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夏の空へ……  作者:
第1章 1年目夏
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第20話 点灯試合

甲子園に乗り込んだオレたちは、実際に甲子園球場での練習や現地でのコンディション調整の為汗を流していた。


8月の関西は暑い。ものっそ暑い。


連日猛暑日を記録していて、暑さによる熱疲労・水分不足による熱中症には細心の注意を払いながらの調整だ。


オレたちの初戦は抽選の結果、大会4日目の第4試合となった。


全国から予選を勝ち上がってきた強豪校ばかりなので、正直今か今かと待ちわびているところである。


ああ…。早く試合日になんねぇかなぁ。







試合当日は朝から雨により1時間ほど時間が押してこそはいるが試合はやるらしいし、第2試合が延長戦までもつれ込んだことによりオレたちの試合が始まる頃には日が傾きかけていた。



こりゃ点灯試合になりそうだ。


プロ野球なら甲子園でのナイトゲームはあるが、高校野球でのナイトゲームはなかなか体験できない。



太陽に照らされた甲子園も芝生が鮮やかに映えるが、照明に照らされた甲子園は何て言うか…神秘的な雰囲気だ。



先発は立花さんで、立花さんがスタミナが持つまで全力で投げて継投でオレというのが今日のプランだ。


何時でもいけるように気持ち切らさないようにしなきゃな。



それにしても今日の立花さんのボールいつも以上に走ってるなぁ……。



Side out



Side R.Tachibana


「ットライーク!バッターアウトォ!!」


左バッターアウトコース低めへ曲がっていくスライダーで空振り三振を奪う。


甲子園予選が終わった後オレは、自らにポール間走25往復というノルマを設定して徹底的に走り込み直した。


予選決勝で無意識に出てしまった自分の弱さと向き合いながら走りに走り込んだ。


短い期間だったが、フォームがいくらか安定してきて予選の時より思ったところにボールを投げられるようになった。



それに今日は肩が軽いし、指先の感覚が冴えている。


今なら指先の掛け具合でスピードから曲がり幅まで全て制御できる感じだ。



「ッ!!」



今日の自己最速の148キロのストレートで相手バッターを空振り三振に奪い、スリーアウトチェンジとなった。



うん。心地いい疲労感だ。



Side out




(オイオイ…マジかよ。)


ブルペンで肩を作りながら、試合を見守っている。


試合は8回の相手の攻撃。


6回にキャプテンがレフトへホームランを放ち、1対0とリードしていて甲子園球場全体が異様な雰囲気に包まれている。


それもそのはず。




ここまでまだ立花さんはヒットどころかランナー1人も出していない。






完全試合パーフェクト





第4試合だというのに超満員となった甲子園の観客の皆様が誰しもがその言葉が頭によぎっているはずだ。



その空気を支配し尽くしているマウンドの背番号1は、オレには関係無いと言わんばかりのクールな表情でボールを投げ込んでいる。



一人当たりの球数がちょこっと多く球数が120球ほどたまが、それでも淡々とバッターを手玉に取っていく。



「ットライーク!!バッターアウト!!」



8回で149キロのストレートで三振で捩じ伏せ、ベンチに戻ってきた。


オレも一旦ベンチに下がり、1年らしくドリンクの用意をして先輩たちにドリンクを渡していく。それは立花さんにも例外ではなく…、


「立花さん、どぞ。」


「サンキュ。」


立花さんにドリンクを渡すが普段と同じで落ち着いてる…、まるで大記録が掛かってることに気付いてなさそうだ。


マジで気付いてなさそうでそれもそれで緊張感あるのか無いのか分からんから困る。いや多分オレだけなんだろうけどさ。


「立花さん。」


「ん?」


「後ろにオレと前田さんも控えてるんで。」


「おう。」


この回もあっさりと攻撃が終わり、いよいよ最終回のマウンドへと駆けていった。



Side out


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