第37話 もう1つの新球
すみません
書き直しましたので閲覧のほどよろしくお願いします。
水瀬との邂逅から約1週間が経ち、オレたちは2回戦に臨むため甲子園に球場入りした。
マネージャーさんの情報だと、今日の相手は東東京都代表の日本経済大部属第三高等学校。通称日経大三高。
予選のチーム打率は出場校49校中1位の.438という強打を誇っている。
特に3番に座る同じ2年の横山 剛は、同世代でトップレペルのパワーヒッターで、予選ではホームランは6本打っている。
もちろん横山だけじゃなく他のバッターも常にフルスイングを心掛けているので、打球は速いし力強い。
こんな超強力打線どうやって抑えていけばいいものか…。
Side out
3回裏、日経大三高の攻撃。1アウトランナー1塁。
光南0ー2日経大三高
Side R.Matsudaira
ーーードッッッ!!!
「ボール!!」
3番の横山を迎え、初球は膝元のスライダーがワンバウンドになりボールとなる。
「ローボールOK!!とにかく低く攻めていこう!!」
と言ったものの、オレ自身どう抑えていけばいいものか頭を悩ませながらリードしている。
チーム打率4割を越えているだけあって強打だけじゃなく、タイミングや芯をズラしてもきっちりヒットゾーンへと運ぶバットコントロールも兼ね備えているから余計にタチが悪い。
走塁も積極的に次の塁を狙うスタンスなので、攻撃面だけなら今まで試合をやってきたどこの相手よりも手強い。
それに………、
ーーードパァァッッッ!!!
「ボール!!」
「バッター集中!!1つずつ取ってこう!!」
ランナーの偽盗やバッターのエバースなどで徹底的にピッチャーを揺さぶってきて、楠瀬はバッターに集中しきれていない。
カウントは0ー2…。
これ以上カウントを悪くしたくないけど…、下手にストライクゾーンに投げるとヒッティングしてくるし…。
………………よし。これで行こう。
オレは次要求するボールのサインを出した。
Side out
え?マジっすか?
オレは出されたサインを見て、目を疑った。
『チェンジアップ』………?
スピードがスライダーとさほど変わらないチェンジアップを要求する意図が読めない。
………まさか歩かせる気か?
だったらボールゾーンへのストレートを要求するはずだし…。
あれ?サインがまだ続いてる。
………………ああ。そっちの『チェンジアップ』ですか。
どうやらオレの早合点だったようで、そっちの『チェンジアップ』なら納得が行く。
モーションに入り、ストレートを投げる時以上に腕を強く振って投げた。
どうか甘いストレートだと思っててくれ…!
Side out
Side G.Yokoyama
しめた!!
楠瀬の投げられたボールは低めのストレート。
先ほどの打席でストレートを打っているから、このコースならスタンドまで運べる!!
オレは楠瀬のボールをフルスイングで捉え………
きれず、ショートへの平凡な当たりとなっていた。
Side out
「ナイスピッチ!!」
「さぁこっから点取ってこーぜ!!!」
横山を6ー4ー3のダブルプレーに抑えてこの回を0に抑えることが出来、ベンチ内での空気が少し変わった気がした。
今横山を仕留めたのに投げたボールは、もう1つの新球の『高速チェンジアップ』。
緩い方のチェンジアップがなかなか上手く行かず、半ば八つ当たりのような感じでボールを鷲掴みにしてヤケクソで投げたことで生まれたボールだ。
………生まれた過程は置いといて、高速チェンジアップは落ちるというよりブレるといった方が近いくらい変化が少ないボールなので、タイミングを外すというよりバットの芯を外すタイプの球種だ。
高速というだけあってコンスタントに130中盤から140手前までスピードが出るので、上手く組み合わせれば空振りだって取れる。
形はどうであれ、相手に傾いていた流れを断ち切ることが出来た。こっから反撃と行こうぜ!!
Side out
ストックがなくなって、またストックを作るので更新スピードが落ちます。
ホントにすみませんっした!!!