第31話 激動の学園祭Ⅲ
ーーー数分前……。
「この教室の隣だ。この隣にはクソ野郎共と雪穂とその友達がいる。」
オレらは足音を消すため、シューズを脱いでこの学校に乗り込んだ。
場所は3階の奥の児童会室。
外を見れば割りと遠くから侵入者の存在にも気付け、ドアを蹴破れば裏門に続く非常階段がある。
オレと小林さんは、それぞれハンマーを持っている。
「何でハンマーなんすか?」
「カギが掛かってたらガラスをぶち破るためだ。」
「…………。」
この人の考えは過激だ。
だが、ガラス張りでは無かったが隣に忍び込んだ教室の壁はかなりヒビ入っていた。
……これならハンマーで何回か殴れば破れそうだ。
ーーーイヤァァァァッ!!!!!
隣から滝沢の叫び声、その数十秒後には雪穂の叫び声が聞こえてきた。叫び声と一緒に何かが破ける音も聞き逃さなかった。
ーーープツン。
今のでオレと小林さんは、何かがキレた。
「拓海。次、雪穂かその友達の叫び声が聞こえたらブチ破るぞ。」
「了解。」
ハンマーを握る手に力がこもり、力を入れすぎて指先か切れて血が滴り落ちる。
ーーー助けて!!!拓海!!!!
ーーー助けて!!!拓海くん!!!
「行くぞ!!!」
「はい!!!」
オレと小林さんで息を合わせ、コンクリートの壁をハンマーでブチ破った。
Side Y.Takizawa
「わりぃ。ノックが強すぎたか?」
「人の娘に何してくれとんじゃワレェェェッ!!!貴様ら全員逮捕だけじゃ生ぬるい!!お前ら纏めて少年院にブチこんだるから覚悟しとけやぁぁあ!!!」
壁を破ってきたのは拓海くんとユキちゃんのお父さんだった。
肩に担いでいたハンマーは小林さんは片手で斜め後ろに、拓海くんはその場に放り投げた。
「なんだオッサン!!誰だてめぇは!」
「警察だ!!!あと数分で援軍と学校の教師が来る!!覚悟しろ!!!」
激昂し、顔が真っ赤になった小林さんは深津の取り巻きと…、
「楠瀬……!!!貴様ぁっ……!!」
「よっ、深津。とっとと投降してくれるとありがたいんだけど?」
拓海くんは笑顔だけど目が全く笑っておらずこめかみに何本もの青筋を浮かべつつ、深津と対峙していた。
「「っざけてんじゃねぇぞ!ゴルァ!!」」
「「…………。」」
ーーーバキィッ!
深津と取り巻きはそれぞれの相手に殴りかかり、拓海くんと小林さんは防御の姿勢を取らずそのまま殴られた。
「「オラオラオラオラァ!!!」」
「啖呵切った割には何もしないんですかァ!楠瀬クゥン!!」
最初の1発が当たったのをいいことに殴り続ける深津たちと、ずっと殴られっぱなしで一向に反撃しようとしない2人。
そんな…!!
なんで反撃しないの……!?
わたしたちの事助けに来たんじゃなかったの!?
Side out
小林さんはボクシングの応用で、取り巻きの攻撃を最小限の動きでいなしている。
オレはというとひたすら殴られ、蹴られ続けた。
一通り攻撃が終わったのか、呼吸の乱れが激しいクズども。
「……小林さん、これって正当防衛働きます?」
「働くんじゃないか?それにコイツらは公務執行妨害も追加だな。」
「……教師たちにはオレのこと説明してくれますよね?」
「約束しよう。」
「ありがとうございます。」
よし。警察の言質が取れた。
「さっきからゴチャゴチャ喋ってんじゃねぇぞ!!」
オレたちの会話が気に食わないのか、取り巻きの一人がオレに向かって殴りに掛かってきた。
オレは殴りかかってきた勢いを借りて左手で袖口を掴み、右手を相手の腹の部分に手を添えて……、
風車のように身体を廻して相手を投げたあと、鳩尾を目掛けて踏みつける。
「「「……は?」」」
クズ共はオレの行動に青ざめていた。
「どうした?」
「う………うわぁぁぁっ!!!!」
オレの行動に恐怖を覚えた取り巻きは、深津を置き去りにして教室の外に出ようとした。
…が、カギを掛けていることを忘れドアの前で立ち往生していた。
「おい!誰だカギ持ってるの!?」
「オレじゃねぇ!!」
「オレでもねぇよ!!!」
「マサキだ!!マサキのポケットの中だ!!」
取り巻きはパニックになって、マサキとかいう奴のところに走ったが………、
「オラッ!!」
先に回り込んでいた小林さんが、拳を顎に正確に捉え脳震盪でノックアウトにさせる。
「んで………?あとあんただけなんだけど。深津。」
「………ッ!!うわぁぁぁっ!!!」
取り巻きがやられたことにより深津は発狂し、オレの懐に突っ込んできた。
考え無しに突っ込んできたか………。
投げ返してやるか…。
だが、オレはこの時気が付かなかった。
「拓海!!!逃げろ!!!!」
「拓海くん!!!避けて!!!!」
「拓海!!!!!」
ーーードスッ!!!
深津の手の中のナイフの存在を…。
「「イヤァァァァッ!!!!!!!!!」」
Side out
あれ?
これ………オレが書いたの?
割りとハイになって執筆してたからなぁ…。(遠い目)