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夏の空へ……  作者:
第2章 2年目
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第36話 怪童再び

試合が終わり、監督さんとインタビューを受けている。


『甲子園での開幕でのピッチング、緊張しましたか!?』


「緊張というよりも、開幕カードで自分の投げる初球で始まるという期待の方が上回ったので緊張というのはあまりありませんでした。」



質問攻めがすげぇ…。


何時なったら終わるんだこれ…。







あの後、10分ほど報道陣に捕まりようやく解放された。と思ったら激闘甲子園の長山キャスターと元プロ野球選手で同じ激闘甲子園のキャスターの久藤さんに捕まり、結局解放されたのは試合が終わってから45分後だった…。


その後宿舎に帰り昼メシを食べ、午後は休養し身体を休める。


だけど………、


「…………暇だ。」


あまりにも暇なのでやることがなく、寝ようにも夜眠れなくなったら本末転倒だ。


同じ部屋の水野は水風呂で身体の火照りを冷まし、タオルケットを被り眠っている。


にしても何だか小腹がすいてきたな…。


オレはハーパンのポケットに財布とスマホと音楽プレーヤーを突っ込み、水野を起こさないように物音を立てないように外へ出た。









歩いて5分ほど先にあるノーソンに入り、菓子パンなど小腹を満たすような食べ物をかごの中に入れていく。


「あとは牛乳………っと。」


カルシウムといったら牛乳。牛乳といったらカルシウム。


というくらいのイメージがあるカルシウムの申し子、牛乳。


牛乳は残り1本しかなかった。


オレはラッキーだと思い、手を伸ばしたら…。


「「………あ。」」


同じ年齢のようで、整った顔立ちの好青年もオレと同じ商品に手を伸ばしていた。


………あれ?こいつ何処かで見たことあるような…?


「今日はナイスピッチングだったね。覚えてるかな?………楠瀬。」


「………水瀬?」


埼玉県代表浦話学院の不動の4番、水瀬 翔平がそこに立っていた。






結局牛乳はオレに譲ってくれて、水瀬はというと『代用が効くから』って言って飲むヨーグルトを買っていた。


そしてそのまま、近くの公園のベンチに腰掛け缶ジュースを煽っている。


「………。」


「はー…、久々に飲むコーラはうめぇな…。………ってそんなに睨むなよ。」


知らずうちにオレは水瀬を睨んでいたらしい。


目の前の男を見ているとどうしても昨年のトラウマが甦ってくる。


今まで積み上げてきた物を粉々に打ち砕かれたのだから…。


「…乗り越えたつもりだったんだがな。」


「でも、ボールに力はあった。」


何たっていきなり150km/hを叩き出したんだからな…。とボヤいた後コーラを飲む水瀬を横目に、オレは目の前の男の身体付きを見る。


半袖のパーカーを羽織ってはいるが、肩幅がガッチリして無駄なものは全て排除された筋肉質な身体はもはや高校生という領域を越えている。


一体どんな練習したらここまで体格がよくなるんだ…。


「おっと。そろそろ帰んねぇと。」


腰掛けていたベンチから立ち上がり、空いたジュースの缶を握りつぶし近くのゴミ箱に向かってぶん投げる。



「オレたちと当たるまで負けんなよ………?」



「もちろん。好敵手ライバルである楠瀬キミとまた真剣勝負がしたいからね。」


じゃ、またと言い残し来た道を戻っていった。


もちろん水瀬が投げた缶は高いループを描いて、キレイに収まった。



Side out



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