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夏の空へ……  作者:
第2章 2年目
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第34話 アスリートたちの食事光景

Side Y.Takizawa


わたしは最近一目惚れして新しく買ったスカートを履いて、部屋にカギをかけた。


はぁ…疲れた。


疲れで思わず溜め息を漏らしてしまう。


インターハイが近付いているということで、練習試合のあとの練習に加えて練習試合で悪かったジャンピングサーブの修正ということでコートのエンドラインの2スミにペットボトルを置いてそれを当てるという練習もあって、すっかりくたくたになってしまった。


「お邪魔しまーす。」


疲れきった身体に鞭を打って拓海くんの家に着き、ドアを開けた。


「おーう。」


今日のシェフは生返事を1つしたあと、昨年の激闘甲子園のメインテーマの鼻唄をBGMに凄まじきスピードで食材を切っていた。


むぅ…。せっかくこの間新しく買ったスカートを履いてるのに気付いてくれないなんて…、さすが拓海くん鈍ちん。


早く気付いてくれないと拗ねちゃうもんねーっだ。


「ぃよしっ!!これをフライパンに今ダーイビーン!!」


今度はプロデューサーさん、○○ですよ!!○○!!というフレーズで大人気の頭にリボンを着けたアイドルの歌の真似をしながら、切った食材をフライパンにダイビングさせていた。


しかも妙に裏声じゃなくて


「あとは食べる直前に和えてっと………。ふー…、疲れた。」


キッチンからエプロンを外しながら、リビングに来た。


「わりぃわりぃ、1日お疲れさまっと。」


テーブルにはわたしのところには氷が入ったスポーツドリンクを、拓海くんのところには麦茶が入ったコップを置かれた。


「はぁー…。生き返るわぁ…。あ、そのスカート似合ってんな。」


期待していなかったといったら嘘になるけど、正直その反応が欲しかったわたしは素直に嬉しかった。


ちゃんと見てくれてたんだ…。嬉しいなぁ…。


知らず知らずわたしの頬がちょこっとずつだけど緩んでいく。


ふふっ!このスカートお気に入りにしちゃおっ♪



Side out






「これがオレの全力全開だぁぁあ!!!」


オレはメシを食べるテーブルに並べ切った。


今日の献立はカルボナーラにシーザーサラダに鶏の唐揚げ、温野菜がたっぷり入ったコンソメスープにシメのデザートはカットフルーツだ。


特にカルボナーラのソースは小麦粉から作るという拘りつきだ。


量が量なので、もし雪穂だったら全部食べきれないはずだろう。


だが、相手は痩せの大食いの結衣なのでその心配はない。


『身体に染み渡る~。』って言いながら食器に盛られたカルボナーラを食べていく。



スポーツ選手はメシもトレーニングの一環って言ってたし、日本が誇る世界の奪三振王も『メシの時間が一番苦痛』だと言っていたし、日本記録の連勝記録を打ち立てた神の子と謳われたピッチャーの奥さんは食事面のサポートをしていたというエピソードも残っているくらいだ。


それくらい食事は大事なことなのである。


オレも腹減ってきたな…。


まずはシーザーサラダから先に食べ始めた。






「結衣ー?アイスあるけど食うかー…って寝てるし…。」


今日使った食器と鍋とフライパンをパパっと洗い物を済ませ、リビングに戻るとソファーで身を縮め込めて眠っていた。


よっぽど疲れてたんだろう。


練習試合からの練習でそこから自主練のサーブ練習と来たもんだ。聞くだけでもすっげぇ濃い内容だ。


ったく…。いくら夏だからっていってもそんな格好で寝てると風邪引くぞ…?


クローゼットからタオルケットを引っ張り出し、結衣にかけた後シャドーピッチング用のタオルとグラブを持って外に出て自主練をやるため庭に出た。




………目を覚ました結衣は、一言お礼を言って自宅のマンションへと帰っていったのでオレはより集中して右手のタオルを振り切った。




Side out




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