「ありがとー。」


バタンと音を立てて、バスの扉が閉まる。


オレ………、この渡米期間中ストレスで倒れちゃうかも…。



夕方になり、ニューヨーク観光の時にプロデューサーさんから胃薬を貰ってそれを水と共に一気に飲み干したおかげで大分気が楽になった………気がした。




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